ZOLD英国学術情報
2018年2月22日 2018年2月英国高等教育及び学術情報
(1) UKRI議長にジョン・キングマン氏
1月16日、ビジネス・エネルギー産業戦略省(BEIS:Department of Business, Energy &Industrial Strategy)は、2018年4月から発足するUKRI議長に、今まで暫定議長であったJohn Kingman氏を引き続き指名することを発表した。
Kingman氏略歴:・Legal and General 株式会社会長
・2016年7月まで財務省第二事務次官を務め、在任中はサイエンスイノベーションに関する政策に携わる。
・2004年には政府のサイエンスイノベーション10年計画を主導。また、長年にわたり研究開発に関する税控除政策の立案にも携わってきた。
https://www.gov.uk/government/news/sir-john-kingman-announced-as-chair-of-uk-research-and-innovation
(2)EU離脱後、英国大学もEUファンドにアクセス可能に
1月17日BBC Newsは、Imperial College Londonがフランスのトップの研究機関と提携を開始し、EU離脱後もEUの研究資金へのアクセスを可能としたことを伝えた。
同大学はフランスの最大の政府研究機関であるフランス国立科学研究センター(CNRS: National Centre for Scientific Research)と共同で、ロンドンに数学のラボを設立した。これにより、同大学の研究者及び英国の研究機関の研究者で国際数学連合(UMI: Unite Mixte Internationale)の新しい数学ラボ「Abraham de Moivre」で研究している者は、英国のEU離脱後もフランスが受けるものと同等の資金援助の対象となる。
Imperial College Londonの広報担当者は「UMIのメンバーはどの国籍であれ、資金、リソース、また特に重要な共同連携の機会、を平等に享受する事が可能となる」と話した。
フランス政府が英国において研究ラボに共同出資するのは初めてとなる。フランスにとっては、この新しいロンドンラボはフランスにあるラボと同等の位置づけになる。
フランス系数学ラボの設置は2016年6月のBREXIT国民投票以前から計画されていたが、今後EU離脱をする英国にとって、提携及び助成金調達の良い事例と期待されている。
Abraham de Moivreというラボ名は18世紀のロンドンで研究をしたフランスの数学者の名前にちなんでおり、“世界最高の数学を結集する”という意味がこめれている。
http://www.bbc.co.uk/news/business-42690438
(3)ビジネス・エネルギー、産業戦略大臣、フランスと研究開発分野での緊密な連携について協議
1月18日、英仏サミットにおいて、グレッグ・クラーク ビジネス・エネルギー・産業戦略大臣はフランスのBrune Poirson環境連帯移行大臣付副大臣及びDelphine Geny-Stephann経済・財務大臣付 副大臣と会談し、2国間のより緊密な連携でお互いの強みを生かした研究成果を導き出していくことで合意した。これにより英国政府の産業戦略の実現が加速されることが期待される。
両国はR&Dに関する専門機関であるイギリスのUK CatapultsとフランスのInstitutes Carnotのより緊密な連携などについて合意し、2018年には、デジタルセキュリティ技能やAI、デジタル政府をテーマにしたデジタル専門家会合を開催することとした。
また、研究者同士の連携促進のため、年間あたり約£90,000(約1,350万円)投資する、研究者モビリティ基金の設立を発表した。
また両国の宇宙局は、火星探査、宇宙気象観測、カリブ地域災害に際してのサテライト遠隔通信サービスに関する連携について合意書にサインした。
£1は150円で換算
(4)TEF3 の審査委員発表、評価作業の開始
1月22日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE:Higher Education Funding Council for England)は 第3回教育及び学生の成果評価制度(TEF: Teaching Excellence and Student Outcome Framework)に126の高等教育機関が参加する旨を発表するとともに、評価委員の詳細も発表した。TEFは政府によって導入された評価制度で、教育の質を評価し、高等教育の進学を考えている人に進学先の選択肢に関する情報を与えるものである。
昨年は230の高等教育機関が3年間有効となる評価を受けたが、そのうちのいくつかの機関は今般の新しい評価基準の導入を受け、再度参加する。
23大学と40の生涯学習機関、29の準高等教育機関のトータル92機関が全ての評価項目への参加を表明しており、その他の34の機関はデータが不足するため暫定的なTEFとして評価を受ける。
92の全評価対象の高等機関のうち、3分の1は初めてTEFに参加する。他の3分の1はTEF2にすでに参加したが、評価の有効期間の期限となるための参加、残りの3分の1は再申請という内訳である。
評価は学生、著名な学者、各分野の専門家などにより行われる。評価結果は「金・銀・銅」によって表される。結果は2018年6月初旬頃に発表される予定。
またこれとは別に、50機関は試験的評価として、学科レベルのTEFに参加する。この試験的な学科レベルでの評価は開発中のため、結果は発表されない。
http://www.hefce.ac.uk/news/newsarchive/2018/Name,116459,en.html
(5)UKRIが研究とイノベーションのインフラに関するロードマップを作成
1月22日、UKリサーチ・イノベーション(UKRI : UK Research Innovation)は今後の活動のロードマップを策定中であることを発表した。これまで英国でこのような大掛かりなロードマップ作成に着手したことがないため、困難な作業といえる。これにより英国の現状への理解を深め、将来の計画を理解することが可能となる。UKRIは大学・科学担当大臣よりこの作業着手依頼を受けて取り組んでおり、2027年までに英国GDPの2.4%が研究開発費に投資されるという政府の計画に貢献することが期待されている。
○研究とイノベーションのインフラとは?
研究やイノベーションに係る機関が研究を実施するための施設や資源、サービス。例えば:
- 主要な研究備品(用具一式)
- コレクション、アーカイブ、データなど知識資源
- データ、コンピュータシステムや通信網のITインフラ
- 卓越した研究やイノベーションを達成するためのその他必須アイテム
○ロードマップとは?
研究やイノベーションのための全体的なインフラの概観や、計画を達成するためのステップを示した戦略的プラン。
○その目的は?
既存の国内インフラ及び英国が参加している主要な国際的施設の利活用、研究上あるいは経済的社会的な将来のニーズ、及び投資の重点化計画などを考慮しながら長期的(2030年まで)なロードマップを考えている。
その他に以下の点が含まれる:
- 将来の研究とイノベーションの優先順位を見極める。
- 相互連携の機会の増加。
- UKRIの長期投資計画の策定。
- 研究やイノベーション分野でのグローバルリーダーとしての英国のプロモーション。
- 長期的なビジョンを達成するための重要なステップの立案。
○各セクターのテーマ
ロードマップは下記の分野横断的課題で構成される。多くのインフラは複数の課題に貢献することになる。
- 生物化学、健康、食品
- 環境
- エネルギー
- 物理科学、工学
- 社会科学、芸術、人文科学
- コンピューター、 ITインフラ
○スケジュール
- プログラム開始-- 2018年1月
- 中間報告発表- 2018年11月
- 最終報告発表- 2019年 春
https://www.ukri.org/news/infrastructure-roadmap/
(6) 新時代に必要な技能習得を目標とした新課程開発のため、政府は大学等に£6,100,000を配分
1月23日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE)は新時代に必要となる技能習得のための新課程開発費用として、£6,100,000(約9億1,500万円)をイングランドの30以上の大学に配分することを発表した。政府の新産業戦略目標達成に向け、各機関は産業界と連携して新課程開発を行うことになる。
HEFCEのCatalyst Funding Programmeを通して1機関あたり£200,000(約3,000万円)を上限として予算が配分され、それに大学独自の予算及び各企業等からの投資を加えて開発に取り組む。
取組み例:University of Bristol クラウドコンピューティング(£2,000,000)
University of Cambridge ヘルスケアデータに関する技能習得(£199,400)
£1は150円で換算
http://www.hefce.ac.uk/news/newsarchive/2018/Name,116468,en.html
(7)メイ首相、ダボス会議にてプログラミングのコンソーシアム(Institute of Coding)設立に£2千万の投資を発表
1月25日、メイ首相はスイスで開催された世界経済フォーラム(通称ダボス会議)において、政府の産業戦略達成のため、デジタル技能者の育成のためにプログラミングに関するコンソーシアムを設立し、£2千万(約30億円)を投資することを発表した。
コンソーシアムには、産業界からはIBM、Cisco、BT、マイクロソフトやその他中小企業、25の大学や専門機関(British Computer Society やCRESTなど)など、合計60以上の機関が参加する。参加予定大学は、UCL、Newcastle University、University of Arts、Open University and Birkbeck、University of London等となっている。
政府からの投資£2千万に加えて、民間からも同額の£2千万と技能トレーニング及び備品無料提供などが投資されることとなっている。
Institute of Codingの主な5つのテーマ
- The Open University担当「大学の学習者に対する支援」:新産業で求められる標準的な技能をターゲットにした単位を習得させることで、卒業生の就業率を上げる。実社会のビジネスにおけるトラブル解決やビジネス開発能力の育成、技術・技能習得を目指す。
- Aston university担当「デジタル人材育成」:戦略的な開発分野にかかる専門家の育成に取り組む。
- Coventry University担当「専門技能育成手法のデジタル化」:オンラインやFace to Faceでデジタルの新技能習得に取り組む手法の開発。
- Queen Mary University of London担当「より幅広い人材のデジタル技能習得促進」:未だ就業率の少ない女性等にテクノロジー関連の学習やキャリアへの参入を促進させるため、専門のワークショップやキャンプの開催など、アウトリーチ活動に取り組む。
- University of Bath担当「知識の共有と持続性」:プログラミングコンソーシアムの継続的な活動と成果の共有のため、調査分析や将来必要とされる技能の予測等を行う。
£1は150円で換算
https://www.gov.uk/government/news/prime-minister-announces-20-million-institute-of-coding
(8)高等教育志願者18歳の上昇
2月5日、大学入試機関(UCAS:Universities and Colleges Admissions Service)は1月15日に締め切られた2018年度の英国大学(学部)志願状況を発表した。
主なポイント:
・イングランドの18歳の志願者数は記録的で前年より0.4% 上昇し志願率37.4%、ウェールズは0.3%上昇で32%、北アイルランドは安定して42.7%。スコットランドは0.2%の減少で32.5%、しかしスコットランド学生の3分の1はUCASを通して志願をしないため、正確な数字は把握できていない。
・英国全体では、18歳人口の高等教育機関への志願率は昨年に比べ1%の伸びを示した。
・1月15日までに全体でおよそ559,000人が入学希望願書を提出し、昨年に比べて0.9%減少した。これは全国で2.5%減少した18歳人口と、19歳と25才以上の志願者数の減少が要因と見られる。
・EU圏(3.4%増加,43,510人)と非EU圏(11%,58,450人で記録上最高)からの留学生増加があった。
・イギリスでのすべての年齢層で、看護科への志願数が13%減少した。
・イングランドでは18歳の志願率は男女共に過去を上回っており、2018年の男女の志願率は英国全体で高い。また男性より女性の方が高等教育への進学を希望しており、志願者は36%であった。これは昨年に比べ若干の増加であった。
・スコットランドでは男性の志願率が増加。女性の志願率は減ったものの56%であった。ウェールズでは志願率は増え、女性の志願率は48%であった。北アイルランドでは若干の志願率増加があり、女性の志願率は40%であった。
・イングランドの恵まれない環境に住む生徒の志願率は22.6%と記録的に伸びている。北アイルランドも伸びており24.5%、ウェールズでも19.7%と昨年と同様程度であった。最も恵まれている環境とそうでない環境では志願率の溝は埋まってきている。昨年に比べると恵まれた環境の学生の方がそうでない学生に比べ2.3倍志願している。
UCASでは6月30日までまだ志願をすることが可能であることを呼びかけている。2018年12月にはその総括的な結果を発表する予定である。
asia_university_ranking_2018docx.docxをダウンロード
asia_university_ranking_by_countries_and_areadocx.docxをダウンロード
japanese_universities_in_asia_university_ranking_2018_docx.docxをダウンロード
UCASの詳細データ
(9)科学担当大臣、EUの研究担当大臣たちと科学・研究イノベーション分野での共同研究の促進について約束
2月5日、Sam Gyimah科学担当大臣はブルガリアで開催されたEU競争力担当相理事会主催のResarch dayに出席し、欧州の研究担当大臣たちと研究・イノベーション開発について意見交換した。
会議においてSam Gyimah大臣は、欧州が科学イノベーション分野において卓越性、競争力、世界に向けて開かれた門戸を維持し続けるという野心的な目標のために、英国は将来にわたって先導的な役割を果たしていくことを約束した。
また、各国との二国間会合においては、特に懸念されている英国と欧州の研究者の流動性について意見交換を行った。大臣は、EUとの間で科学イノベーション協定を結ぶ用意があることを強調し、英国がEUメンバーにとどまっている間のEUの競争的資金獲得への参加資格の保証を求めた。
EU競争力担当相理事会は、EUの研究担当大臣にEUの研究とイノベーションに関する政策について協議する場を提供してきており、今回のテーマは「イノベーションの加速化と人々への投資」であった。
(10) Times Higher Education アジアランキング2018—被引用論文により、最新のアジアランキングで中国が急増
2月6日、英国高等教育専門雑誌Times Higher Education は2018年のアジア大学ランキングを発表した。350位(リスト上350+の大学)まで発表した評価結果は①教育 ②研究 ③被引用論文 ④国際性 ⑤産業収入、に分類される13指標から導き出された結果である。
1位は3年連続でシンガポールのNational University of Singapore。日本からは89大学がランクインし、国別では昨年に続き最多であった。また中国の活躍が目立ち、同誌世界ランキング論説員のPhil Baty氏は“中国は過去20年に渡り卓越した研究に投資したことが実っている。”と述べた。
(11) イングランド高等教育財政会議(HEFCE)が専門課程別就職率をみる全く新しい指標を紹介
2月9日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE: Higher Education Funding Council for England )は、OSCR(the occupations subject concentration ratio)という、それぞれの専門課程で学んだことがどの程度実務に結びついているかを計る新しい指標を導入した。これは高等教育機関卒業生の就業・進学先のデータ(DLHE: Destination of Leavers from Higher Education Survey)をもとに導き出されている。
薬学、歯学、看護学など、全ての専門課程のうち約10%は非常に実務的であるとされた。次いで土木工学、IT、造園設計などが続く。それ以外の課程の卒業生は幅広い分野の仕事に就いており、その分実務性は前述の課程に比べると低いとみなされる。
OSCRの分析結果によると、より実務性が高いとされる専門課程の卒業生は、学んだことを生かし、より収入の高い職業に就く機会に恵まれている、としている。また、あまり実務に直結しないとされた数学や物理学、経営学などの分野の卒業生も、キャリアの早い段階においてよい成果を生み出していることが分かった。
これらの指標は、各専門課程で学ぶべき内容がより実務的であるべき、ということを意図しているものではない。むしろあまり実務的ではないとされる分野で学んだ卒業生のほうが、より幅広い選択肢があることがわかった。
http://www.hefce.ac.uk/news/newsarchive/2018/Name,116506,en.html
(12) 英国高等教育の研究活動に関する調査(Facts and Figures)
2月9日、英国大学協会(UUK: Universites UK)は英国高等教育の研究活動に関する調査結果を発表した。それによると英国大学の研究は世界中から評価が高く、経済的にも多くの利潤を得られるとしている。
レポートの主な点:
- 英国大学は世界クラスの研究成果を産出している
世界シェアでたった4.7%の研究者とわずかな投資であるが、論文については世界中の10%のダウンロード、11%の引用と15%の被引用論文があった。
- 国際共同研究は英国にとって重要である
1981年、英国研究の90%は純国産であったが、現在は半分以下となっている。英国でのトップ10研究のうち6の国際共同研究のパートナーはEUである。
- 英国大学は英国以外の学術スタッフをますます頼りにしている
2004/2005学事年度以降英国人以外の研究スタッフ数の割合が増加している。2004/2005学事年度は34%であったのに対して、2015/2016学事年度は47%まで上昇している。
- 英国研究収入の£10億(約1,500億円)以上は海外から
2015/2016学事年度では英国大学は£78億(約1兆1700億円)の研究収入があった。そのうち£8億4000万(約1,260億円)は英国以外のEUから、£4億4000万(約660億円)はそれ以外の国からであった。
- 知識交換活動(Knowledge exchange)は英国に大きな利潤をもたらす
知識交換活動による大学収入はGDPの成長率を上回っている。2015/2016学事年度では£42億(約6300億円)であった。政府は研究開発に対して投資額を引き上げ、10年以内にOECDの平均に到達することを約束した。
http://www.universitiesuk.ac.uk/news/Pages/UK-produces-world-leading-research.aspx
2018年2月06日 2018年1月英国高等教育及び学術情報
(1) 23大学が試験的学生ビザ制度に参加。
12月18日、内務省(Home Office)は学生ビザ発行手順の簡素化を23大学に対して広げる事を発表した。この試験的学生ビザは修士課程の留学生に対して発給されるものである。
現在この制度は2年目を迎えており、すでにOxford, Cambridge, Imperial College, Bathの各大学で、期間が13ヶ月かそれ以下のコースの修士課程の留学生を対象として行われている。また労働ビザにも移行でき、コース終了後6ヶ月間、引き続き英国に滞在が認められるため学生にとっても大きな支援となっている。
本制度では、大学側に入国資格審査責任があるため、学生はビザ申告において通常より少ない書類の提出で済む。新たに加わる23大学はスコットランドの2大学、ウェールズの2大学、北アイルランドの1大学となっている。
最近の内務省の調査によると、学生ビザ申請の数は昨年に比べて8%増加しており、ラッセルグループの大学へは9%の増加があった。
23大学は2018/2019学事年度よりこの試験的手続きを開始できる。ビザ申請に当たって発給拒否率が常に低かった地区の大学が本制度の対象として選ばれている。
https://www.gov.uk/government/news/twenty-three-universities-join-student-visa-pilot
【各機関の反応】
○ラッセルグループ 事務局長のTim Bradshaw氏のコメント
留学生は我々のキャンパスを国際色豊かにし、地域産業が世界と繋がるきっかけをつくり、英国に大きな経済効果をもたらす。ラッセルグループ大学への留学生7人ごとに£100万(1億5000万円)が英国経済に恩恵をもたらしている。
パイロット対象大学の拡大は良いニュースである。英国は世界中の優秀な学生からの恩恵を受けることを可能にした。今回選ばれた大学が高いレベルでビザ規定を遵守し実行し、更に他の大学にも広げていけることを期待する。
http://russellgroup.ac.uk/news/tier-4-visa-pilot/
£1は150円で換算
○英国大学協会(UUK:Universities UK)会長のAlistar Javis 氏のコメント
留学生は文化的にも経済的にも英国に利益をもたらす。どんな大学であれ、ほとんどの学生がビザの規定に従っていることも証明されている。
政府が留学生の恩恵を認め、卒業後の就労機会までも与えることになれば、留学生にとって英国が留学先として魅力を増すことになる。近い将来政府が英国すべての大学に本制度を適用することを期待する。
世界的な留学獲得競争は激化しており、英国は更なる学生ビザの改定をすることで世界からの留学生を歓迎する、魅力的な国で居続けることが必要である。
http://www.universitiesuk.ac.uk/news/Pages/Twenty-three-universities-join-student-visa-pilot.aspx
(2) 新たな大学規制機関活動開始― 学生局 (Office for Students)
1月1日、教育省(DfE: Department for Education)は学生局(OfS)の本格的な活動開始を発表した。本組織は、学生の利益を守り、選択肢を拡大させ、より効率的な投資を受けることを保障して行くことを目的としている。
教育大臣であるJustine Greening 氏は最後の6名の理事会メンバーを発表し、合計15人のメンバーが明らかになった。
学生局は、高等教育機関の多様なニーズを反映していくだけでなく、雇用者と学生の両者にとっても有意義であるかどうかを検証する。また、学長の賃金や言論の自由などの問題について大学に対し責任を問う機関となる。
また、今までイングランド高等教育財政会議(HEFCE : Higher Education Funding Council for England)において行われてきた、高等教育機関に対する規制や、大学が提供する教育の質に関して責任の追及の役割も担う。
昨年決議された高等教育研究法(2017)に沿った改革となり、学生局は学生、雇用者及び納税者の利益や選択肢の拡大に考慮する明確な法的義務を負うことになる。
https://www.gov.uk/government/news/new-universities-regulator-comes-into-force#history
(3)内閣改造結果
1月9日、BBC NewsはMay内閣の改造を報道した。高等教育/研究機関関係である、教育省(DfE: Department for Education) とビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS: Department for Business, Energy and Industrial Strategy )の担当大臣は以下の通り。
教育省
大臣職
- 旧:Justine Greening 氏
- 新;Damian Hinds氏
Damian Hinds氏略歴:
オックスフォード大学で政治、哲学、経済学を専攻。18年に渡り英国内外のパブ醸造およびホテル業界に従事。2010年5月の総選挙でEast Hampshireで初当選。下院教育委員会(Education Select Committee)に選出され2012年10月まで務めた。国会議員で構成される社会的流動性審議委員会(All-Party Parliamentary Group)の議長も務めた。その後2014年7月から2015年1月まで与党院内幹事補(Assistant Government Whip)、2015年5月から2016年7月まで財務省秘書官(Exchequer Secretary to the Treasury)。前職は2016年7月から2018年1月まで労働・年金担当大臣(Minister of State for the Department of Work and Pensions)。
ビジネス、エネルギー、産業戦略省
ビジネス、エネルギー、産業戦略省大臣のGreg Clark 氏は続投。
担当大臣 (DfEとBEISともに所属している担当大臣)
- 旧:Jo Johnson氏 (大学・科学担当大臣)
- 新:Sam Gyimah氏 (大学・科学担当大臣)
Sam Gyimah氏略歴:
オックスフォード大学、Somerville Collegeで政治、哲学、経済学を専攻。ゴールドマンサックスで5年間過ごした後、数々の中小企業の訓練、雇用、インターネット部門の育成開発会社を起業し、2005年その功績が認められ、CBIの「未来の起業家」に選出された。2010年5月の総選挙でEast Surreyで初当選し, 2013年10月から2014年7月まで財務省で財務長官(Lord Commissioner (HM Treasury) Whip), 2014年7月から2015年3月まで内閣省で議会政務次官(Parliamentary Secretary)、2015年5月から2017年7月まで教育省で政務次官(Parliamentary Under-Secretary)を務める。前職は2016年7月から2018年1月まで法務省で政務次官を務めた。
http://www.bbc.co.uk/news/uk-politics-42619018
Daimian Hinds : https://www.gov.uk/government/people/damian-hinds
Sam Gyimah : https://www.gov.uk/government/people/sam-gyimah
(4) 高等教育機関の報酬コード
1月9日、大学議長委員会(CUC: Committee of University Chairs )は、大学の上級職に対する給与額決定過程を透明化し、適切かどうかを確認するため、自主的な規範の草案を作成したことを発表した。
CUCは本ガイドラインの正式な審議期間を設け、意見募集を行っている。意見提出期限は2018年3月12日。
http://www.universitychairs.ac.uk/home/remunerationcodeconsultation/
【各メディア、関係機関の反応】
○BBC News:
大学上級職の給与は平均的な学術スタッフより昇給率が早いということは期待されていない。CUCのこの草案に対し、学生局(OfS: Office for Students)の最高責任者であるNicola Dandrige 氏は”不十分である。我々は給与額に関心があり、給与額の決定過程に関心があるのではない“と述べた。
昨年は大学長の過剰報酬が問題となり、前大学・科学担当大臣のJo Johnson氏との会合後、各大学長は新しい給与ガイドラインの作成に合意していた。又同氏は高額な給与に対して抑制を求め、新しい規制機関である学生局の介入を求めていた。
http://www.bbc.co.uk/news/education-42623935
○Guardian:
大学長は大学職員の平均的な給与額の約8.5倍の給与報酬を受けている、ということについて、大学側は今後過剰な報酬を抑制するガイドラインに沿って、その支払い額の正当性を説明することを求められることとなる。
大学職員の労働組合である大学組合(UCU:University and College Union)は毎年、大学長の給与を発表しているが、大学議長委員会(CUC)が作成した新しいガイドラインを却下した。同組合の書記長であるSally Hunt氏は「大学上層部の給与について真剣に取り組みたいのであれば、CUCのように近しい関係ではない機関がやるべきである。先月CUCは大学長の給与は不等に高額な金額が支払われているという証拠が見られなかったと発表している。何年も前から大臣たちは大学長の給与の著しい上昇に関して調査するように求めている。これまでも我々は給与委員会が身内の給与を決定してきているということを強調してきた。」と述べた。
また、新しい規制機関、学生局(OfS: Office for Students)の最高責任者であるNicola Dandrige 氏は報酬コードを歓迎しながらも不適切であることを述べている。「大学側が正当な給与額を定めるというリーダーシップが必要である。給与水準に関心があり、決定された過程を知りたいのではない。提案されたCUCの規範の精神に基づき各高等教育機関が行動し、この過剰給与そのものに取り組むことを望む。しかし不等な給与水準に直面した場合、OfSは介入をすることに躊躇はしない」と述べた。
○英国大学協会(UUK : Universities UK)
UUKの広報担当者のコメント:
大学上層部の給与決定過程は厳格で透明性が期待される。新しい規範は大学給与委員会に重要な指針を与えるとともに、上級職の給与が公正、説明責任に基づいており、理にかなっていることも確認している。一方で競争力のある給与は優秀な人材をひきつける原動力でもあるということが認められている。
○ラッセルグループ(Russell Group)
同グループの会長であるAlistair Jarvis氏のコメント:
CUCから発表を歓迎する。大学の上級職の給与を適当な水準に設定するには、透明で公平な決定過程と説明責任があることが重要である。新規範案やガイダンスはそれらの分野を網羅しており、大学の今後の発展に役立つだろう。
http://russellgroup.ac.uk/news/higher-education-remuneration-code/
(5) 留学生は受入れにかかる費用の10倍の価値をもたらし、英国民1人に対して£310の価値をもたらす
高等教育政策研究所(HEPI: Higher Education Policy Institute)とKaplan International Pathwayは共同研究成果「議会選挙区別による留学生の費用と利益」を発表した。分析は政策経済のコンサルタントのロンドンエコノミックスが行った。
これまでに研究と異なり、毎年新しく訪れる231,000人の留学生にかかる費用とその利益を分析したものである。
例として:
- 総利益- 留学生の学費も含み、その他の支出の波及効果は£226億(3兆3,900億円)
→上記の総利益はEU留学生は平均で£87,000(1,305万円)、非EU留学生£102,000(1,530万円)の費用から出ている。
- 留学生の受入れにかかる公費用- 教育,保健、社会保障などの総額は£23億(3450億円)
→上記の公費用は平均でEU留学生は£19,000(285万円)、非EU留学生は£7,000(105万円)
- 留学生受入の純利益― 総額£203億(3兆450億円)
→上記の純利益はEU留学生£68,000(1,020万円)、非EU留学生£95,000(1,425万円)
£1は150円で換算
【メディアの反応】
○インディペンデント紙
留学生が毎年£20億も英国経済にもたらしているという報告は、留学生を移民法で規制しようとしているメイ首相をますます議会で孤立する可能性を強めた。
留学生の恩恵を受けている20選挙区のうち19選挙区が労働党の議席である。
○BBC News
HEPIの理事長Nick Hilmman氏は「留学生が少ない地区では雇用も少ない。なぜなら留学生は大学だけでなく地域にもお金を落としているからである。それがサンドウィッチ屋、自転車屋、タクシー会社、ナイトクラブや書店だったりする。留学生が減少した場合、地域の小企業は破産に追い込まれる可能性がある。」と語った。
また、「英国は世界レベルの大学が多く存在するが、同時に世界でも最も学生に敵意を持った政府がある。」というインドのHindustan Times 紙の読者からの最近の投稿を引用した。HEPIは政府に対して留学生の数を純移民数から取り除くようにと訴えているが、内務省は現時点ではその予定がないという回答であった。
もっとも留学生から利益を受けている選挙区トップ10
- Sheffield Central
- Newcastle upon Tyne
- Nottingham South
- Oxford East
- Manchester Central
- Holborn and St Pancras
- Liverpool, Riverside
- Cambridge
- East Ham
- Birmingham, Ladywood
(トップ10すべて労働党議員選出)
http://www.bbc.co.uk/news/education-42637971
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2016年9月
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