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2017年12月19日 2017年12月英国高等教育及び学術情報

(1) 大学と企業間連携促進のための新しいウェブツール

 11月14日、UKリサーチイノベーションの暫定最高責任者であるMark Walport卿が立ち上げた、大学-企業間連携を促進する新しいウェブツール“Konfer”が正式に開始された。Konferには100万を超える研究・研究者・施設・設備・資金・支援に関するデータが収められ、ビジネスの連携機会を創出することを目的としている。

 このシステムはイングランド高等教育財政会議(HEFCE: Higher Education Funding Council for England)、英国研究会議(RCUK: Research Council UK)と提携して国立大学産業センター(NUUB: National Centre for Universities and Business)によって製作されたもので、大学側も研究パートナーを探すことができる。英国議会下院の科学技術委員会は“企業が最短の方法でアカデミックのパートナーを探すことができる方法”であると説明した。

国立産業センター David Docherty会長コメント:  

 Konferツールを通して事業者、新規事業立ち上げ者や大規模組織がそれぞれに助成金、リソース、専門家、イノベーションの機会の情報に簡単にアクセス可能となり、また大学側も簡単に商業パートナーを見つけることができるようになった。

 Konferに含まれる情報は以下のとおり:

  • 12,076人の学術研究者
  • 14,386施設および設備リスト
  • 1,732,279の大学とSNSのWebページ
  • 27,526の大学のチャンネルからのYouTube動画
  • 精選された238,274のニュース、助成金とイベントの情報
  • 51,537件の公的資金提供研究プロジェクト

http://www.hefce.ac.uk/news/newsarchive/2017/Name,116214,en.html

 

(2) EU離脱が英国の科学研究の地位を脅かす可能性(ガーディアン記事)

 11月15日、英国はEU離脱によって科学研究のトップの座を奪われる危機にあるとの警告が発表された。

 行政監視をする公会計委員会(PAC: Public Accounts Select Committee)の議長を務めるMeg Hillier氏は、ロボット工学や気候変動などの分野において、EU離脱後も英国の地位を保持するための政府のリーダーシップが「まったく欠けている」と述べた。これは国家会計検査院(NAO: National Audit Office )が発表したロボット工学と応用材料研究のリーダーシップの欠点を警告した報告書に基づいてコメントしたものである。

 15日に発表された報告書によると、2015年の研究開発に対する政府からの支出合計は£87億5千万*(約1兆3,125億円)であった。また昨年政府は2021年までに追加として£47億(約7,050億円)を出資すると発表している。

 2007年から2013年の間のEUから英国への助成金の純受取額は€88億**(約1兆1,440億円)であり、同期間の英国からEUへの出資額は€54億(約7,020億円)であったため、EU離脱後、英国の研究に対しどの程度資金提供されるのかで影響があるだろうと警告している。

 政府の支援は「一貫性の無い」データに基づいて行われており、どの分野が後れを取っていて、どのプログラムがEU離脱により打撃を受けるのかを正確に分析しなければ、成果の上がる投資とならない、と報告書では警告している。気候変動、ロボット工学、先端材料学の分野で投資を集中させる必要があると述べている。

*£1=150円で換算

**€1=130円で換算

 https://www.theguardian.com/education/2017/nov/15/brexit-threatens-uks-reputation-for-scientific-research-watchdog-says

 

参考National Audit Office report (summery):

https://www.nao.org.uk/wp-content/uploads/2017/11/Cross-government-funding-of-research-and-development-Summary.pdf

 

(3) 卓越した才能を持つ人材受け入れのため、ビザ発給数を倍増

 11月15日、内務省(Home Office)はテクノロジー、科学、芸術などの分野で卓越した才能を持ち、最前線で活躍している者に対するビザの発給数を倍にすることを発表した。

 全世界から優秀な人材を確保するため、ビザカテゴリーTier 1 (卓越人材対象)枠を現在の年間1000件から2000件にする。

 これにより、英国の経済を強化するより多くの高等技能保持者を受け入れることができることとなる。また産業界において英国が世界トップクラスの座に居続けるための方策のひとつとして、個人のグローバルな移動に対し英国政府が貢献していることを表している。

 2000件のビザは、デジタル工学、科学、芸術分野で将来のグローバルリーダーとなりうる個人、もしくは以下の5つの団体から推薦を受けた者が対象である。

5つの推薦団体;

  • テックシティUK (Tech City UK)
  • イングランド芸術評議 (Art Council England)
  • 英国学士院 (The British Academy)
  • 王立学会 (The Royal Society)
  • 王立工学アカデミー (The Royal Academy of Engineering )

https://www.gov.uk/government/news/government-doubles-exceptional-talent-visa-offer

 

(4) 次世代のエンジニア育成のための画期的なキャンペーンの開始

 11月16日、教育省は「エンジニアリング2018」キャンペーンの立ち上げを発表した。100社以上の産業界のパートナーが参加し、年間を通じて若者にエンジニアリングに接し体験する機会を提供することになる。

 テクノロジー、ヘルスケア、食品製造からエネルギー、文化や輸送まで、ありとあらゆる分野の関係団体が参加して、産業界、国会議員、父兄や教師達を活気づけることで次世代のエンジニアを育てることを目的としている。

 シェルグループによる児童生徒を対象にした「将来のエンジニア向けエネルギークエストプログラム(Tomorrow’s Engineers Energy Quest programme)」に対し£100万(約1億5千万円)の出資、出版業Usborne社による子供向けエンジニアリングの本の出版や、家族向けの工場見学ツアーなど、大規模なアウトリーチプログラムが含まれる。また、個人的な活動として、父兄が子供の算数の宿題を手伝うことやコードクラブに参加させること、エンジニアが自身の経験を学校で語ったりSMSを通じてシェアしたりすることなども含まれる。

 このキャンペーンは、英国が年間約20,000人の技術者不足に陥るという推計、及び技術関係企業の約半数が技術者不足により業績に悪影響が出ているという報告を受けて立ち上げられたものである。あらゆる層の若者にエンジニアリングの経験を直接させたり、身近なロールモデルと交流させたりすることで、エンジニアという職業のもつ豊かな想像性や革新性を実感してもらい、将来エンジニアになりたいという若者を育てると共に、エンジニアのうちの91%が男性であり、94%が白人であるという現在の偏りを解消することを目的としている。

 シーメンス、自然博物館グループ、Ocado(スーパーマーケットグループ)、Usborne(出版業), BAE Systems(セキュリティ関係)及びCrossrail(鉄道会社)などが支援を表明している。政府は年間を通じて学校訪問や展示会、見学会などを企画している。

https://www.gov.uk/government/news/government-announces-landmark-campaign-to-inspire-next-generation-of-engineers

 

(5) 政府が研究開発に記録的な投資

 11月20日、メイ英国首相は研究開発分野に対して記録的増額投資及び英国内の都市を結ぶ交通システム整備に対する新たな投資を発表した。これは産業戦略の一環で、生産性の向上と英国内でのより高額な雇用を創出することが目的である。

研究開発費への投資に関し抜粋:

 産業界と協力して2027年までに研究開発費をGDPの2.4%に引き上げる。これにより公共及び民間セクターへの研究開発投資が今後10年間で£800億(約12兆円)増加する可能性がある。2021/2022学事年度から追加投資として£23億(約3,450億円)の投資を開始し、研究開発費の全投資額は同学事年度だけで£125億(約1兆8,750億円)になる。

 メイ首相のコメント:

 私が首相になって始めて取り組んだもののひとつが産業戦略の策定である。産業戦略によりハイクオリティなビジネス創出を助け、高賃金の仕事を創出することを目的とする。産業戦略は英国を将来、産業分野において世界的なリーダーに押し上げるだろう。人口知能、ビックデータ、AI、クリーンエネルギーから自動運転自動車まで、チャンスをモノにするときである。

 今後5年間でGDPの研究開発費への投資を増加させ、1980年代のレベルまで回復させる。昨年発表した、投資額を2015/2016学事年度の£90億(約1,350億円)から2020/21学事年度には£120億(約1兆8,000億円)にまで引き上げると公約したことに基づくものである。

 来週月曜日(11月27日)に発表される産業戦略白書では、英国の強い分野であり、かつ我々の将来を形作る世界的潮流を反映した4つの大きなチャレンジが発表される。それらは人工知能、データエコノミー、低炭素社会、健康な高齢化、そして将来の流動性である。政府は産官学と連携し、わが国の得意分野を伸ばし英国経済の成長を確保するため努力していく。

£1=150円で換算

https://www.gov.uk/government/news/record-boost-to-rd-and-new-transport-fund-to-help-build-economy-fit-for-the-future

 

【各機関の反応】

UKリサーチ・イノベーションの暫定最高責任者であるMark Walport卿のコメント

 政府が研究開発費の支出に意欲的な目標を掲げたことは喜ばしい。このようは大胆な行動は英国が研究・イノベーション分野において世界のトップの座を維持することを裏付けるだろう。

 この責任を果たすには協調努力が必要である。UKリサーチ・イノベーション(UKRI: UK Research and Innovation)はすでに産業戦略の一環として様々なアイディを展開させており、これらの投資が最大の効果を出すための努力をしている。政府、産業界、学術界と今後も協力し、目的の実現のため生産性を高め、生活水準の向上に貢献していきたい。

https://www.ukri.org/news/uk-research-and-innovation-welcomes-government-r-d-commitment/

 

(6) 研究評価制度(REF:Research Excellence Framework)2021の概要が明らかに

 11月21日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE:Higher Education Funding for England)は次期REF2021の実施方針を発表した。1年間に及ぶ協議の結果、研究スタッフの再雇用制度や研究成果のアウトプットの評価方針について確認されている。

 発表された方針には、研究に多大なる貢献をした研究者は全てREFの評価対象とすること、研究者の流動性に左右されることなく研究成果はその結果を出した機関が提出すること、研究成果の総数や実際にどのようなインパクトを与えたかという実例を提出すること、等が含まれている。

http://www.hefce.ac.uk/news/newsarchive/2017/Name,116247,en.html

 

(7) 労働市場における大学卒業者雇用状況調査結果

 11月24日、国家統計局(ONS: Office for National Statistics)は2017年7月-9月に卒業した1,400万人の学生の雇用状況調査を発表した。結果概要は以下のとおり。

  • 2017年7月-9月に大学を卒業した者は約1,400万人だが、過去10年間着実に増え続けている。
  • 大学卒業者のほうが大学を卒業していない者よりも雇用される割合が高い。
  • 21歳から30歳の大学を卒業していない者は未就業率が高く、活動が活発でない割合が高い。
  • 40%の大学卒業生は行政、教育、医療関係に従事しており、大学卒業生は卒業していないものより高等技術職に就いている。
  • 大学卒業者の年収のほうが大学を卒業してない者よりも高く、より年を重ねてから年収のピークを迎える。
  • 2017年7月~9月の卒業生で薬学や工学の学位を持つ者は就職率が高く年収も高い。
  • 男性の卒業生のほうが女性の卒業生に比べ、より高い技能職に就職が決まる傾向がある。

https://www.ons.gov.uk/employmentandlabourmarket/peopleinwork/employmentandemployeetypes/articles/graduatesintheuklabourmarket/2017

 

(8) 産業戦略白書の発表

 11月27日、ビジネス、エネルギー産業戦略省 (BEIS: Department of Business, Energy and Industrial Strategy) の大臣である、Greg Clark氏は政府の野心的な産業戦略を発表した。

発表内容の概要:

  • 経済強化を図り、英国の得意分野に基づき技術革新の機会を利用する計画として同省の最重要な取り組みである産業戦略を立ち上げた。

 

  • イノベーション創出のための産業戦略チャレンジ基金プログラムに£7億2500万(約1,090億円)を投資
  • 世界的な生命科学関連企業のMSDが英国への投資を確保したことで産業戦略が開始する。
  • 建設、人口知能(AI), 自動車、ライフサイエンス分野において、初の試みである”Sector Deals”へ取り組む。
  • 4つの“大きな課題”への取り組み。将来産業の最前線の座に英国をすえるため世界的なトレンドを掴む。

 

 2030年までに世界で最も革新的な国になることを目標に、政府は地球規模課題に対応するため、今後3年間で£7億2500万(約1,090億円)を産業戦略チャレンジ基金(ISCF: Industrial Strategy Challenge Fund)に投資する。このうち£1億7000万(約255億円)が建設部門に投資され、より安全で健康的、かつ省エネの手ごろな価格の住宅やオフィス環境の開発に取り組む。また、医療における早期診断の向上や、精度の高い医療の開発に最高£2億1000万(約315億円)の投資などが予定されている。

 政府は昨年第1期ISCFとして£10億(約1,500億円)の投資を約束しており、その中には次世代バッテリーテクノロジーへの£2億4600万(約369億円)、及び英国中のロボッテックハブへの£8600万(約129億円)が含まれている。

 先週、メイ首相は研究開発費の投資水準を2027年までにGDP1.7%から2.4%に引き上げることを発表している。これは今後10年間、先端技術分野に£800億(約12兆円)を追加投資し、新産業やイノベーションの創出を支援していくことを意味している。

 白書には建設、ライフサイエンス、自動車、人工知能の分野において様々な”セクターディール“活動に取り組むことも含まれている。これは政府が民間との共同出資によって長期的な提携で取り組んでいくものである。ライフサイエンスのセクターディールとして、世界トップクラスのライフサイエンス企業MSDが英国に対し大規模な投資をすることを発表した。最先端の治療方法や薬の開発などが活動内容となる。また、最先端研究施設を英国内に建設し、950人の雇用も創出される予定である。

 産業戦略において定められた4つの大きな課題(Grand Challenge)は、以下のとおり。

  • 人工知能
  • クリーン成長
  • 高年齢化社会
  • 物流、人の流動性

 

 白書では5つの基盤に焦点をあわせ、政府、学術界、産業界のユニークなパートナーシップのもとで生産性が高く、将来世界において競争力のある英国経済を作り上げていくこととしている。

5つの基盤:

  • アイディア
  • 人々:技術教育制度の確立。£4億600万(約600億円)を数学、デジタル、技術教育に投資しSTEM(Science, Technology, Engineering and Math)人材不足の解消を図る。新しい「職業再訓練制度」を立ち上げ、£6,400万(約96億円)をデジタル及び建設技能のトレーニングのために投資する。
  • インフラ:英国生産力投資基金(National Productivity Investment Fund)に£310億(約4兆6,500億円)を増資し、輸送、ハウジング、デジタルインフラ整備を支援する。電気自動車開発のために£4億(約600億円)、更に£2億(約300億円)をプラグイン車導入の補助金として出資する。£10億(約1500億円)以上をデジタルインフラ整備のために出資し、5Gの整備やファイバーネットワークが脆弱な地方の整備を行う。
  • ビジネス環境
  • 場所:地方を強化し、経済面でのチャンスを広げるために、地方の産業戦略に合意する。新しい都市転換基金(transforming cities fund)を創設し、都市間交通の整備のために£17億(約2,550億円)を出資する。教員育成プレミアム事業に£4,200万(約円)を出資し、成績が伸び悩んでいる学問分野の教員の育成に努める。

£1=150円で換算

 

https://www.gov.uk/government/news/government-unveils-industrial-strategy-to-boost-productivity-and-earning-power-of-people-across-the-uk

 

【各機関の反応】

○英国学士院(British Academy)

同院の経営最高責任者Alan Evans氏のコメント:

 前例のない変化の時代において我々や社会について理解することは重要になっている。つまり政府の産業戦略の中心が人文社会学なのである。政府の掲げたチャレンジは人文社会科学から多くの思索と洞察力が求められるものである。我々の特別研究員制度を利用する優秀な研究者と継続的に連携し、政府の産業戦略への支援と情報提供に協力していきたい。

 

https://www.britac.ac.uk/news/british-academy-responds-industrial-strategy-white-paper

 

○王立協会(Royal Society)

同協会Venki Ramakrishnan会長のコメント:

 我々の強みである知識基盤経済(knowledge-based economy)に投資するという政府の産業戦略は、英国は世界の研究及びイノベーションのリーダーであるという自信のある前向きなメッセージを発信している。新たな研究開発への投資は技術開発の最先端に居続けるために必要な人材、アイディア、機関への支援をさらに強化するということである。将来のための賢い投資だが、次世代の新産業や繁栄の基礎となる新しい知識を得るためにも、基礎科学への投資も継続して必要であることも確認しておきたい。

https://royalsociety.org/news/2017/11/royal-society-responds-to-industrial-strategy/

 

(9) 芸術、人文、社会科学学部卒業生の就職状況

  11月27日, 英国学士院(British Academy)は初めて芸術、人文、社会科学部(AHSS: Arts, Humanities and Social Science)卒業生125万人を対象にした調査を行い、学位獲得過程において就職に対応できる十分なスキルを身につけることができる証拠を発表した。 AHSS卒業生は全体の卒業生の55%を占めるが、これまでどのようなスキルを身につけ、卒業後どのような進路に進んでいるのか、のデータがなかった。

 今回の調査結果では、雇用者側が求めるスキルはAHSSの学部で学ぶこととほぼ同じであった。

  • コミュニケーション力とコラボレーション力
  • 研究力と分析力
  • 独立力と適用力

 今回の結果では、柔軟性、適応力の高い者の多くがAHSSの卒業生であり、学位そのものが就業職種とは全く関係なくても雇用者からの歓迎されていることが明らかになった。

 報告書ではAHSS卒業生の経済への貢献度も調査している。それによるとウェブデザインから公務員、教師から金融サービスまで、実に様々な分野で活躍をしている。Financial Times Stock Exchange 100社(FTSE100)の中で実に58%の企業のトップがAHSSの卒業生であった。

 また、英国経済の80%近くが所謂サービス業といわれる法律業、会計業、ホスピタリティ、小売業、広告業に由来しており、これらすべての分野でAHSSのスキルと知識が必要とされている。

 英国学士院は人文、社会科学分野の国家的機関であり、発表された報告書は2020年まで実施しているスキルに関する研究プログラムの一環で初めて発行されたものである。

https://www.britac.ac.uk/news/future-proof-grads-new-study-pinpoints-arts-humanities-and-social-science-graduates%E2%80%99-skills

 

(10) FP9初期段階への英国研究会議のコミットメント

 11月28日、英国研究会議(RCUK : Research UK)は、ブラッセルで次期多年次資金助成プログラムであるFP9に関して話し合いが開始されたことを伝えた。「ホライズン2020」プログラムはEUにおける研究・イノベーションプログラムとして、2014年から2020年まで間に最大規模の€800億(約12兆円)が投資されるものである。まだ現在のプログラムも半ばを過ぎただけではあるがすでに次期プログラムの話し合いが開始されている。

 焦点となる点として:

  • ホライズン2020の継続性
  • ヨーロッパイノベーション協議会設立などの新しい概念
  • 社会的課題(Societal challenge)から目的を持った研究(mission-oriented approach)への移行

 RCUKはFP9を形作るための過程に積極的に関わっている。

 次のステップは、2018年の早い時期に欧州委員会(European Commission)からアナウンスされる予定のFP9関係者との協議である。欧州議会と協議するためのFP9の提案は、2018年7月に予定されている。

http://www.rcuk.ac.uk/media/news/171128/

 

(11) EUからの大学入学者減少(2017/2018学事年度 2017年9月入学対象)

 11月28日、大学入試機関(UCAS: Universities & Colleges Admissions Service)は2017年の英国大学入学志願者の総数を発表した。

 2017年学事年度は699,850人が願書を提出し、2016年より2.6%(18,500人)の減少であった。内訳は英国学生が82%、EU学生が7%、非EU学生が11%であった。非EU学生の大学願書提出者は2.8%増加し、76,380人と記録的な数であった。英国学生は3.1%減り572,285人、EU学生も4.4%減り51,185人であった。

 合格者した者は上記の傾向と同じくEU学生は減り、非EU学生が増加した。2017年の英国学生合格者は2,535人(-0.5%)減り、又EU学生の合格者も2.1%(-650人)減り30,700人となった。非EU学生の合格者は5%(1,900人)増加し40,245人で記録的な数であった。非EU学生の合格者は1.8%の伸びを見せ70,945人で5年連続の増加を示した。

https://thepienews.com/news/uk-non-eu-undergrad-applicants-up-2-8-but-eu-drop/

UCASからの発表内容:

https://www.ucas.com/file/135626/download?token=pQL3AOVK

 

(12)知識交換制度(KEF: Knowledge Excellence Framework)の比較内容の協議進行中

 12月1日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE:Higher Education Funding Council for England)は知識交換制度(KEF)の評価内容の作成のため技術諮問会を立ち上げたことを発表した。

 新しいKEFの評価システムの開発は大学・科学担当大臣であるJo Johnson氏によって発表され、最近政府が発表した産業戦略白書でも強調されていた。KEFはHEFCEに政策の準備を委託し、2018年4月からリサーチイングランド(RE: Research England)で管理する。

 KEFの評価システムは知識交換に対する大学のパフォーマンス(どのように情報・専門知識・その他経済や社会に貢献できる資産などを共有するか)を一般、企業に提供する。その目的は、知識交換の分野における各機関のパファーマンスを公平に比較し、定期的に更新されたデータを提供することである。これにより大学の更なる改善やより明確な説明責任を促進し、経済的社会的なニーズへの対応及び公共資金の効果的な利用に役立つことになる。

 またKEFは2020/2021学事年度までに高等教育イノベーション基金(HEIF:Higher Education Innovation Fund)に対して£2億5000万(375億円)の増資など、産業戦略も支援することになる。この増資により、大学が様々な方法で様々な規模の企業と協力することで産業戦略に貢献することを可能としていくことになる。

£1=150円で換算

http://www.hefce.ac.uk/news/newsarchive/2017/Name,116323,en.html

 

(13) UK-CHINA科学技術イノベーション戦略に調印

 12月6日、政府は中国と科学とイノベーション分野の連携を強めるための共同戦略を締結した。

 新戦略は両国の学術界、研究者、そして産業界の連携をサポートし、地球規模課題に共同で取り組んでいくための新たな機会を創出することを目的としている。

 英国政府が産業戦略として研究開発費に£23億(約3,450億円)の追加投資を発表して以降始めての国際共同戦略の合意となる。

 新戦略は中国との間で40年以上にわたり築き上げてきた科学・イノベーション連携をグレードアップしたものであり、中国がバイラテラルで調印をするのは初めてとなる。

 英国と中国の間には既に強いつながりがあり、2014年に立ち上げられたパートナーシップ基金により支援を受けた共同プロジェクトは460以上に上る。

 中国の研究成果が与えるインパクトは年々増加しており、論文引用率は20%以上増加している。英国と中国の共著論文の引用率は世界の平均の2倍以上のインパクトとなっている。

£1=150円で換算

 

https://www.gov.uk/government/news/joint-uk-china-strategy-for-science-technology-and-innovation-cooperation-sets-new-horizons-for-closer-international-collaborations

(14) EU離脱の第1段階の交渉で合意

 12月8日、BBCはメイ首相が英国とEUと第1段階の交渉で合意し、次段階交渉に発展することを発表した。今回の主要な合意点は下記の3点。

  1. 精算金
  2. 在英EU市民の権利
  3. アイルランドの国境問題

http://www.bbc.co.uk/news/uk-politics-42277040

【各機関の反応】

英国大学協会(UUK : Universities UK) 会長Alistair Jarvis氏のコメント

  EUと第1段階の交渉合意を歓迎する。大学として第一優先の課題であった市民権の合意は大変喜ばしい。本日の発表で英国の大学等機関で働くEU市民46,000人の英国での定住と就労が確定された。又5年連続で国外にいても定住の権利を失効しないことも歓迎したい。ホライズン2020やエラスムス+など英国の大学や学生、研究者がプログラム終了まで継続できるということは肯定的なニュースである。

 第二段階の交渉は大学にとってとても重要である。英国大学協会は政府やEUの関係者と協力し、英国の大学が離脱後も十分な成果を出し続けられるよう、また次期研究とイノベーションプログラム(FP9)などに悪影響がないように努力をしていく。優秀なEUの研究者や学生が英国において就業、学業を行なうため障壁を最小限にするための移民制度は離脱後の最優先課題である。

http://www.universitiesuk.ac.uk/news/Pages/Initial-Brexit-deal-good-news-for-universities.aspx

ラッセルグループ 事務局長Tim Bradshaw氏のコメント

 EU離脱の過程が始まって以来、EU市民の権利が最優先課題であった。離脱の時点まで英国に到着する者に対して退去協定が適用することが確認された。至急この協定を英国法に取り入れることを希望する。ホライズン2020、エラスムス+に関しても大きな前進となり、大学もこの機会を十分に活用することを期待する。

  第二段階の交渉は、40年間かけて築いてきた関係を元に、野心的な研究取極めを早急に進める必要がある。包括協定において共同連携を長期的に継続することは英国・EU双方にとって有益である。

 http://russellgroup.ac.uk/news/brexit-sufficient-progress/ 

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