• UK-JSPS Alumni Association

13 Dec 2017 EPSRC-STFC-JSPS Symposium: Innovation in materials characterization: UK-Japan studies on energy-related materials using Synchrotron radiation

eventcall

Date: Thursday 22 February 2018

Venue: Near the Harwell Science and Innovation Campus, Oxfordshire.


The purpose of this symposium is to bring together researchers in the UK and Japan working on characterisation of materials for energy applications and will provide a unique opportunity to:

• network with researchers in the UK and Japan working on characterisation of energy related materials and form new connections;

• hear about the cutting edge research enabled by synchrotron facilities in the UK and Japan; 

• engage with EPSRC, ISIS and JSPS on their current initiatives and activities enabling international collaboration in this area.

If you would like to attend, please complete the registration form at the following web link:

http://www.smartsurvey.co.uk/s/UKJSPS/

* The closing date for registration is Thursday 18 January 2018.

For enquiries please contact: PhysicalSciences@epsrc.ac.uk.

2018 Master’s and Doctoral Programmes at UNU-IAS in Tokyo

2018 Master’s and Doctoral Programmes at UNU-IAS in Tokyo

The United Nations University Institute for the Advanced Study of Sustainability (UNU-IAS) is now accepting applications for September 2018 admission to our postgraduate degree programmes: the Master of Science in Sustainability and the PhD in Sustainability Science. The application deadlines are 28 February 2018 for the master’s programme, and 27 April 2018 for the doctoral programme. Both programmes start in September 2018.

2018unuiasflyer_pdf

For more information, please find it here.

04 Dec 2017 LSHTM & Nagasaki University: partnership successes and opportunities

symposium

LSHTM & Nagasaki University: partnership successes and opportunities

Date:         Monday 11 December 2017

Time:         14:30 - 16:30

Venue: Keppel Street, London, WC1E 7HT, United Kingdom

Room:       Manson Lecture Theatre

Registration is required. Please sign up for the event at the follwing website:

Registration and Event Details

30 Nov 2017 Newsletter No.54 (Aug-Oct 2017) now available


The latest issue of JSPS London's newsletter is now available online. To view the publication click here. PDF(1.8MB).

Vol_54_front_cover

17 Nov 2017 Experience Japan Exhibition 2017

The Experience Japan Exhibition will be held at the Royal Society in London on Saturday, 18th November 2017, introducing various study and work opportunities in Japan. This year JSPS will run a session 'Conducting Research in Japan' where you can learn about JSPS programmes as well as hear accounts of research life in Japan from our alumni.
The event is hosted by Keio University, co-hosted by the British Council, and supported by JSPS and other funding agencies.

Event Programme and Registration

2017年12月01日 2017年11月英国高等教育及び学術情報

(1)英国大学の願書10月締切分の内訳概要発表

 10月23日、大学入試機関(UCAS: Universities & Colleges Admissions Service)は2018/2019学事年度入学希望で10月締切分の結果を発表した。

 10月15日に締め切られた願書総数は61,440人で前年より7%(4,250人)の増加であった。締切の対象は英国内大学の医科、歯科、獣医科、医薬科およびCambridge, Oxford の全学科である。

 UCASの理事長であるClare Marchant氏は「これらの学科や大学は常に人気がある。将来に対して不透明感ある現在、英国の高等教育は英国の学生だけでなく、EUの学生や全世界的にも魅力的だということは大変うれしく思う。しかし2018年1月15日の締め切りの結果を待って英国高等教育の需要を知る必要がある。」と述べた。

 英国の学生の志願数は6%(2,530人)増加し41,970人となった。2010年以来の最高記録となる。英国では18歳の人口が減少(-3%)しているにも関わらず18歳の志願数が増えており、イングランドでは+8%、ウェールズでは+7%、合計で2,190人増加している。

 今回の締切で初志願者数は8%増し、56,020人、再志願者数は1%減り4,220人であった。

 EUからの志願者は6%(370人)増加し6,610人、昨年の9%減少から一転増加した。EU以外からの志願者は12%(1,350人)増加し12,860人であった。

 イングランドの医学系の志願者数は、19歳の初志願者の確実な人数に支えられ16%(1080人)増加し、7,770人となった。この増加は2018年からの医学部定員の500人増が影響している。

https://www.ucas.com/corporate/news-and-key-documents/news/number-applicants-october-deadline-university-courses-reaches-highest-recorded-ucas-figures-reveal

 

(2) ヨーロッパの大学指導者がEU離脱に関する早急な取り組みと明確さを要求

 10月25日、将来のヨーロッパにおける研究・連携・学生の流動性などについての議論に取り掛かるため、ヨーロッパの高等教育機関の首脳陣が英国政府に対し、離脱交渉を早めることを要求した声明に署名をしたことを伝えた。(英国大学協会(UUK: Universities UK)発表。)

 声明はヨーロッパ全土の大学や大学長会議など22の機関により発表されたもので、2019年3月に英国がEU連合を離脱後、ヨーロッパの研究、イノベーションプログラムであるホライズン2020や、交換留学プログラムであるエラスムス+の今後のあり方を明確にさせたいという意図により発表されたものである。

 研究、高等教育分野についてはEU離脱交渉の第1期の結果に従い第2期に討議される予定であったが、2017年10月20日に終了した欧州理事会サミットでは第2期を開始させるほど十分な進展がなかった。交渉の遅れは高等教育機関が直面する不透明な状態を先延ばししたことになった。

 同協会の理事長でLiverpool University のJanet Beer学長のコメント:

 我々欧州の高等教育機関は、2019年の研究・連携。交換留学について方針を決める最終段階に入っている。離脱後のホライズン2020への英国の参加に関しての早急な対応も迫られている。このプログラムからアクティブなネットワーク、優秀な人材、資金の提供を受けることで我々の研究は大きく前進した。このままではヨーロッパの研究が失速する危機がある。

 2019年も引き続き英国はエラスムス+に参加するのかしないのか、海外で勉強ができると希望を持って各国に留学したヨーロッパ中の学生が知りたがっている。エラスムス+などの海外留学プログラムは学生や大学、雇用者に大きな利益をもたらすものである。

http://www.universitiesuk.ac.uk/news/Pages/Europe%E2%80%99s-University-Leaders-Call-for-Urgent-Brexit-Clarification.aspx

 

(3)英国政府、重点ライフサイエンス分野に£1,700万(約26億円)を投資

 10月25日、英国財務省は国民保健サービス(NHS:National Health Service)と病気治療に役立つライフサイエンス分野に関する投資を発表した。これらの資金は政府の野心的な産業戦略の一環で、新薬開発とメンタルヘルス治療支援、最新の研究開発技術を臨床研究に転換させるものである。

 ライフサイエンス産業は毎年6千万人の患者に対して医療を提供しており、英国経済における重要な産業でもある。5,000社以上で約23万5千人が雇用されており、£635億(約9兆5千億円)の売上高を生み出している。

 財務大臣Philip Hammond氏は1,250人の科学者と250人のスタッフが新薬開発と将来の治療への応用に向け、最先端のバイオメディカル研究に取り組んでいる、欧州最大のバイオメディカル機関で、政府から£3,500万(約53億円)の投資を受けたフランシスクリック・インスティテュートを訪問し投資発表をした。

 投資は以下の3つの新分野に対して行われる。

  1. 低温電子顕微鏡:£500万(約7億5千万円)を、生体成分の3Dモデル作成のための最新の顕微鏡開発に充てる。これにより新薬の開発がより早く廉価にできるようになる。
  2. イノベーションハブ:£700万(約10億5千万円)を最新設備整備と研究者のための新しいラボ設立に充てる。このラボはエンジニアリング生物学、計測学および標準のための英国センターとしてイギリス国立物理学研究所(NPL: National Physical Laboratory), 国立生物学的製剤研究所(NIBSC :National Institute for Biological Standards and Control)とその他企業の共同研究の場として設立される。
  3. ビジネス促進:£500万(約7億5千万円)を、医学研究会議の“Confidence in Concept”(応用可能な基盤研究への支援プロジェクト)の商業化プロジェクトの拡大としてメンタルヘルス治療の促進に充てる。

 また、フランシスクリック、キングスカレッジ、キャンサーリサーチUKによって設立された英国企業、“GummaDelta Therapeutics” が25の新たな職を公募した。同社は今年はじめに新薬開発のため£1億(約150億円)の投資を受けている。

 英国はライフサイエンスの分野では世界を先導している。英国民は世界の総人口のたった0.9%を占めるのみであるが、世界で最も引用される論文の15.2%を占めている。この分野における研究の生産性は米国の2倍であり、ドイツの約3倍である。英国南東部(オックスフォード、ケンブリッジ、ロンドン含む)は世界的に有名なライフサイエンスクラスターとなっている。これらには世界大学ランキングのトップ20に入る4機関と、メディカルサイエンス分野において世界ランキングでトップ10に入る4つの学科と世界で最大の研究機関が含まれている。政府は、毎年20億ポンド(約3千億円)を追加支出し、支援していくこととしている。

*£1を150円にて換算

https://www.gov.uk/government/news/17-million-boost-to-the-uks-leading-life-sciences-sector

 

4)次期経済社会研究会議(ESRC)議長とUKリサーチイノベーション(UKRI)イノベーション推進理事を発表

 10月26日、Jo Johnson大学・科学担当大臣はJennifer  Rubin 教授(キングスカレッジ政策研究所所長)を次期経済社会研究会議(ESRC:Economic and Social Research Council)議長に指名した。またHarpal Kumar卿(キャンサーリサーチUK理事長)が英国研究会議(UKRI:UK Research and Innovation)のイノベーション推進理事に指名された。

 Rubin教授は2018年3月末までESRCの理事長を務め、4月1日にUKRIの設立と同時にESRCの議長となる。

 英国が研究とイノベーションの分野で世界を牽引し続けるために発足するUKRIの議長職は非常に重要なポストである。UKRIを形作る9機関それぞれに議長職が置かれるが、その役目は現在の各機関における議長と理事長双方の職務内容を果たすものになる。

 Harpal卿の新役職であるイノベーション推進理事はUKRI理事メンバーとして新しく設定され、イノベーションUKの一員としてUKRI内でのイノベーション促進と事業利益の拡大に務めることになる。

https://www.gov.uk/government/news/science-minister-announces-new-esrc-executive-chair-designate-and-ukri-innovation-champion

 

(5)英国政府、£1,500万(約23億円)を新しい工学系高等教育機関に投資

 10月26日、Jo Johnson大学・科学担当大臣は質の高い工学コースの提供に特化した新しい高等教育機関に£1,500万(約23億円)を投資することを発表した。

 次世代テクノロジー&エンジニアリング高等機関(NMiTE: New Model in Technology & Engineering)は、近年技術者の需要が急激に伸びている高度製造業やAI、サイバーセキュリティーの分野など、最先端工学分野について学ぶ大学になることを目指している。

 NMiTEは最初の入学者を2020年9月に受け入れ、次世代エンジニアの育成のために革新的な手法を採用することとしているほか、2年間短期集中コースで学位取得も目指す。

ユニークな手法として:

  • 講義ではなく実践ベースの学習プロジェクト。授業は教授と実務従事者により進められる。
  • 教育課程は事業主と共に開発する。卒業前に半年から1年の実務経験を必修とする。
  • 50:50のジェンダーバランス目標達成に向け、女子学生の受け入れを促進し女性の工学系卒業者数を増やす。
  • 多様性と社会的流動性を支えるため、奨学金受給者が学生全体の25%となることを目標とする。
  • 見習いとして業務に従事したことで高い技能を身に付けた者や軍隊除隊者等、工学系の学問のバックグラウンドを持たない者の積極的受け入れ。

 

 今回の投資は教授陣、キャンパス整備、カリキュラム開発に充てられる。NMiTEは多くのエンジニアや専門家を社会に送り出し、現在の社会における技能熟練者不足の解消に役立つことになる。

 新高等機関開設に当たっては、ワーウィック大学とQinetiQやHeinekenなどの事業主がカリキュラム開発に協力し、卒業後即雇用市場で実践できる人材の育成を目的とする。

 本計画は、生活水準を向上させ、生産性を上げることで経済成長につなげ、国全体の成長を促すという、政府の「産業戦略」の一環に基づくものである。

 工学系の卒業生数は近年急激に落ち込んでおり需要に供給が遠く及んでいない。非営利団体"エンジニアリングUK“の試算によると、年間20,000人の技術者が足りないとしている。

 今回の取り組みは、質の高い教育機関が高等教育のマーケットに参入しやすくすることで高等教育の質と競争を高めることを目的として制定された、2017年の高等教育研究法に基づいて行われるものである。

 政府は既に、若者が将来高賃金の高技術職につくための訓練が受けられるよう、£5億(約750億円)以上を投資する技術教育改革に取り組んでいる。

*£1を150円にて換算

https://www.gov.uk/government/news/multi-million-pound-funding-for-new-higher-education-provider

 

(6)英国大学協会国際部が 3年間の“Go International:Stand out” キャンペーンを立ち上げ

 11月2日,英国大学協会国際部(UUKi)は、2週間以上海外で学び、働き、若しくはボランティア活動に従事する学生数の増加を目指す、3年間の“Go International: Stand out”キャンペーンを立ち上げた。

 現在海外に出ていく学生はほんの6.6%に過ぎない。2017年4月、UUKiは政府の目標である「海外に出て行く学生の割合を2020年までに現在の2倍以上の13%にする」という目標をサポートするための活動を開始した。

 海外での経験が無い学生に比べ、海外経験のある学生の方が成績が良く、就職率も高いという調査結果が出ている。この効果は特に社会的に不利な立場にある学生に顕著に現れている。彼らの卒業後の平均収入は、海外の経験が無い学生に比べ6.1%以上多い。特に黒人については、海外経験者の無就業率は海外経験の無い者に比べ41%少なくなっている。

 海外での経験を通して得られることが期待されるスキルが、現時点では学生に十分に備わっていない。2017年に英国産業連盟(CBI:Confederation of British IndustryとPearson(教育出版社)の共同調査によると、事業主の39%が大学卒業生は国際的な感覚を十分に身に付けていないと考えており、47%が外国語力が十分でないと考えていることが明らかになった。

 また、ブリティッシュアカデミーの調査によると、中小企業の10社に7社は、将来社長になる者は外国語が話せ、また海外経験があるべきである、と考えていることがわかった。

 米国では15%、オーストラリアでは19%、ドイツでは25%の学生が海外留学の経験があり、英国は非常に立ち遅れている。しかもこれらの国々は更に学生の流動性を高めることを目指している。例えばドイツは2020年までに学生の半分が海外での経験を積むことを目標としている。

 Go International: Stand outキャンペーンでは、以下の活動を通して国家戦略をサポートしていく。

  • 各大学長にキャンペーンへの参加を促し、海外に出て行く学生数を増やすための活動に取り組んでもらう。
  • 各大学が学生の流動性を高めることに役立つリソースを開発する。
  • アカデミックや同窓会なども含めた海外留学に関するネットワークを構築する。
  • 海外留学に関する調査を実施しその効果をデータ上で示す。
  • 政府や海外機関と共に学生の海外留学の推進を支援する。

 このキャンペーンは英国政府その他関係団体から公認されているもので、すでに54大学がキャンペーン参加の意思を示している。

http://www.universitiesuk.ac.uk/International/Pages/uuki-calls-for-students-to-Go-International-Stand-Out.aspx

 

(7)英国政府、AI、ロボティクスリサーチ、スマートエナジー分野の研究に£8,400万(約126億円)を投資

11月8日、気候変動・産業担当大臣Claire Perry氏は、我々が直面する環境問題改善に役立つロボティックスやAIプロジェクト推進のため、産業戦略チャレンジ基金(ISCF: Industrial Strategy Challenge Fund)に£6,800万(約102億円)を投資することを発表した。

 この投資により、核エネルギー生成の際に発生する物質や宇宙ごみ、深海採掘などに対応するための北海の凍結深度で活動できるロボットやAIの開発に取り組むことになる。

 £約4,500万(約67億円)がマンチェスター大学、バーミンガム大学、サリー大学、及びエジンバラのヘリオットワット大学をベースにした新しいリサーチハブ設置のために使われる。

 工学・物理化学研究会議(EPSRC: Engineering and Physical Sciences Research Council)によって運営される中核的研究機関(COE: Centres of Excellence)においては、宇宙での活動や深部採掘、核エネルギーや沖合い風力など危険の多い厳しい環境でも安全に働けるロボティクス技術の開発に当たる。

 政府からの出資と共に、4つのハブは商業界や国際パートナーから約5,200万ポンド(約78億円)の支援を受けることになっており、またサリー大学のハブは英国宇宙局からの共同出資を受ける。

 またドイツで行われた気候変動会議COP23に先んじて、大臣は2件のスマートエナジーイノベーションコンペのために£1,600万(約24億円)を投資することを発表した。これは、10月に政府が決定した低炭素社会に向けた戦略“Clean Growth Strategy”の中で掲げられたクリーンテクノロジーイノベーションのために£25億(約3750億円)を投資する、という目標の一部となっている。

 これらのコンペは、ピーク時間帯の電力供給網の需要を抑え、低炭素発電の需要を増やすことで、コストと炭素排出量を減らしていくための技術開発に焦点を充てる。また、スマートエナジーシステムが学校や小規模サービス産業におけるエネルギー消費量を削減するための手法の開発にも活用される予定である。

 これらの取り組みは、今年7月に政府により発表された「Smart Systems and Flexibility Plan」に基づいて行われるものである。

*1ポンドを150円にて換算

 

 https://www.gov.uk/government/news/funding-for-84-million-for-artificial-intelligence-and-robotics-research-and-smart-energy-innovation-announced

 

(8) 教育費利益が研究費の穴埋めに。留学生一人当たり£8,000貢献

 11月9日、高等教育政策研究所(HEPI: Higher Education Policy Institute)は新しい報告書”How much is too much? Cross-subsidies from teaching to research in British universities” (著:Vicky Olive)で大学が教育で得た利益を研究費に当てている実態を指摘し、財務大臣であるPhilip Hammond氏に研究・開発費の予算の増額を呼びかけた。

 

報告書で指摘している点:

  • 研究費の赤字は£33億(約5000億円) ― 研究費収入の37%
  • 学費収入からの黒字は£13億(約2000億円)(非公的資金の教育収入の28%)
  • 研究費の13%は教育ファンドの余剰金(およそ£7ごとに£1)
  • 英国にいる留学生は平均で£8,000(120万円)、英国の研究に貢献している。
  • もし研究ファンドの増額がなければ、英国の地方都市で多大な損害が出る。
  • 保守党が掲げるGDPの3%を研究開発費に当てるという目標を達成しようとするとさらに£248億必要。

報告書での3つの推奨内容:

  • 本年度の予算で研究費として£10億(1500億円)の増資。
  • 大学/慈善団体の連携のため余分な公的資金を別に蓄えておく。
  • 政府の研究開発費に関する新しいロードマップの作成

University of Oxfordで経済学を専攻する大学院生であり、報告書の著者であるVickey Olive 氏は“教育で得た余剰金を研究に当てることで英国の大学を世界クラスに押し上げているが、大学がこれまでにないほどの危機に迫られている。政府は学生の学費を凍結をしたが、学生達はお金の使途をはっきりするように要求している。また留学生数は常に脅威である。学生が講義やセミナーで恩恵を受けていると考えているのであれば、教育から出た利益を研究に当てることは道徳的には間違いではない。しかしどの規模でこのようなことが行なわれているか、余剰金の行方を調査する権利はあり、その結果その価値や継続性などを議論できる。

 このプロジェクトを始めたときは特に隠された意思などなかったが、最終的にもっと予算が必要ということを強く確信した。より多くの民間資金、より多くの私的資金、そして明確な戦略が必要ということである。

 高等教育政策研究所の理事長であるNick Hillman氏は”研究費の不足分の穴埋めを教育費で賄っている理由として

  • 公的、私的支援金、及び慈善団体からの資金は研究・開発費をすべてカバーしていない。
  • 教育費から研究費の穴埋めは現在のレベルでは決して持続的ではない。
  • 政府は研究・開発費をGDPの約2倍とすることを目標にしているが、投入額は現状維持が精一杯という額でしかない。

戦略としてOECDレベルの研究費の増額投資を数年続けた後にドイツレベルの投資をすることである。(これは2017年の保守党の公約にも入っていた) 

http://www.hepi.ac.uk/2017/11/09/new-report-shows-international-student-pays-8000-towards-filling-gaps-uk-rd-spending-calls-philip-hammond-invest-1-billion-budget/

*1ポンドを150円にて換算

 

(9)教育評価制度(TEF:Teaching Excellence Framework)に学生は何を求めているのか?

 11月13日、英国内20を超える学生組合コンソーシアムが実施した「TEFはどのような調査内容、形態、評価であるべきか」(Teaching Excellence Framework: The Student perspective) の調査結果を発表した。国内123機関、8,994名の学生を対象に行われた。結果概要は以下のとおり。

  1. 84%の学生が、政府が教育評価を行い教育の質の向上を促す取り組みをすることを強く支持している。
  2. 多くの学生が現在TEFに含まれていない教育や学習環境に関する要素についても評価が行われていると考えていた。(IT環境:86%、図書館:93%、教育教材:94%)
  3. 学生のフィードバックが調査に活用されることを望んでいる。(教授やチューター、講師に対するフィードバック結果の活用:59%、学年末のコース全体のフィードバック結果の活用56%) 全国学生調査(NSS: National Student Survey)がTEF3では比重が半分になったことにより、学生のフィードバックはTEFにおいては重要な要素ではなくなりつつある。
  4. 大学における教育において最も重要な要素は何かという問いに対しては、「教育や教授等の質」が一番重要である、と考えており、「卒業生の就職状況」については一番低い(7番目)要素であった。
  5. 大学が質の高い教育をしているかどうかの判断要素として、リソースへのアクセスのしやすさよりも、卒業後の俸給の高さを重視する者が3倍弱であった。
  6. 68%が「学生が十分に成功できない」場合に大学は責任を追うべきであると考えており、34%が「就職率が低い」場合に大学は責任を負うべきだと考えている。また、18%が「学生が中退した」場合に大学は責任を負うべきだと考えている。
  7. 大学を「金・銀・銅」でランク付けすることに反対する学生はほんの20%であったが、60%の学生が学費の上昇とランク付けをリンクさせることに反対している。
  8. 大学が「銅」とランク付けされた場合、進学先として適切かどうか再考をする/志願しない、と答えた学生は50%に上った。
  9. 対して大学が「金」とランク付けされた場合、進学先として適切かどうか再考をする/志願しない、と答えた学生は6%であった。
  • 人種的マイノリティグループに属する学生のうち11%が、大学が「金」とランク付けされた場合、進学先として適切かどうか再考をする/志願しない、と答えた。他方白人学生で同様に回答した者は5%であった。
  • 学科レベルで同様の評価がされた場合についても、「金」とランク付けされた場合、進学先として適切かどうか再考をする/志願しない、と答えた人種的マイノリティグループと白人学生の割合は、上記と同様の結果であった。

http://wonkhe.com/wp-content/uploads/2017/11/tef-pr-research-report.pdf

 

(10)予算2017発表を前に

 11月13日、ラッセルグループの会長であるAston Muscatelli卿は11月22日の秋期財政報告書の発表に先駆けて政府に対して研究資金の増額を要求する書簡を提出した。

 書簡の中でAston Muscatelli卿は財務大臣宛に、以下を要求している。

 

・高等教育イノベーション基金(HEIF: Higher Education Innovation Funding)の増額

・英国全土の大学と企業間の知識ベースの相互交換支援のためHEIFと同様な助成金

・新しいテクノロジーが市場への参入を図るための資金

 HEIFに対して投資された£1ごとに£9.70(1455円)の利益が出ているという分析結果が出ている。Muscatelli卿はHEIFに対して毎年£2億5000万(375億円)の増額を提案している。また研究投資の影響力として品 質 関連の”QR”の資金の保護の重要性を強調した。

*1ポンドを150円にて換算

 

http://russellgroup.ac.uk/news/budget-2017/

 

2017年11月02日 2017年10月英国高等教育及び学術情報

(1) 米国との間で6,500万ポンド(約97億5000万円)のサイエンスパートナーシップ協定を締結

 9月20日、宇宙の謎を解明する米国とのグローバルサイエンス共同プロジェクトのために、政府は6,500万ポンドを投資すると発表した。この投資は新たに締結された英米間科学技術協定に基づき行われる。

 今回締結された米国エネルギー省との協定は、長期基礎ニュートリノ観測施設(LBNU:Long-Baseline Neutrino Facility)及び地下深部ニュートリノ実験(DUNE:Deep Underground Neutrino Experiment)実施のためのものである。この投資により、英国が国際的なDUNE実験に将来的に関わり続けていくことが可能となった。

 英国リサーチ・イノベーション(UKRI: UK Research Innovation)のひとつとなる、英国科学技術施設会議(STFC: Science and Technology Facilities Council)が英国側の施設の管理や研究者の支援に当たる。

*1ポンドを150円にて換算

 

http://www.stfc.ac.uk/news/uk-signs-65m-science-partnership-agreement-with-us/

(2) 創造産業クラスタープログラムの創設

 9月22日、グレッグ・クラークビジネス・エネルギー・産業戦略大臣は、芸術・人文学研究会議 (AHRC: Arts and Humanities Research Council)が「創造産業クラスタープログラム」を新たに立ち上げたことを発表した。英国内のグローバル企業と大学がコラボレーションし新たな創造が生み出されることが期待される。

 2018年中に開始予定の本事業には約8千万ポンド(約120億円)が投資されることになっており、経済成長を促すエンジンとなるような革新的な製品やサービスを早い段階で発掘し助成していくことを目的としている。8つの産学連携事業を支援していく予定。また、画期的な取り組みをしている企業であれば、どのような規模であっても支援していくこととしている。

 同時に、国立創造産業政策評価センター(national Creative Industries Policy and Evidence Centre)が設立される。このセンターでは、社会の中でより幅広く産学連携を促進させる方策など、創造産業に関するより深い理解のための分析が行われ、将来の政策に役立てることを目的としている。

 AHRCのAndrew Thompson議長コメント:

 映画、テレビやゲームなどのデザインから建築やファッションまで、イギリスは世界でも有数のパワフルで革新的に創造性を進化させている国である。創造産業はわが国の将来の繁栄に重要な役割を果たす。本事業は人文学の分野における研究とイノベーションのための投資としては過去最大規模のものになるだろう。革新的な製品とサービスの開発、高い価値のある技術や新しい職の創造という面から、長期的な英国社会の成長を支えていくであろう。

*1ポンドを150円にて換算

http://www.ahrc.ac.uk/newsevents/news/cicp-launch-greg-clark/

(3) タイムズ紙、サンデータイムズ紙がGood University Guide 2018を発表

 9月23日、タイムズ紙、サンデータイムズ紙は学生の大学選択に資するためのGood University Guide2018を発表した。

 総合ランキングで昨年に引き続きケンブリッジ大学が首位を獲得し、2位はオックスフォード大学、3位はセントアンドリュース大学という結果となった。

 評価項目は、①学生の満足度(教育の質、大学での経験)、②研究評価、③入学時の成績、④卒業後の就職率、⑤学位取得時の成績優秀者の割合、⑥卒業率、⑦教員一人当たりの学生数、⑧学生サービス・施設への投資額、となっている。

 また、ランキングのほかにUniversity of the Year(今年を代表する大学)として、ランカスター大学が選ばれた。受賞理由は教育と研究両面における積極的な取り組み、多様な留学生の受け入れで国際色豊かなキャンパスと積極的な設備投資であった。

good_university_guide_201820.xlsxをダウンロード

 http://nuk-tnl-editorial-prod-staticassets.s3.amazonaws.com/2016/bespoke/university-guide/index.html

 

(4) 大学・科学大臣がUKリサーチイノベーション理事会の非常勤執行委員を発表

 9月28日、ビジネス・エネルギー・産業戦略省の大学、科学大臣であるJo Johnson氏は、新しく創設されるUKリサーチイノベーション(UKRI: UK Research and Innovation)の理事会非常勤執行委員、12名を発表した。

 理事会はUKRIの議長や理事長、及び運営チームと協力し、今後数か月にわたってUKRIの立ち上げとUKRIの今後の方向性の戦略を築いていく。産業戦略チャレンジ基金など研究とイノベーションの予算の割り振りの助言を大臣に対して行っていく予定。

 理事会の主な任務は以下のとおり。

・UKRIの母体である英国研究会議(RCUK: Research Councils UK)とイノベーションUK及び新しい組織リサーチイングランドの強みを維持し、強化すること。

  ・政府からの年間60億ポンド(約9,000億円)の投資に対してその価値と利益を最大限に引き出すこと。

 理事会メンバー

  • John Kingman 卿(UKRI暫定議長)-- Legal & Generalグループ会長/財務省第二事務次官
  • Peter Bazalgette 卿―テレビプロダクション会社創設者/ITVテレビ局会長
  • Julia Black 教授―LSEの研究に於けるプロダイレクター
  • Leszek Borysiewics 卿―University of Cambridge の学長(2017年9月末まで)/Cancer Research UKの議長
  • John Browne of Madingley 卿―L1 Energyの会長/BP |Plcの元最高責任者
  • Ian Diamond卿―University of Aberdeenの学長
  • Fiona Driscoll 氏(UKRI監査委員長)―Nuffield Health監査委員会委員長
  • Alice Gast 教授―Imperial College London学長
  • Harpal Kumar 卿―Cancer Research UK最高責任者
  • Max Lu 教授―University of Surrey学長
  • Vivienne Parry 氏―ゲノミクスイングランドの企画長
  • Mustafa Suleyman 氏―DeepMIndの共同創設者及び応用AIの責任者
  • David Willetts 卿―Resolution Foundation 理事長/元大学・科学担当大臣
  • Sally Davis教授―医務部長(公務員のためメンバーになれないが個人の裁量により参加する)

https://www.ukri.org/news/science-minister-announces-non-executive-board-members-of-uk-research-and-innovation/

(5) メイ首相が学生への学費の支援を公約

  10月1日、メイ首相は来学事年度の大学の授業料を今年と同額の9,250ポンドに据え置き、今後学生財政システムの再検討をと発表した。(BBCニュース配信)

また、卒業生が学生ローンの支払いを開始する年収基準額を、21,000ポンド(約315万円)から25,000ポンド(約375万円)に引き上げるとした。

  高等教育機関の改革は、2年制の学位取得コースの導入など、金銭的な負担がかからない方法が模索されている。また、授業料のローンの利率を下げたり、人手が不足しているエンジニアリング関係の学科の学費の値下げなどのアイディアも検討、また卒業税に関しても示唆した。

BBC教育部記者 Sean Coughlan氏コメント:

 授業料の凍結は好感触をもって受け止められた。しかし選挙のたびに政策がいかに変わるものであるかをも示した。授業料の値上がりと学生ローンの焦げ付きへの対処は、いずれの党にとっても若い有権者を取り込むための重要な政策のひとつとなっている。

 高等教育研究法制定により毎年学費値上げの方向を示したが、大学側はすで暗礁に乗り上げてしまっていると予想している。なぜなら多数の支持がない限り政府はそれをごり押しすることは現実的ではないからである。恐らくもっと重要なことは学生ローンの支払い開始の年収基準額を£21,000から£25,000に引き上げ、すでにこの秋から学生ローンの利率を6.1%に引き上げたがこれについて再検討することを約束したことである。  

*1ポンドを150円にて換算  

http://www.bbc.co.uk/news/uk-politics-41456555

【関連記事】  

 メイ首相の公約を受けて英財政研究所(IFS: Institute of Fiscal Studies)による「授業料据え置き及び学生ローンの支払い開始の年収基準額の引き上げに関する試算」

   ・年収基準額を2021年まで25,000ポンドに引き上げ続けた場合、平均して一人当たり約10,000ポンドの支払い減額が生じる。中所得者層が一番恩恵を受け、最大15,700ポンドの支払い減額となる。これにより30年間の返済期限内に返済できない卒業生は83%に上ると試算される。(現在は77%が期限内に返済できていない)

・授業料を9,250ポンドに据え置くことで短期的な影響はさほど無いが、長期的に据え置きとなると多大な影響が出てくることが見込まれる。授業料を値上げせず、据え置きにすることで、この秋から3年制の学位コースに通う学生の将来の負債額は50,600ポンドから£49,800ポンドと減少することになるが、多くの学生はいずれにせよこれらの負債を完済することはできず、高収入の卒業生だけが返済額の減額の恩恵を受けるという状況を意味する。

  ・これらの変更により、政府の高等教育分野への長期的な支出が増えることになり、毎年約20億円を支出する必要が出てくるだろう。

  ・他との相殺の無い単なる授業料値上げの凍結は、大学の財政を圧迫することになる。短期的には影響は小さいが長期的な影響は避けられない。このような対応をするのであれば、政府が新たにTEF(教育評価制度)を導入したことについて疑問符がつくし、大学の長期的な財政運営の見通しに不確定さをもたらすことにもなる。

https://www.ifs.org.uk/publications/9964

【各機関の反応】

 ・英国大学協会理事長 Janet Beer 教授:

 現行の高等教育システムは大学の経営維持を可能にし、社会が必要とする熟練した技能をもつ者を輩出し、様々なバックグラウンドを持つ学生が新たな環境への扉を開く機会を提供している。他方、学費が適切で正当な額であるかどうかをチェックすることもまた重要である。

 政府が学生のお金に関わることについて注力していることは喜ばしい。学生ローンの支払い開始の年収基準額の引き上げ計画も歓迎する。同協会は政府が生活奨学金制度を再導入し、低~中所得者の学生ローンの利率の引き下げに取り組むことを期待する。また、社会人学生やパートタイム学生の数が減っていることに対し、何らかの対策を講じる必要があると考えている。世界クラスの教育機関を持つ英国での大学に対する助成金の継続が重要である。IFSが発表したように学費を凍結してもその代わりとなる助成金の支給がなければ、世界級の教育を期待する学生に応えることが不可能になるという危機が起こることになるであろう。

http://www.universitiesuk.ac.uk/news/Pages/Response-to-PM's-planned-review-of-English-university-funding.aspx

(6) 起業家に大学での研究場所を提供―ロイヤルソサエティが一人当たり4万ポンド(約600万円)の資金を準備

 10月10日、ロイヤルソサイエティは’Entrepreneur in Residence scheme’を新たに実施することを発表した。この事業は大学での研究をスムーズに産業に転用することができるよう、これらを妨げる障壁への対処について研究ができるようにすること、大学内に起業の文化を根付かせること、及び産業界で必要とされているスキルを身に付けさせるためのカリキュラムを現在産業界で働く卒業生に開発してもらうこと、を目的とするものである。

 支援対象として選ばれた者は最新の産業科学をもとに学生向けのコースを開発したり、産業界で働くことを希望する学生に対しキャリアについてのアドバイスを行ったりすることが期待される。また起業に興味のある学生や教授陣へのアドバイスや、大学において現在行われている研究の商業化の可能性についての評価・アドバイスも行う。

 このスキームでは最大10名が2年間にわたり40,000ポンドを支給される。支援期間中は業務時間のうちの20%を大学で働く時間とすることが条件となる。  

*1ポンドを150円にて換算

 https://royalsociety.org/news/2017/10/royal-society-launches-40000-scheme-to-place-entrepreneurs-into-universities/

 (7) 産業戦略の中心となる大学の知識交換評価: TEF, REFに続く新評価制度KEF(Knowledge Exchange Framework)構想

 10月12日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE: Higher Education Funding Council for England)は2017年HEFCE会議にて行われた大学・科学担当大臣のJo Johnson氏のスピーチ内容の概略を発表した。

 大臣は、大学の研究・知識交換について担当する新組織、UKリサーチイノベーション(UKRI: UK Research Innovation)に対し、高等教育イノベーション基金(HEIF: Higher Education Innovation Funding)への投資額増加の適切なレベルについての検討を依頼した。これはHEIFの年間の投資額を2億5000万ポンド(375億円)にするべきというWittey Review の調査報告書の提言と、質の高い研究を支援するにあたっての根拠が必要であることによる。大臣は商業化に成功した、既成概念を打ち砕くようなハイレベルの研究例としてNew York University のRemicadeやCancer Research のAbirateroneの事例を挙げた。

 また、大臣はリサーチイングランドに対して、学生局(OfS: Office for Students)と共に、Keele University 学長Trevor McMillan教授が主導して取り組んでいる知識交換評価制度(KEF: Knowledge Exchange Framework)に早急に協力することを指示した。KEFは知識の交換、交流、協働そして商業化を通じて大学が経済に及ぼす影響の大きさを測り評価するものである。

 知識主導型経済が今後進んでいく中で、大学は政府が注力する研究開発の中心となる役割を果たすこととなる。KEFは大学のパフォーマンス向上に貢献するばかりではなく、社会や地域へのアカウンタビリティも高めてくれるだろう。

 KEFは毎年の高等教育調査(HE-BCI: Business and Community Interaction Survey)をもとに導き出される。今まで本調査により評価された大学は、HEIFのパファーマンス基金から資金提供がなされてきている。

 HEFCEは科学関連予算から知識交換(knowledge exchange)に対し、1999年から予算支出を行っている。同時にHE-BCI調査の開発も行なってきた。HE-BCIは国際的、国家的、地域的な視点を含み、長期的社会貢献のための最も包括的なデータである。

 HE-BCIの調査結果によると、知識の面について英国の実績は、初めてデータが発表された2003/2004学事年度の£25.3億から2015/2016学事年度は£42.1と66%の伸びを示している。今年のデータでは大臣が主要分野とした分野において大きな成長を遂げている。大企業の収入は昨年に比べると5.1%、中小企業の収入は11%、知的財産の収入は13%の増加があった。

http://www.hefce.ac.uk/news/newsarchive/2017/Name,115859,en.html

 大学・科学担当大臣 Jo Johnson 氏のスピーチ全文

https://www.gov.uk/government/speeches/how-universities-can-drive-prosperity-through-deeper-engagement

*1ポンドを150円にて換算

【各機関の反応】

・ラッセルグループ

事務局長代理Tim Bradshaw氏のコメント

 我々は中小企業から多国籍大企業まで様々な企業や公共機関と提携をしてきている。メンバーの大学は年間20,000ほどの小規模企業と協力し、イノベーションや経済成長に貢献している。昨年はラッセルグループの卒業生やそのスタッフによる起業が688件に上った。これはまったく偶然の産物ではない。ラッセルグループの大学は知識交換にプライオリティを置いており、「研究から商業化へ結びつく発見数の増加」という政府の目標を共有しているためである。

 知識化交換は幅広い活動分野と幅広い多くのパートナーに及ぶ。もし新しいKEFがすでに大学で行なっている素晴らしい業績を正しく判断しようとするのであれば、その多様性を評価のポイントに加える必要がある。大学とそのパートナーのために新たな有効なツールを作成しようとするのであれは、英国全体で行なわれている知識交換の全容を注意深く見極めて取り組む必要がある。

http://russellgroup.ac.uk/news/knowledge-exchange/

2017年9月27日 2017年9月英国高等教育及び学術情報

英国学術情報 9月分

(1)大学における無条件合格者数の増加

  8月12日、Daily Telegraphによると、無条件で合格者を受け入れる英国の優秀大学が数が5年前に比べて倍増していると報告した。(高級紙Independentsによる報道)

 大学間で入学者獲得競争が激化する中で、より多くの学生を確保するためにこのような事態が生じているとされている。特に英国の優秀な大学で構成されているラッセルグループ加盟の大学が無条件合格者数を増やしていることを指摘している。

 統計によるとUniversity of Edinburgh における無条件合格者は2012/2013学事年度は125人だったが2016/2017学事年度は350人とほぼ3倍に、University of Birminghamでは 1,003人から2,471人へと倍増している。またKing’s College London , University of Warwick , University of Manchester でも同様の傾向が見られていると報道している。

  この傾向は2015年に施行された新しい助成金の規定により、イングランドにおいて学部定員が廃止された以降に顕著になっている。定員廃止を受け、大学は利益を出すために可能な限りの学生を受け入れようとしており、ビジネスライクだという非難を巻き起こしている。

 無条件合格数は2014年では12,100人であったところ、2015年には23,400人となり、2年前の定員廃止により着実にその数を伸ばしている。

 学生を取り込むために、入学資格を満たすSixth Formの成績を取得している学生に対し、もしこの大学を第一志望とするのであれば無条件にアップグレードする、という条件を出す大学も多くなっている、という傾向も見受けられる。 

 大学入試機関(UCAS:The Universities and Colleges Admissions Service)は報告書において、無条件合格者数が増加傾向にある原因のひとつとして、Aレベルに達する生徒数が2010年と2015年を比べると減少していることにあると警告している。

 ラッセルグループの報道官は「すべての申請は大学入学志願者の詳細な成績記録、及び入学者選考チームが、申請者が大学のプログラムでやっていけるかどうかを判断することによって決定されている。」と答えた。

 無条件合格者の増加に関わらず、学生数は減少している。最近の報告では大学進学を考えている若者の割合は年々減ってきており、学費など財政面が一番の原因とされている。

 ウェールズとイングランドの11歳から16歳の2,600人を対象に行われたサットントラストの調査によると、7人中1人(14%)は高等教育機関への進学を考えていないという。同じ質問で5年前の調査結果は11%であった。

 また最近の教育省(DfE: Department for Education)の統計によると、恵まれない学生を高等教育に参加させるプログラムに多額の資金を投入しているにもかかわらず、公立校と私立校出身者の大学進学者数の差がこれまでの最高を記録した。

http://www.independent.co.uk/news/uk/home-news/universities-allow-increasing-numbers-of-students-in-without-asking-for-any-grades-a7889426.html

【関係機関の反応】

・ラッセルグループ

 ラッセルグループの報道官は「ラッセルグループの大学の課程は知的挑戦に満ちたもので構成されている。入学担当スタッフが各学生の学習記録を分析し、当該大学の課程に十分に見合う能力を持つと判断した場合に学生にオファーをしている。いくつかの大学では例外的にごく少数の学生に対し無条件合格を出しているが、彼らは既にA levelの結果が出ているか、その他の高等資格を持つ学生である。無条件合格を出している場合、多くの大学では入学基準満たしている生徒だけに出している。」と語った。

http://russellgroup.ac.uk/news/university-unconditional-offers/

 

(2) アクセス協定2018/2019学次年度の概要発表

 8月23日、公正機会局(OFFA: Office for Fair Access) は2018/2019学事年度のアクセス協定における主な内容を発表した。

 最新のアクセス協定は、恵まれない環境にいる生徒の成績を向上させるプランや、生徒の可能性を引き出し、環境による障害に打ち勝つことを支援するために大学が学校と共に取り組むものとなっている。新プランは、新しい活動とすでに存在する活動の拡大及び再検討の組み合わせとなっている。その内容は:

  • 学校への資金的援助
  • フリースクールやテクニカルカレッジの創設
  • 学校のカリキュラム作成への参画
  • 情報/知識の共有
  • 学校運営、ガバナンスの支援
  • メンター、チュータープログラムなど長期的なアウトリーチ活動の実施
  • 教師や学校管理者を対象としたトレーニングの実施
  • 慈善活動組織など第三者機関とのパートナーシップの構築

 高等教育機関は学校の成績向上に重要な役割を果たすと認めた上で、OFFAは恵まれない環境にいる生徒の成績向上について学校と大学が連携することを、今年初めてアクセス協定に盛り込んだ。しかし、大学やカレッジはここ何年もの間、ボランティアで当該活動にコミットしてきている。この協定の実施状況については毎年モニタリングされる。

https://www.offa.org.uk/press-releases/access-agreements-2018-19/

【各機関の反応】

・英国大学協会

 同協会会長Alistair Jarvis 氏のコメント:

  大学が提供している支援は、恵まれない環境にいる生徒の記録的な大学進学率の上昇に貢献している。すべての大学は恵まれない環境にいる生徒の高等教育への参加機会の拡大のため努力し、また在学中の支援も行なっている。また、恵まれない環境にいる学生と他の学生層とのギャップを縮めるための更なる支援が大学には期待されている。社会的流動性を加速させるため、確固とした根拠に基づき、どのような支援が一番効果的なのかを見極めなければならない。大学はすでに様々な方法で学校と関与しており、参加拡大と生徒の可能性を最大限に引き出すためのこの活動を継続し、拡大していく。

http://www.universitiesuk.ac.uk/news/Pages/uuk-response-offa-annual-summary-institutions-access-agreements.aspx

・サットントラスト(教育を通して社会的流動性を改善するために設立された慈善団体:Sutton Trust)

同団体の創設者で会長であるPeter Lampi 卿のコメント:

 我々の調査によると大学進学者の割合が減少している。多くの学生が高等教育にかかる費用を心配しているためである。£57,000の負債と上昇する学生ローンの利子率などの問題がある中、恵まれない環境にある学生数を増やすためにはアクセス協定はさらに重要になってくる。大学がアクセス改善のために学校との連携や評価に時間や費用を投資していることは喜ばしいことである。我々はOFFAとともに活動基本方針が費用対効果に見合ったものであるかを見守り続ける。

https://www.suttontrust.com/newsarchive/sir-peter-lampl-comments-on-the-latest-offa-access-agreements/

 

(3) 第二次出国チェックプログラムの統計結果発表

 8月24日、内務省(Home office)は出国チェックプログラムの一環として英国の出入国の統計を発表した。

 移民法2014により導入された法により、航空、海運や国際鉄道産業などの各主体がその権限を持って統計調査が行なわれた。分析は出国チェックプログラムが開始された2015年4月以降出入国が認められた個人を対象にしている。

移民大臣のBrandon Lewis氏のコメント:

 内務省は英国国境を跨ぐより具体的で包括的な旅客情報を提供するために、2015年に出国チェックプログラムを導入した。この情報はすでに警察や警備会社などにとって、犯罪者やテロリストを追跡するための貴重な情報源となっている。

 報告書では、2016/2017学事年度中に期限が切れるビザを所持している1,340,000人の非EU圏からの入国者のうち、96.3%が期限以内に出国していることが報告されている。出国チェックは今後も長期的に統計を集計し、確固としたものにしていきたい。

https://www.gov.uk/government/news/home-office-publishes-second-report-on-statistics-collected-under-exit-checks-programme

 

【各機関の反応】

・英国大学協会

 同協会会長Alistair Jarvis 氏のコメント:

 留学生にとって有益な政府の調査を歓迎する。留学生がいかに英国経済や地域社会に良い影響を与えているかの証拠を今回の調査結果は示している。

 Oxford Economics の最近の調査によると、留学生は£250億以上を英国経済にもたらし、英国国内で20万件以上の職に就労している。また留学生は英国の大学のキャンパスを文化的、経済的に豊かにし英国人学生にも良い影響を与えている。多くの留学生が帰国後も個人的にもキャリア的にも我々と強い関係を築きあげ、英国にとって利益をもたらしている。

http://www.universitiesuk.ac.uk/news/Pages/uuk-response-government-commitment-study-international-students.aspx

 

・ラッセルグループ

同グループの理事代理Tim Bradshaw氏のコメント:

 留学生は英国に莫大な貢献をしている。大学が引き続き全世界から優秀な人材を誘致し雇用することが可能な移民法の制定が必要である。

 留学生が多様な学習環境の創出と莫大な経済効果を生み出していることに加えて、出国チェックデータにより、圧倒的な数の留学生がビザ規定に従っていることが確認された。

 目的に合った制度であることを証明するための第1歩は正確なデータである。この点において出国データを再度採用した内務省の決定を歓迎する。報告書は英国に滞在する留学生の価値を証明した重要な1歩である。我々は常々、留学生は大学だけでなく英国にとって価値があると考えている。英国移民システムの今後のあり方に関する調査を依頼されている移民諮問委員会(MAC: Migration Advisory Committee)に対し、今回の調査結果が前向きな影響を与えることを期待している。

http://russellgroup.ac.uk/news/student-immigration/

 

 (4)シンクタンク報告書:大学は企業同盟(カルテル)のようだ

 9月3日、BBCの報道によると、2020年の次期総選挙の公約作りのため創設された中道右派のシンクタンク、“UK2020”が大学に関する報告書を発表した。(”Time bomb: How the university cartel is failing Britain’s students”)

  この中で「大学はまるでカルテルのようであり、2年制学位コースを十分に提供していないと非難されている」と述べている。また「この短期学位コースは学生ローンの返済額を縮小することができる」と述べている。

 この意見は労働党の上院のLord Adnis やすでに2年制を実施している私立大学University of Buckingham の学長であるAnthony Seldon 卿にも支持されている。

 しかし公立大学を傘下に置く英国大学協会のスポークスマンは、そもそも2年制コースの採用は限定されてきた、と述べた。また、公的な調査により、高等教育機関間における競争は適切に行われてきていると報告されている、とも述べた。いくつかの大学ではすでに2年制コースを提供してきているが、現在の学費やローンのシステムのため学生からの需要が限定されている、とも述べている。

 この2年制学位号取得コースを増やす計画は今年2月に大学大臣であるJo Johnson氏から発表があった。

 今回の報告書UK2020は、実業家でLeave.EUの創設者であるRichard Tice 氏との共著であるが、2年制学位コースは学生の負債額を減らし、選択肢を広げ、住宅不足の解消の助けになる、と述べている。

 今年£9,250にまで学費が上昇したことにより、イングランドにおける「リアルな」大学の選択や学生間の競争がうまく機能せず、また多くの学生が負債や利子率に関して怒りを持っているが、これらを報告書では「時限爆弾を抱えている」と表現している。

 また企業同盟(カルテル)のごとくほとんどの大学が最大限の学費を設定し、のろのろとしか改革に取り組まず、民間の高等教育関係者の競争への参入を締め出している、と述べている。

 価格競争という点では大学は最も失敗した分野であり、長期的に学生を支援する資金調達法を探さなければならない、と報告書は指摘している。

 また2年制学位取得コースにすると、卒業生一人当たりで最大£20,000の節約ができると見積もっている。 

 保守党の議員でUK2020の議長であるOwen Paterson氏と労働党のAdnis卿は「異なる党の政治家がこのような国家的重要な要素を持つ問題で同意することは稀である。しかし学生や大学への資金提供の危機を解決したいという信念を持って団結している。」と述べた。

 ”Time bomb: How the university cartel is failing Britain’s students“:

http://www.uk2020.org.uk/timebomb/

http://www.bbc.co.uk/news/education-41125111

(5)THE 世界ランキング2018発表

 9月5日、Times Higher Education (THE)誌が,”World University Ranking 2018”を発表した。THEのランキング開始以来始めて2つの英国大学がトップを独占した。Oxford は昨年1位の座を保ち、Cambridgeは昨年4位から順位を上げて2位となった。

 Cambridge の健闘理由として、研究収益、研究の質の向上が見られ、一方で2位から転落してStanford ともに3位にランクを下げたCalifornia Institute of Technology (Caltech)は、博士号と学士号の比率が下がったこと、及び大学の収益がそれぞれ23%、24%下がったことなどが順位を落とした原因とみられる。OxfordとCambridgeはそれぞれ11%と24%の増収であった。

 Oxford 大学の学長であるLouise Richardson氏は2年連続首位を保ったことを喜びつつも、英国のEU離脱が今後、英国の大学の地位を脅かす恐れがあることも語った。Cambridge大学の研究助成金の4分の1がEU連盟から出資されている。Oxford大学 は5分の1である。

 今回のランキングは米国とオーストラリアの大学も将来的には安心できないことを示唆している。米国大学で200位以内に入った62大学中59大学は学術スタッフ一人当たりの研究収益が減少しており、トランプ政権下においては連邦政府の今後の研究収入の見込みも疑わしい。エリートグループとされる29大学のうち5分の2が順位を下げている。一方オーストラリアは比較的安定した結果を出しているが、政府が2.5%の助成金カット(A$28億/£17億)の計画を進めることになれば、その順位も下がる可能性がある。

 米国、オーストラリアだけでなくヨーロッパ諸国も加速するアジアの競争力に直面している。中国の北京大学は順位を2つ上げ、New York University とUniversity of Edinburghと同位の27位で、同じ中国の精華大学は5つ順位を上げ、オーストラリアのUniversity of Melbourne, 米国のGeorgia Institute of Technology,ドイツのLMU Munich ,スイスのEcole Polytehnique Federale de Lausanneなどの名門大学を抜いた。アジアでのトップの大学はシンガポールのNational University of Singaporeで昨年より2位順位を上げて22位であった。

the_world_university_rankings_2018.xlsxをダウンロード

japanese_universities_in_top_200.xlsxをダウンロード

countries_and_regions.xlsxをダウンロード

https://www.timeshighereducation.com/news/worlduniversity-rankings-2018-results-announced

【各機関の反応】

・Wonk HE (高等教育専門ウェブサイト)

 今回のランキングの主な点として:

  • Oxford とCambridgeが初めて世界ランキングの1,2位を維持、台頭した。
  • EU離脱が英国の大学の世界における地位を脅かしている。
  • 200位中、ヨーロッパの大学は半分が占めているが、アジアの大学の台頭に直面している。

 英国においてEUからの大学志願数が昨年と比べて5%減少しており、既にEU離脱による悪影響が現れてきている。

 また英国におけるスーパーエリートといわれる大学とその他の大学の格差が広がってきている。ゴールデントライアングルといわれるOxford, Cambridge とロンドンの大学は上位で安定した結果であった。しかし比較的下位の順位にいる大学は順位を下げている。Warwickは9位下がり91位, St Andrewは33位下がり143位で、英国で200以内に入っている大学の31大学中16大学が順位を下げた。

http://wonkhe.com/blogs/world-party-the-latest-the-world-university-rankings/

 

・BBC News

 THE Higher Education (THE)の編集ダイレクターであるPhil Baty氏は「今回、特に上位の大学の間ではすべての評価項目において極めて接戦であった。英国の高等教育システムは、£9,250の学費問題、留学生の継続的な誘致の努力、EU離脱後の研究費や研究者の流れの確保、学長の給与問題など、様々な政治的問題に直面している。  

 しかしひとつ言えることは、今回のランキングにおいて英国には多くの優秀な大学があり、世界でも最も強力な高等教育システムを持っているということである。

 また、データは、英国の大学がイノベーションにつながる革新的な新しい研究を一貫して生み出してきており、留学生や研究者を惹きつけ、世界クラスの教育環境を提供していることを示している。大学は巨大な国家財産である。」と述べた。

http://www.bbc.co.uk/news/education-41160914

 

(6)持続的な科学の成功(continued science success)のための明確な目標設定

 9月6日、欧州連合離脱担当省(Department for Exiting the Europe Union)は「将来のパートナーシップについての文書」において、英国とEUの将来にとって科学やイノベーションの連携が重要であると発表した。

 本政府文書では、英国が今後EUと協議するべき将来の連携のメカニズムや分野が提示されている。

 ガレリオ計画やコペルニクス計画など、商用衛星航法システムや地球観測衛星の汎欧州プログラムに既に参加しているEU以外の国との協議分野について述べられている。英国における宇宙事業は英国経済に£118億以上の効果をもたらしており、37,000人以上の雇用を生み出している。

 また原子力研究に関するプロジェクト、オックスフォードシャーに拠点を置くJET( Joint European Torus)や国際熱核融合実験炉(ITER:International Thermonuclear Experimental Reactor)についても計画が述べられている。EU加盟国ではない国々とも、例えばEUREKAネットワークや欧州原子核研究機構(CERN)等の国際機関を通じて引き続き提携していくとしている。

 欧州医薬品庁やホライズン2020など、7,300人を超える英国人が参加者し、連携により成功している革新的な医学に関するイニシアティブについても含まれている。

 

大学・科学大臣のJo Johnson 氏のコメント:

 英国とEUの素晴らしいパートナーシップを継続していくことはお互いにとって利益になる。EUとの将来の連携のあり方についてオープンな議論を持つための英国側の要望を本報告書で明確に示した。

 我々の産業戦略において、科学とイノベーションが核となっており、研究と開発に更に£47億の追加投資を行うことからわかるように、我々は常に新しい発見の最前線に位置し、今後もこの挑戦を欧州の仲間と共に続けていくことを望んでいる。

 英国は科学とイノベーションの分野におけるリーダーであり、今回の報告書で我々は引き続き国際的な英知のハブであり続けたいとして、研究コミュニティーが今後も我々の高いレベルのスキルにアクセス可能にすることで、科学とイノベーションセクターをサポートしていくことを約束している。また、専門資格の認定システムについても、今後も引き続き協働していきたいと考えている。

 https://www.gov.uk/government/news/uk-sets-clear-objectives-for-continued-science-success

【各機関の反応】

・王立協会

 同協会会長Venki Ramakrishnan氏のコメント:

 政府はEUの研究イノベーションの一部であり続けることで多くの利点があることを認識しており、離脱後もEUとの親密な関係を維持するべき理由を明確にしている。文書ではEU科学界との親密な関係維持のための強い願望が現れており、その姿勢を歓迎する。 

 しかしこれはまだ第1歩であり、EUとの親密な連携を維持するためには更に様々な条件を整えていく必要がある。世界の科学界における英国の地位を脅かす不確実要素を取り除いていくことが必要である。

 ホライズン2020終了までの財政的支援の継続や、既に英国内で働いている高い技術を持つEUの研究者のステイタスの保障等についても早急に検討する必要がある。また、次期EU研究プログラムにも参加することを約束すべきである、その計画の協議にも参加すべきである。優秀な人材をUKに迎えるための移民法の制定も必要である。

 科学は常に国境を越えるものであり、EU離脱がその妨げになってはならない。政府により示された今回の文書はお互いにとってWIN-WINの結果となるように提案されており、これはほかの分野の交渉においても同様に前向きなものになる可能性を示している。

https://royalsociety.org/news/2017/09/royal-society-response-to-science-and-innovation-position-paper/

・英国大学協会

 同協会会長Alistair Javis 氏のコメント:

 英国政府がEU離脱後もヨーロッパのパートナーと引き続き研究とイノベーションの分野で連携していく姿勢を示したことを歓迎する。これらを実現する最も良い方法は政府が次回のEU研究イノベーションプログラムに関与し影響力を持つことである。

 英国はEUの研究とイノベーションの分野において重要な役割を果たし、提携により多くの利益を生み、様々なネットワークのつながりを可能にしている。それにより研究者は世界の最高水準の専門家と共同で人生を一変させるような研究成果を生み出すことが可能となり、更には英国の経済、社会や個人に多くの利益をもたらすことになる。

http://www.universitiesuk.ac.uk/news/Pages/Response-to-UK-government-position-on-Brexit-and-EU-research-innovation-collaboration.aspx

 

(7) 大学・科学担当大臣 Jo Johnsonn氏のスピーチ概要

 9月7日、学長100人以上の出席した英国大学協会(UUK: Universities UK)の年次大会で、大学・科学担当大臣 Jo Johnson氏が行ったスピーチの概要は以下のとおり。

  • 大学に進学する者以外の18歳以降の教育に関する新たな制度

 ・5年間で£28億、300万人分をアプレンタスシップ(インターンシップ賦課金制度)に出資する

 ・上記と関連して16歳以降のスキルプランとして新しくTレベル資格の導入を推進する

  • 次回のTEF3についての変更点

 ・学生満足度調査結果の評価への反映率を半分にする

 ・多くの割合を占めるパートタイム学生に対しての考慮も可能になる調査項目とする

 ・近年問題になっている成績の水増しに対応する新しい評価基準の検討

 ・学生の就職状況評価に、より信頼性の高いLEOデータ(教育省の実施する「長期的教育成果」調査)を採用  

  • 「成績の水増し問題」に対する大学側の主体的な対応への期待

  近年学生に対する成績のつけ方が大変甘くなっており、「First(優)」の学生が5年前に比べ40%も増えているという調査結果もある。本件は単位を授与する権限を持つ各大学が責任を持って対処すべきであり、大学間で単位の授与に関する共通の合意形成に取り組んでほしい。

  • 大学と学生との契約

 学生はどのような授業と評価を受け、それに対しどれだけの費用を支払う必要があるのか、明確な説明を受ける権利がある。また大学側はこれらの情報を学生に提供する義務があるがいまだに十分に対応できていない状況である。今後はこの問題について学生局が担当することとする。

  • 2年制学位課程の設置促進

 より多くの学生が学位を取得できるよう、経費の負担の軽減が見込める2年制学位課程の設置を促進する。

  • 学長の給与について

 学生局に対して以下の指示をした。

  • 年収£10万を超える職員名簿の公表。また年収£15万以上の者についてその明確な正当性を説明すること。
  • 指示に従わない大学機関に対して罰金を科すなどを含むペナルティを科すことの検討
  • 高等教育機関の職員の報酬に関する新しいガイダンスの策定
  • 高等教育機関のシニアスタッフの報酬に関するデータの蓄積と公開
  • 問題があるとされる機関に対し、その機関のガバナンスについて調査をする

  また、Committee of University chairsに対して機関間で共通認識として持つべき「報酬に関する取決め」を自主的に策定するようお願いしたい。

https://www.gov.uk/government/speeches/jo-johnson-speech-to-uuk-annual-conference

 

(8) 研究報告書:研究開発助成金は£430億の経済効果をもたらす

 9月7日、UKリサーチ・イノベーション(UKRI:UK Research and Innovation)はハイテクイノベーションへの投資は雇用、売上、生産性の大幅な向上に貢献しており、経済的にも利益を上げているという新しい研究報告を発表した。

 過去13年間で研究開発助成金は投資額£80億の5倍以上の約£430億という経済効果をもたらし、約15,000の雇用を生み出した。

 この調査は、経済社会研究会議(ERC: Economic and Social Research Council)から資金提供されたEnterprise Research Centre(ERC)という、主に中小企業の成長や生産力に焦点を当てている研究センターが実施した。

 この調査研究は13年間に及び(2004―2016)、15,000件近くの企業に対する£80億の助成金についての調査研究結果である。

主な結果は:

  • 助成金を受けた企業は受けなかった企業と比べて雇用の面で短期的に6%、長期的(6年後)23%の伸びがあった。
  • 助成金を受けた全ての企業において、バイオテクノロジー、医療機器、工学、ライフサイエンス、ハイテク製造業など一般的に給与が高いとされる孝熟練労働者の雇用を約15万人分創出した。
  • 助成金を受けた企業は受けなかった企業と比べ、売上高において、短期的に6%、長期的に28%の伸びがあった。
  • 生産性はついて、短期的には影響はないが、長期的に見ると助成金を受けていない企業と比べて6%の伸びがあった。

 

https://www.ukri.org/news/the-taxpayer-tech-dividend-r-d-grants-provide-43bn-economic-boost-study-finds/

【メディアの反応】

・BBC News

 この研究を主導したERCのダイレクターWarwick Business SchoolのStephen Roper 教授のコメント:

 このような詳細に渡る分析が行なわれたのははじめてである。結果が示すように研究開発への出資は良い影響が出ていることが明白である。雇用、売上高においてもっとも成長した分野は製造業であった。生産性の低い企業、小規模企業がより多く助成金の恩恵を受けた。雇用の創出が増えた地域としてはロンドン、英国南東部や北西部が多く、売上高ではスコットランド、ヨークシャー、ロンドンでもっとも伸びた。

サービス業より製造業、大企業より小規模企業に大きな影響を与えたという結果がでた。将来的には小規模で可能性を持つ優秀な企業に焦点を当て、支援するべきである。

http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-41162534

 

(9) 政府は大学の学費は学部によって格差をつけるべき

 9月13日、英国政治関係サイトPolitics Home  のウェブサイトでPhillip Hammond 財務大臣は学部での学習課程と学費が連結すべきであると述べ、今度の学費に関して検討をしている旨を示唆した。

 大臣は、現在の学費のシステムは「 広範によく貢献して」おり、現行の制度の改革も「大変慎重に」考慮していると語った。他方科学、工学、数学の分野の学生の授業料を、芸術、人文学の分野の学生が間接的に負担していると言う批判も長い間あった。大臣は、大学運営補助金の削減、奨学金の廃止、学費の上昇、学生ローンの利率の上昇などの問題がある中で、学部間で授業料に格差をつける議論が高まっていることを認めた。

 12日の上院経済委員会でのスピーチで大臣は、「同じ額の負債を抱えた卒業生の間でも、より高所得を見込める学位と見込みづらい学位があると考えている。」と語った。

 11月の秋期財政報告を控え、Hammond財務大臣は保守党の議員に対し、世代間の格差、特に負債を負っている学生に対しどのように支援していくべきか、提案書の提出を求めたと報告されている。https://www.politicshome.com/news/uk/economy/news/88927/government-suggests-university-fees-could-be-linked-course-subject

 

2017年8月23日 2017年8月英国高等教育及び学術情報

(1) 高等教育イノベーション基金(HEIF: Higher Education Innovation Fund)が産業戦略支援のため£4,000万を追加投資

 7月10日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE: Higher Education Funding for England)は、大学が産業界と連携して研究の商業化に取り組むことを後押しし政府の産業戦略の推進につなげるため、2017/2018学事年度より毎年追加として£4,000万を高等教育イノベーション基金(HEIF: Higher Education Innovation Fund)に支出することを発表した。

 HEIFは英国内の高等教育機関に対し投資をすることで、より広い世界とナレッジベースの交流を促進するとともに、投資£1当たり£9.70の利益を生むという彼らの経済、社会への影響力を強めることを目的としている。

 イングランド高等教育財政会議Research and Knowledge Exchange部長David Sweeney氏のコメント:

 大学は身近な大学-企業間のみだけでなく、国内外に対し経済的、社会的に有益な価値(benefit)を届ける存在である。2013年にAndrew Witty卿は「HEIFへの系統だった長期的な責任」を促した。この考え方は、後のDowling 報告書に「HEIFの重要な役割は産学連携を支援することである。」と述べられ反映されている。したがって我々はこの追加支援を歓迎する。大学が政府の産業政策の重要な担い手であることが認識され、英国が世界クラスの研究拠点であることから、知識の商業化という更なる挑戦を可能にしたのである。大学における知識交換の収益は2015/2016学事年度でも伸び続け、£35億に達している。この中には£1億4000万という30%の増加率のあった知的財産権の特許も含まれている。

http://www.hefce.ac.uk/news/newsarchive/2017/Name,114709,en.html

 

(2) 次期研究評価制度(REF)の審査議長の発表

 7月10日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE: Higher Education Funding for Englandは、2021年研究評価制度(REF: Research Excellence Framework)の4人の審査議長を任命した。今年の終わりには他の審査員が選定される。

 4つの分野において指名された議長:

  • 医療、健康,生命科学 ― John Iredale 教授University of Bristol)
  • 物理科学、工学、数学 ― David Price 教授(University College London)
  • 社会科学 ― Jane Miller OBE 教授(University of Bath)
  • 芸術、人文 ― Dinah Birch CBE教授(University of Liverpool)

http://www.hefce.ac.uk/news/newsarchive/2017/Name,114700,en.html

 

(3) £1億7,700万を9の大学と企業の研究プロジェクトに支援

 7月10日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE: Higher Education Funding for Englandは、英国の大学が中心となり実施している9つの研究プロジェクトに対して英国研究パートナーシップ投資基金(UKRPIF: UK Research Investment Partnership Fund)から支援を行ったことを発表した。

 支援は、大学が産業界と連携して行っている世界最先端の研究に対して行われる。対象分野は電力工学、作物学、自動車関連及び航空デジタル技術。

 その他、初めて複数の高等教育機関の提携で実現した共同プロジェクトであるUK レールイノベーションネットワークの設立への支援も含まれている。

 UKRPIFの支援により、大学は産業界等との共同プロジェクトの実施が可能となり、英国の強みとしている研究分野の更なる進展、英国内の研究拠点の強化、更なる経済成長に寄与すること、が期待される。この基金による支援は政府の産業戦略の一環に位置づけられる。

 今回発表された9つのプロジェクトは第5期UKRPIF として2018/2019学事年度から2019/2020学事年度に支援される。これとは別に実施される総額£5,200万の2つの支援プロジェクトは今年初旬に発表されている。(Imperial College London£2,000万、London School of Economics£3,200万)

 9つのプロジェクトは、企業や慈善事業団体を通して更に民間から総額£3億6,000万以上を募ることに成功した。

9つのプロジェクト;

  1. 最新治療センター :King’s College London 支援額£10,164,789
  2. マンチェスター大学ビジネススクール:University of Manchester支援額£9,666,429
  3. デジタル航空研究技術センター:Cranfield University支援額£15,500,000
  4. 作物科学センター:University of Cambridge支援額£16,928,000
  5. 癌医薬開発センター新施設設立:Institute of Cancer Research 支援額£30,000,000
  6. 先進自動車推進システム研究所:University of Bath支援額£15,500,000
  7. 電力工学と機械工学研究イノベーションセンター:University of Nottingham支援額£9,365,000
  8. 脳神経科学:University College London支援額£28,850,000
  9. UK レールイノベーションネットワーク:University of Birmingham支援額£28,086,000

 2012年にUKRPIF設立して以来、HEFCEはこの基金を通して43プロジェクトに総額£6億8,000万を投資してきた。また、企業や慈善事業者、投資家から£16億5,000万の追加投資にも成功して来た。第6期は2021年に£2億2,000万が分配される予定。

http://www.hefce.ac.uk/news/newsarchive/2017/Name,114672,en.html

 

(4) 年間学費が£9000の上限越える見込み ―― ウェールズの大学授業料値上がり発表

 7月11日、ウェールズ政府は2018年秋、大学の学費がインフレ上昇率にあわせて最高£9,295にあがることを発表した。インフレ率によってこの先3年間毎年上昇する見込みである。

 英国の学費の最高額はすでに£9,250となっており、2018年秋は£9500を超える見込みである。

 ウェールズの教育大臣のKirsty Williams 氏は「値上がりはイングランドの政策によるものでウェールズ政府はイングランド内外の情勢から直接的な影響を受けている。

 我々の大学は国内的にも国際的にも競争力を持たなくてはならない。今後も公的な学費ローンの利用は可能であり、卒業後収入がある水準を達したときのみ返済開始のシステムを継続する。」と同氏は強調した。

 しかしウェールズ学生組合の代表であるEllen Jones氏は「 学費の値上げにはまったく賛成していない。高等教育への参加を更に困難にした。英国政府の公共支出の退行的なやり方の影響を受けて予算が圧迫されていることは理解できるが、最悪の状態になったのはウェールズ政府の対応のまずさによるものだ。学生にすべての負担をかけることが当然になっている事実が耐えられない。各セクターで予算の取り合いをするのではなく、医療予算を守るように全教育予算を守ることを大臣にお願いしたい。」と述べた。

 一方でウェールズ政府は新しい学生支援策を発表した。昨年発表されたダイアモンドレビューに基づき、2018/2019学事年度より全学生は資産調査に基づく給付調査を受ける前に、年間£1,000が支給されるというものである。

 3分の1のフルタイムの学生が最高で£8,100受給でき、年間収入が約£25,000の家庭の出身の場合、年間£7,000の奨学金が受けられると試算している。

http://www.bbc.co.uk/news/uk-wales-politics-40568065

 

【メディアの反応】

・ガーディアン

 ウェールズ教育大臣のKirsty Williams 氏は同紙に寄稿した。

 「イングランドではどのように学生を支援するかという論争がしばしば話題に上るが、ウェールズではその解決策を見つけた。Ian Diamond教授の「Diamond Review」における高等教育財政への提言を受け、全ての学生の生活費を負担するというものである。

 新しいシステムは2018/2019学事年度から英国の大学に進学する学生対象で、すべての学生は国民生活賃金(最低賃金)相当を支給されるというものである。例えばフルタイムの学生でロンドン市内の大学に通う場合、生活補助費として年間£11,250、それ以外の地域であれば£9,000支給される。イングランドではこのような制度は皆無であり、スコットランドでは多少行われているものの現在その制度の見直しが行なわれている。

 しかし今回のもっとも斬新な改革は、パートタイム学生や大学院生も同様な支援が受けられることである。ヨーロッパ中でもウェールズが初めて実施することになる。

 大学院生に対する支援制度は2019年から実施予定であるが、その前には更なる支援も実施される。イングランド国内どこでも利用可能なローンや、ウェールズの大学に対し、大学院生を対象にした支援をするための財政支出をするというものである。これにより学生一人あたり約£4,000が支給されるようになると見込んでいる。

 ウェールズはヨーロッパの中でも唯一このような大きな第一歩を前進させた。他の政府も共有する事を待っている。」

 https://www.theguardian.com/higher-education-network/2017/jul/14/higher-education-tuition-fees-maintenance-wales

 

(5) 英国の大学志願者4%減少:大学入試機関(UCAS発表

 7月12日、大学入試機関(UCAS: Universities &  College Admission Service )が6月30日締切の大学志願者数を発表した。英国大学への志願者総数は649,700人であった。昨年に比べて4%(約25,000人)減少した。

 英国出身者の志願者数は529,620人(昨年比:4%減少)、EUからの志願者数は49,250人(5%減)非EU圏からの志願者数は70,830人(2%増)であった。

 英国各地域別の出身者の数も減少している。イングランド437,860人(5%減)、スコットランド48,940人(1%減)、ウェールズ 22,530人 (5%減)、北アイルランド 20,290人 (4%減)。

 年齢別でも志願者数の変化がみられる。18歳の志願者は321,950人で昨年より1,510人増加している。イングランドの18歳の大学進学率は37.9% (2016年37.2%) と上昇しており、過去最高を記録した。ウェールズは32.9%から32.5%に減少した。19歳以上の志願者は315,200人で昨年より27,180人減少した。

 看護学コースは志願数が全体で53,010人であり、昨年より19%の減少した。

 UCASの分析研究部長Mark Corver氏は「主要な大学の出願期限は終了し、昨年より25,000人、4%の減少であった。2つの対照的な傾向があるようである。主な出願者数の減少はイングランド、ウェールズ、EUであり、非EU圏からの出願は2%増であった。英国内では18歳より上の年齢層の出願者数は減少したが、18歳は上昇し、人口比過去最高の出願割合37.9%を記録した。最終的に大学やカレッジにおける年齢構成比等がわかるのは様々なプロセス(Aレベルの結果等)を経て、入学先大学が決定する6週間後である。」と述べた。

https://www.ucas.com/corporate/news-and-key-documents/news/ucas-30-june-deadline-uk-higher-education-shows-uk-applicants-down-4-and-eu-applicants-down-5

 

【各機関の反応】

・英国大学協会

 同協会理事長Julia Goodfellow

 志願者減少の原因はいくつか考えられる。昨年、志願者数は記録的であった。EU離脱や、看護士、助産師など医療従事者の学位制度の改定が大きな原因であろう。英国の18-19歳の人口が2010年から減少傾向であるが、この年齢層が英国大学の志願者の半分以上を占めている。しかもこのグループの大学志願率は過去最高であった。

 対処しなければならない問題がいくつかある。EUからの学生に対して英国は彼らを歓迎していることを示し、また、パートタイムや成人学生数の減少に対しても何らかの措置を講じなくてはならない。また、大学に進学することでかかるコストにも懸念がある。生活費や学生ローンの利率に関しても分析が必要である。

http://www.universitiesuk.ac.uk/news/Pages/Response-to-latest-UCASJune-applicant-figures.aspx

 

・ラッセルグループ

 同グループの政策担当部長Sarah Stevens氏

 EUからの志願者が5%減少したが、もし減少の原因がEU離脱であればこれは問題である。非EU圏からの志願者数がわずかながら増えたことは喜ばしいことである。留学生は社会的文化的な多様性をキャンパスにもたらし、これらは学生によい影響を与える。また、英国経済にも£258億の効果をもたらしている。

 イングランドの18歳の志願者数は記録的であった。これは大学の価値を見出している若者が増えていることを示している。

http://russellgroup.ac.uk/news/ucas-application-figures/

 

(6) 留学生のTEFに対する意識調査

 7月18日、教育関連企業のHobsonsは、最近発表されたTEFに対する留学生の意識調査を実施した。英国留学を考えている学生3,335人を対象に実施した調査結果は下記の通りである。

  • 1%の学生がTEFの存在を知っており、その中で64.4%は自分達に十分な説明がなされていないと答えている。
  • TEFの存在を知っていると答えた中の5%は大学と大学院の教育の質の評価であると誤って認識していた。
  • TEFが大学と大学院の教育の両方の質の評価と考えていたかどうかに関わらず、3%は大学の教育評価が良いところは大学院も同様に良いだろうと考えている。
  • TEFの存在を知っていた内の5%は銅と評価された大学は教育の質が"十分でない”と評価されたと間違って考えていた。
  • TEFを知っていた者のうち6%は、TEF評価は退学率、学生満足度の調査結果、卒業後の雇用率等の集計によるものと正しく理解していた。しかし55.3%はTEFの結果は教育省からの視察官による大学の講義の抜き打ち検査による結果と思っていた。
  • 留学生でTEFを聞いたことある、ないと答えたにも関わらず、金を獲得している大学であればそちらを選択する可能性が高い。しかしながら銀,銅を獲得しているのであれば獲得していないところよりそちらを選ぶ可能性が強い。

TEFについて正しく理解してもらえるよう、大学は志願者と十分なコミュニケーションをとる必要がある、ということを調査結果は示している。TEF評価は今後留学生が大学を選択する際に重要な役割を果たすことになるため、TEFの結果は何を意味しているのか、どのように活用すれば効果的な選択につながるのか、を理解させることが急務である。

https://www.hobsons.com/emea/resources/entry/blog-tef-ratings-or-university-rankings-new-Hobsons-research

 

(7) 学科レベルのTEFの試験的評価の実施

 7月20日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE: Higher Education Funding Council for England)は政府が発表したTEF (Teaching Excellence Framework)の学科レベルのパイロット評価方法の詳細を歓迎した。この学科レベルの試みは2017年秋から2018年春まで実施予定。

 教育省の委託でTEFを実施しているHEFCEは、TEFに既に参加しているか否かに関わらず、幅広い高等教育関係機関のパイロット調査への参加を呼びかけている。2017年9月25日が参加申込締切で、応募した大学、カレッジの中からパイロット調査評価対象として30~40の機関が選ばれる。このパイロット調査は学科レベルのTEFプログラム開発のために行われるものなので、格付けの評価はなされない。

 パイロット版の結果を元に学科レベルのTEFは2019/2020学事年度に実施され、2020年春に発表される予定。

http://www.hefce.ac.uk/news/newsarchive/2017/Name,114768,en.html

 

(8) 学生と納税者のため大学価値の保障 ― 大学・科学担当大臣のスピーチ

 7月20日、大学・科学担当大臣Jo Johnson 氏は学生と納税者からこれまで以上に理解を得られるための高等教育制度計画を発表した。

 大学学長やその関係機関の関係者を前に行われたスピーチでは、すべての大学は学生が大学において何を学ぶことができるのか、について今まで以上に明確なcontractを提示するように強く求めた。また、急上昇している学長の給与の更なる値上げに終止符を打つように求めた。首相より上回る給与の場合、その正当性を公に対し説明するよう要求した。新しく設立される学生局(OfS: Office for Students)がこの問題に対応することになる。

 また、大臣は次の段階のTEFとして、学科レベルの教育評価のパイロット版を秋から実施することも発表した。次段階のTEFでは卒業生の進路分析も調査に加え、将来のキャリアを見通した大学の選択ができるようにする。

 Johnson 氏は一定の所得以上の者が学生ローンを返済をするという現在の大学助成金制度の持続を支持した。

https://www.gov.uk/government/news/securing-value-for-money-for-students-and-taxpayers

【各機関の反応】

・英国大学協会 (理事長:Julia Goodfellow氏)

 現行の学費と所得による学費ローンの返済システムは学生達が求めている世界クラスの高等教育を受けられることを可能にしている。

 現行のシステムは補助金によって学費を補っており比較的低収入の大学卒業生を保護している一方で、学生やその家族から問題視されている学生ローンの負債がどのように処理されていくのかを説明する必要がある。我々は現行のシステムが公平で誰にでも参加できるものでありたいと考えている。

 大学は運営資金が学生やその両親にとってアクセスしやすく有意義であることを公開し情報提供してきている。最近の統計調査では、学生はかなり高い率で大学を信頼しているが、一方でもっと個々に即したアドバイスや支援を希望している。

 学科レベルのTEFのパイロット調査は実効性があるか、学生にとって価値がある調査であるのかを見定めるいい機会である。

 すべての大学は在籍学生と契約を交わしている。また大学側は公平かつ透明であることを証明するために競争・市場庁(CMA: Competition and Markets Authority)の助言にも応えてきている。学生は大学内の担当部署とのみならず、外部の独立した仲裁機関や、最終的に裁判により問題を解決する道筋が保障されている。学生と大学との契約が守られることが重要であり、政府と学生局とともに真摯に取り組んでいきたい。

http://www.universitiesuk.ac.uk/news/Pages/Universities-UK-response-to-Universities-Minister's-speech.aspx

・ラッセルグループ (Sarah Stevens : 政策担当部長) 

 学生は大学に対して質のよい教育を期待する権利があり、我々グループはその点

に常に真摯に取り組んでいる。ラッセルグループの各大学は、学生団体と連携協力して「大学が学生たちに求める役割・責任・期待、また学生が大学に対し求める役割・責任・期待」を明文化したcharterの作成に取り組んでいる。

 学生を保護するシステムは必要であるが、それは同時に大学にとってフェアなものでなければならない。大学は学生にチャレンジをするように仕向けており、わざとぬるま湯に浸かった状態から引き出すように仕向けている。誰も法の縛りにより大学の基準がむしばまれて弱体化していく大学の姿を見たくはない。現状で言えることは、大学に対する数々の新しい要求が予期せぬ結果に終わらぬように気をつけなければならない、ということである。 

http://russellgroup.ac.uk/news/jo-johnson-speech/

 

(9) 政府が移民諮問委員会(MAC)に調査を委託 

 7月27日、内務省(Home Office )は移民諮問委員会(MAC: Migration Advisory Committee)に対して、EU離脱が英国労働市場にどのような影響を及ぼすか、及び英国移民システムの今後のあり方に関する調査を依頼した。MACは独立した調査機関であり、政府に対し調査結果に基づく助言を行っている。

 政府は調査結果提出期限を2018年9月と定めた。今後数週間以内に、MACのウェブサイト上で資料(evidence)収集を開始する。政府、企業、労働組合、関係団体等と協力し、質の高い資料(evidence)に基づいた報告書の提出を目指す。

https://www.gov.uk/government/news/migration-advisory-committee-mac-commissioned-by-government

 

【各機関反応】

・ラッセルグループ政策担当部長Sarah Stevens氏  

 ラッセルグループの大学は教授・研究の分野で世界を牽引してきている。EUからの職員や学生は英国のサクセスストーリーに大きく貢献している。

数学や現代外国言語学など戦略的に重要な部門で働いている全スタッフ約3分の1がEUから来ており、他の分野においても同じような傾向がある。ラッセルグループの大学及び学生は、いろいろな意味でEU市民の働きにより支えられていると言える。我々はEU離脱後もEUの同僚とともに共に働き続けたい。

 この調査は必要であり、大学や個人の将来のためにも身分の保障を一刻も早くはっきりさせたい。内務省が「崖っぷち離脱 'cliff-edge' situation」にはしないと保障したことは喜ばしく、大学の職員雇用や世界の優秀な人材確保を維持できるような移民制度となることを期待している。

http://russellgroup.ac.uk/news/eu-migration-review/

 

・英国大学協会会長代行Alistair Javis

 政府が大学や関係機関からEU移民に関する証拠や助言を求めることは良いことである。留学生や海外からの職員は英国の大学や地域経済に貢献している。我々は優秀な人材を受け入れる門戸は開かれていることを世界に向けて呼びかけることが重要である。現在英国大学で学術スタッフの17%(33,735人)はEU圏から来ており、EUからの留学生125,000人が大学で学んでいる。

 まさに今、海外から優秀な職員や留学生を受け入れる新しい移民法を制定をするべき時である。大学は数年先を計画しているため、政府が「崖っぷち状態」を避ける方法を検討していることは歓迎すべきことである。

http://www.universitiesuk.ac.uk/news/Pages/Universities-UK-comment-Brexit-EU-migration-study.aspx

 

(10) EU市民の保護

 8月3日、ラッセルグループはEU離脱後の英国在住EU市民の将来の権利に対し、より明確なものを求める概略を発表した。概略は、政府から更なる情報が求められるとしている10項目の分野と、今後EU市民が定住可能となるために必要となる最も重要な原理原則について記されている。

英国政府がEU市民に対し明確な立場を示すべき重点10項目

  1. 学者や学生は研究、トレーニング、キャリア開発、研究提携などのため長期間国外に身をおく場合がある。それについて政府は下記の点で努力をするべきである。
  • 様々な規則(180日ルール等)が適用されないように、学業や研究により国外にいた期間が在住規定期間に影響を及ぼさないようにする。
  • "強い絆”という解釈を広げ、学生や学者が2年以上国外にいた場合でも、一度獲得できた定住権を剥奪されないようにする。
  1. 申請者に対して負担をかけない効率的なシステムの構築。政府の対処が間に合わない場合は、猶予期間を必要に応じて与える。
  2. 申請者の提出物を最低限にするため、既存データを利用するという政府の方針を歓迎。保持データから短期不在や定住可能者が確認できるのであれば、内務省側から自動的に連絡を取るべきである。
  3. 永住権を持っているものは自動的に定住権を与え、新たな申請を必要としないようにする。
  4. 申請費用を手頃な価格にするという方針は賛成。費用を最低限とし永住権申請費用の£65を上回らないようにすること。
  5. 政府はEU市民を雇用している様々機関と意見交換することで明確な雇用者ガイダンスをつくり、企業や大学を支援する必要がある。
  6. 期限(the cut-off date)はEU離脱日とする。これにより個人や組織などは今後の計画がはっきりと立てられる。
  7. 2017/2018学事年度、及び2018/2019学事年度から英国大学に入学するEU留学生に対して、卒業後も英国での学業の継続や就職を認め、5年以上滞在すれば定住権を認める権利を与える。
  8. EU市民の家族の権利に対して共に英国に滞在可能であることを早急に決定し、不透明性を最低限にする。英国で出生したEU市民の子が即時に定住権や英国市民権を得る事ができ、5年間の定住期間を経て初めて得られる定住権の決まりの対象外であることを明確にする。
  9. EU離脱前にEUまたは英国で獲得した専門資格などについて、離脱後も引き続き承認されるようにするべきである。

 ラッセルグループの政策担当部長Jessica Cole 氏は「同グループの全大学で約25,000人のEU市民を雇用しており、質の高い教育、最先端の研究が行なわれている。このような価値のある同僚を失いたくない。大学もEUからのスタッフも学生も、はっきりとした将来を見通したいと考えており、そのためにも政府がEU市民の立場を一刻も早く明らかにするべきである。」と述べている。

http://russellgroup.ac.uk/news/eu-nationals/

概略内容:http://russellgroup.ac.uk/media/5547/rg-position-on-eu-nationals-july-2017.pdf

 

(11) 2017年学生満足度調査(NSS)結果発表  

 8月9日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE: Higher Education Funding Council for England)は2017年全国学生満足度調査(NSS: National Student Survey)の結果を発表した。30万人以上の最終学年の学生が参加し、回答率は68%だった。そのうち84%が全体的な教育の質に満足していると答えた。

 学生の満足度は高く、85%の学生は教員の講義の質が良く、興味を引く内容であり、知的好奇心が刺激されたと答えている。

 今年のNSSは「学習コミュニティ」、「学習機会」、「学生からの意見」という新しい質問事項を設け、学生の授業参加に関する新しい分析が加わった。この改訂は英国の大学、カレッジ、学生間の協議によって行われた。

 今回の改訂部分に関する調査結果によると、84%がより深く概念を探求でき、学んだことを応用できる学習環境が与えられたと答えている。77%が学習コミュニティに属していると実感し、他の学生とともに学べる良い機会であったとしている。

 調査内容の変更により、2017年の結果をこれまでの結果と比べることは妥当ではないとしている。

 この調査結果は、学生のアカデミックな経験の向上のために各高等教育機関により利用される。今回新たに加えられた調査の結果は今度の課題として注目されることになるだろう。

 また調査結果はUnisatsのウェブサイトに掲載され、学生がどこの大学で何を学ぶか、を選択する際の重要な材料となる。

 2017年の調査は、530の大学やカレッジの情報がカバーされており、継続教育機関などの代替高等教育機関が多く参加したため昨年度より掲載数が増加した。

http://www.hefce.ac.uk/news/newsarchive/2017/Name,115244,en.html

【メディアの反応】

BBC News

  今回の調査結果は大半の英国学生は大学の教育の質に満足しているというものだった。

しかし、6月に発表された高等教育政策研究所(HEPI: Higher Education Policy Institute)の同様の調査結果では、35%の学生のみが大学の教育は学費に見合うものであったと答えており、これは5年前の結果では53%よりも更に落ち込んでいる。

 また調査実施に当たり、学費を巡り全国学生組合(NUS:The National Union of Students)が調査ボイコットを呼びかけたことが多少結果に影響を及ぼしているとみられる。昨年より参加人数が8,000人減少している。

 この調査結果は大学・科学担当大臣のJo Johnson氏が懸念している「大学が提供する教育の質が学費に見合うか」という問題に焦点を当てたことになった。

http://www.bbc.co.uk/news/education-40861126

・Times Higher Education

 NUSが呼びかけた教育評価制度(TEF: Teaching Excellence Framework)に対する抗議のためにCambridge, Manchester, Oxford, Sheffield 等の大学でNSS調査へのボイコットが行なわれたのため、それらの大学の結果が反映されなかった。

 12大学の調査結果が50%以下の回答率のため結果に含まれなかった。昨年は約300,000人の回答を得られたが、昨年の312,000人から減少しており、回答率も72%から68%と減少している。

 これは、TEFの評価基準項目にNSSの調査結果が反映されると発表されたため、25の学生組合が調査へのボイコットを呼びかけたことが原因とされている。TEFの評価結果に基づき、大学がインフレ率にあわせて学費を値上げすることを可能にすることに対する抗議である。しかし本案は政府により延期が決定されている。

 "TEFを潰せ!"をモットーに展開された全国学生満足度調査のボイコットは、調査結果を使用不可能にすることが目的であった。しかしTEFの議長であるChris Husbands氏は「全国学生満足度調査野結果はTEFで金銀銅のいずれかの評価になった大学に大きな影響は与えておらず、教育の質を見るための正確なものではない」とコメントしている。

 教育省は「学生のNSSのボイコットの悪影響はどの大学にもない」と表明している。が、他方でKings’s College London上級講師のCamille Kandiko Howson氏は「どのような影響が出るかもはっきりしていない。TEFが思ってもいなかった結果に終わった大学が抗議をする言い訳を与えるだけである。TEFを評価する側にとって良い結果が出たところと十分な調査結果が得られなかったところを区別するのが難しくなる。また、無回答の大学が広がっている中で、学生が真剣に回答せず、すべての質問項目に低い点にチェックして提出した場合などもあり、NSSをTEFなどの評価に使うことは困難になっていくのではないか。」と述べた。

 大学組合(UCU: Universities and College Union)の書記長であるSally Hunt氏は「TEFの廃止を求める。今年のTEFの結果発表後の反応を見ると、学術界の支持を得ているとは思えず、一方今年のNSSに対する支持もまた欠如しており、学生も同じ思いである。もし政府が本気で学生への教育の質の向上を考えているのであれば、これら欠陥のある評価制度を廃止するべきで、教育者に対する不安定な雇用契約の広がりの改善に対して取り組むべきである。」と述べた。

https://www.timeshighereducation.com/news/national-student-survey-2017-campuses-omitted-after-nus-boycott

2017年7月25日 2017年7月英国高等教育及び学術情報

(1) 統計:高等教育卒業生の就業と収入

 6月13日、教育省(DfE: Department of Education)は高等教育修了者の就業と収入に関する試験的統計として「長期的教育成果(LEO: Longitudinal education outcomes)」 を発表した。

 今回初めて発表された本調査結果は、下記のデータから構成されている。

  • 教育省提供による教育データ
  • 雇用年金局 (DWP :Department for Work and Pension)及び英国歳入税関庁 (HMRC: Her Majesty’s Revenue and Customs)提供による雇用、福祉手当、収入データ

 

  これらの試験的統計は2003/2004学事年度から2012/2013学事年度に渡るデータであり、下記について分析されている。

  • 卒業後3年、5年及び10年の就業率と収入
  • 個人の属性(性別、人種、年齢)
  • 出身大学
  • 専攻、資格取得状況

 

https://www.gov.uk/government/collections/statistics-higher-education-graduate-employment-and-earnings

 

【各機関の反応】

・英国大学協会(Nicola Dandridge会長):

 調査結果からは、大学や専攻にかかわらず、大学修了者は雇用に関して今でも有利であることが明らかになった。大学を卒業していない者よりも平均して確実に収入が高い。

 しかし収入額だけが高等教育の成功を測る物差しではない。芸術、創造産業、看護、公共部門専門職などを専門とする大学は社会や経済に大きく貢献しているにもかかわらず、平均より低い収入となっている。多くの学生は高い収入ではなく、生きがいのある職種を求めている。また、地理的な属性など、収入に影響する要因は他にもいくつか考えられる。

 特殊技能を持つ卒業生の需要は今後益々増していくだろう。英国の大学はこれまで以上に学生に対し、生涯を通じて必要となる技能を様々な分野で習得させ、また、雇用者側が求める大学院レベルの高い技術を習得させる努力をしていくことになる。

 批判的に物事を考え、分析し、証拠提示する能力はまさに「生涯を通じて人生を豊かにするもの」である。

 

http://www.universitiesuk.ac.uk/news/Pages/Comment-on-new-graduate-employment-and-earnings-statistics.aspx

 

・ラッセルグループ(事務局長代理Tim Bradshaw氏)

大学で学ぶことは将来の収入に関る以上の価値があるものであるが、多くの若者は大学進学の理由として将来の収入も考慮していることは事実である。

雇用者はラッセルグループ大学卒業者を高く評価しており、本調査結果をみても、雇用者がラッセルグループの卒業者に対し高い給与を支払うことを異としていない。

心理学から社会科学、法律、またコンピュータサイエンスから工学、物理化学まで統計データ上ではラッセルグループ卒業者は収入において群を抜いて優れている。ラッセルグループの11大学が法律の分野における収入トップを占めている。数学ではトップ8までを占めており、他の分野においても同様の傾向が見られる。

長期的教育成果調査は今回が初めての結果公表ではあるが、大学進学希望者にとって大学の選択がどれだけ将来の収入に影響を及ぼすかを知ることができるものとなっている。

 

http://russellgroup.ac.uk/news/leo-data/

 

(2) 研究の商業化に関するグッドプラクティスの収集

 6月15日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE;Higher Education Funding Council for England)の大学間知識交換構想ステアリンググループ(KE Framework Steering Group)は、Association for University Research and Industry Links (AURIL)及びPaxisUnico, Association Research Manager and Administrators (ARMA)に対して、研究の商業化に関するグッドプラクティスを提出するように求めた。対象事例は、大学と企業の間の様々な形の共同研究、パートナーシップ構築や契約関係に焦点を当てている。提出締め切りは2017年9月4日。

 知識交換構想プログラムは、大学が常に改革し続ける姿勢を支援することを目的としている。ステアリンググループ議長はKeele University の学長であるTrevor McMillan教授が務めている。2016年9月に発表された技術移転のグッドプラクティスに続くものとして事例を収集し、可能性をレビューする。すでに前回の調査で評価されたものは今回の対象ではない。

 

http://www.hefce.ac.uk/news/newsarchive/2017/Name,114431,en.html

 

 

(3) 英国高等教育機関の卓越した教育に関する調査:TEF2 の結果発表

 6月22日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE: Higher Education Funding Council for England)は教育評価制度(TEF:Teaching Excellence Framework)2年目の結果を発表をした。

 調査結果は2018年秋入学予定の学生の進路選択の指標となり、また英国内での優れた教育、学習を奨励するものである。

 教育評価制度(TEF)は英国内の世界トップクラスの高等教育機関の実績を明確に示すために政府により導入されたもので、教授と学習の成果の分析結果により、既存の研究評価制度を補足するものである。

 合計295の大学、カレッジやその他教育機関が任意に参加し、参加機関は「金」「銀」「銅」「条件つき(データが不十分である)」の4つで評価され、金は59機関、銀は116機関、銅が56機関であった。条件つきを除くと金は全体の26%、銀は50%、銅は24%を占めた。

 評価者は学術会からを含む専門家、学生や雇用者の代表により構成される。国から提供されたデータ、各機関から提供されたデータを元に、教授の質、学習環境、学生の学習の成果の3分野について評価を行った。

 

http://www.hefce.ac.uk/news/newsarchive/2017/Name,114556,en.html

 

【各機関やメディアの反応】

・Times Higher Education

 世界的にも有名な英国高等教育機関であるThe London School of Economics (LSE)やUniversity of Southampton がTEFで銅の評価を受けた。また、研究主体の大学で構成され、Russell GroupのメンバーであるUniversity of Liverpoolは一番低いランキングであった。

  その他有名大学で銅と評価されたところはUniversity of London の傘下であるSOAS, Goldsmiths、又医学部として評価の高いSt. George であった。又ロンドンに位置する25大学のうち12大学が銅であった。

 

 Times Higher Educationの世界ランキング(2016―2017)では5位であったLondon School of Economics(LSE)は低い評価を受け、London Metropolitan University, University of East London と同位になったことでTEFの評価方法(卒業生の進路、学生満足度、卒業率、15ページにも及ぶ申告書など)について今後議論を起こすことになろう。

 最終的に137の高等教育機関のうちの3分の1が金の評価を受けた。ケンブリッジ大学、オックスフォード大学やラッセルグループの6大学( Birmingham, Exeter, Leeds, Nottingham, Imperial College London , Newcastle)なども含まれている。ラッセルグループの21大学のうち48%である10大学(Leeds, Nottingham, Imperial College London and Newcastle University)は銀と評価された。これは、ノミネートした全ての大学の49%が銀の評価を受けたのとほぼ同じ割合である。

 しかし伝統的にランキングの常連でないいくつかの大学が金の評価を受けた。Bangor, Derby, Northampton, Coventry, Portsmouth等 1992年以降に設立された新大学がWarwick (銀), Southampton (銅)などの伝統大学を差し置いて金の評価であった。

 

https://www.timeshighereducation.com/news/tef-lse-southampton-and-liverpool-get-bronze 

 

・BBC News

 TEFは学生の大学選考の際の指標となることを目的として行われているが、銅と評価された多くの大学はこの評価方式は不平等で信用ならないと非難している。各機関がTEFに参加するかは任意であるが、銅以上を獲得した機関はインフレの上昇率に合わせ2018/2019学事年度の学費の値上げが可能となる。

 評価は実際に講義や教育内容を視察したデータは含まれておらず、施設、学生の満足度、退学率、就職先や卒業後の更なる学習の状況などを元に行われる。

 14の生涯教育機関で学位を発行している機関が優秀大学とともに金を獲得した。

 出願資格や学部など機関ごとの差異については、審査委員会により考慮された。審査委員は27人の学術関係者、学生、雇用者、専門家、など幅広い分野からのパネルで構成された。

 「金」とは英国内で最高の教育の質の大学で、「学生に最高の教育と学習の成果を提供している」と評価されるものである。「銀」は「英国高等教育が要求する厳格な標準以上を提供している」と評価されるもので、「銅」は「国内水準に達している」と評価されるものである。

 HEFCEは、学生が大学を選ぶ際に心がけている点に考慮した以下の点を評価基準にしていると述べている。

  • 高い質の教育を提供しているか
  • 協力的で刺激的な学習環境であるか
  • 自身の可能性を引き出すために必要な知識とスキルを備えているか
  • 将来の就職先もしくは更なる研究に繋がる機会が提供されているか

 HEFCEの会長であるMadeleine Atkins氏は「学生は高等教育を受けるために莫大な時間と資金を投資しており、質の高い教育環境とアウトカムを当然期待する。」と述べた。

 TEFの評価委員会の議長を務めたChris Husbands 教授は「TEFは、他の情報とともに明確でわかり易い評価として利用されることを望んでいる。」と語った。又全体評価は銅と低かったが、様々な要素の中で優秀と評価されるものがあったことを強調した。

 高等教育政策研究所(HEPI: Higher Education Policy Institute)のNick Hillman 理事長は「驚くような結果が出たが、TEFはその目的を果たしているようである。もしTEFが以前の評価をただ複製したに過ぎないのであれば失敗していたであろう。他のランキングとは異なるように設計されており、今まで無視されてきた優秀な機関を見出し、又改善が必要なところに目を向けるものである。」と述べた。しかしながら「教室で実際に行なわれていることを正確に反映しているわけではないことを学生は念頭においておくべきだ」と付け加え、と釘を指した。また、「大学進学希望者はこの結果を進路決定として利用する際に、あくまでも個々の学部ではなく大学全体の評価であること肝に銘じてほしい。」とも述べている。

また銅の評価を受けたUniversity of Southamptonの学長であるChristopher Snowdon卿は「TEFに対して信用を持つことが難しい。透明性の欠如、機関によって基準が異なり、公平公正な評価がされていないと懸念しているのは私だけではない。我々の学生満足度や教育満足度は、今回金や銀を獲得した大学より勝っている。」と述べ、評価に対して抗議する事を考えている。

 SOASのDeborah Johnson 氏は「TEFは我々の活動を正確に反映していない。」と懸念している。「明らかにロンドンという場所が影響しており、ロンドンにある大学は、3大学に1大学の割合で銅の評価を受けた一方、ロンドン以外の大学は8大学に1大学の割合で銅という傾向となっている。つまりこの評価基準はロンドンにある大学に当てはまらない。例えばロンドンの高い生活費が原因による大学中退などがある。」と語った。

 University of Liverpoolは声明で「銅という結果は非常に残念であるが、TEFは質を測る絶対的なものではない。広く知られている他の世界ランクでは我々は常に200位以内にランキングしている。」と述べた。とはいうものの、「我々はTEFで使われている内容に対して改善するため最善の努力をする」とも語った。

 

http://www.bbc.co.uk/news/education-40356423

 

・英国大学協会(Dame Julia Goodfellow 会長 :ケント大学学長)

  「英国の大学は世界的にも質の高い教育と学習機会が担保されていると広く認識されている。また、クオリティコードとして設定されているハイレベルなアカデミックスタンダードを満たすことを要求されている。

 新しいTEFの評価は公式に発表されている多くのデータに基づいて決定されており、学生にとって他の情報とともに選択の助けになるものである。

 今回のTEFは試験的であり自主参加によるものであった。データ使用は的確で、範囲が広く、かつ大学機関内の多様性も考慮されていることが重要である。今後この評価制度を学生の大学選択の際に役立つ情報に更に開発していくことが重要である。

 TEFの手法は一応完成したことになるが、2019年のレビューによりTEFは学生に役立っているか、その目的が果たされているかどうかの評価が下される。

http://www.universitiesuk.ac.uk/news/Pages/Universities-UK-response-to-the-Teaching-Excellence-Framework-results.aspx#sthash.dV1MP4so.dpbs

 

・ラッセルグループ

 TEFは学生が大学や専攻を決定する際に手助けとなる新しい情報源として開発された。しかしここで3つほど知っておきたいことがある。

  1. 今回の調査はトライアルの段階のものであり、すでにレビューを行うことが発表されている。

 政府はすでにTEFの評価手法の向上のためにレビューを実施することを発表している。現時点では全国学生調査(NSS: National Student Survey)が評価の対象となっているが、この結果は大学が提供している教育の真の姿を反映しているのか疑問を持つ者もいる。

  1. TEFは大学の質を測る完璧なものではない。

 今回高評価を得た大学は現在の学生数を反映することで勝ち得たものである。どこかのポイントでトップのスコアだからといってTEFで高い評価を得られたわけではない。非常に低い退学率の大学よりも、卒業率が高い大学の方が優位に加算されるように評価手法が設計されている。肯定的な変化を認めることはよいことであり、喜ぶべきであるが、TEFの評価手法は決して期待しているほど各大学の本当の教育実態を表していないという点に注意してほしい。

  1. TEFは多くの情報の中の1つでしかない。

 今回はまだ試験的な実施であり、すべての大学が参加したわけではないので、ほかの情報も参考にすることを薦める。UCASや他の機関の情報で大学生活について提供しているものも参考にするとよい。

 

http://russellgroup.ac.uk/news/tef-3-things-you-need-to-know/

 

(4)産業戦略チャレンジ基金の募集の開始

 6月22日、英国研究会議(RCUK:Research Council UK)とイノベーションUKは、政府の

産業戦略チャレンジ基金への応募者募集を開始した。

2017年4月の予算案で発表された6つの分野は次のとおり:

  • “ファラディチャレンジ”という電気自動車のバッテリーの開発と製造

低炭素経済の移行機会の実践のため4年間に渡り£2億4600万の投資。資金は研究、イノベーション、スケールアップの3要素に分けられる。

  • 極限環境に活用するロボット、人口知能の開発

洋上発電、原子力発電、宇宙や深層鉱業等に4年間に渡り£9300万の投資。産業と公共サービスの生産力強化を目的とする。

  • 医療製造のための新たなテクノロジーの開発。

新薬や治療への患者の早期アクセスを可能にするため、4年間に渡り£1億9700万を投資し、英国のバイオ医療分野の輸出を強化。

  • 無人自動車革命最前線にいる英国の次世代の人口知能と自動運転システムの開発

産業界との共同研究と開発プロジェクトに£3800万を投資。

  • 次世代の低価格軽量合成材料の製造開発

宇宙航空、自動車やその他応用製造分野の研究と開発プログラムに£2600万の投資。

  • 衛星試験施設―新しい宇宙技術開発、運用実験に£9900万を投資

衛星の製造と観測機器を軌道に乗せるための開発

 産業戦略チャレンジ基金は英国が科学とイノベーション分野において世界の最高峰のひとつでありつづけるための政府戦略である。

 イノベーションUKとRCUKが基金の提供、全国での実施、また科学とイノベーション分野における最大の利益を確保するための役割を果たしている。

 

http://www.rcuk.ac.uk/media/news/220617/

 

(5) ラッセルグループ大学がTEFの結果に抗議

 6月27日、高等教育専門誌のTimes Higher Education は22日に発表されたTEFの結果に不満なラッセルグループの大学、Liverpool, Durham, York, Southamptonが抗議をすることを発表した。

 Times Higher Educationの世界ランキング200位に入るLiverpool大学, Southampton大学は、最低の評価である銅と評価されたラッセルグループの3大学のうちの2つである。3つ目の大学であるLondon School of Economics (LSE)は、現在態度を明らかにしていない。

 DurhamとYorkはそれぞれ銀と評価されたが、いずれも卒業生の雇用、学生満足度やコース修了率、それに15ページに及ぶ説明文の扱いに対して抗議すると述べている。

 抗議の多くは15ページの説明文の扱い方と審査委員の間で評価基準が異なったのではないか、が焦点となっている。 

 Southampton の学長であるChristopher Snowdon卿は「評価基準は根本的に欠陥があり、結果は論理的でない」と抗議している。

 しかしTEFを担当している英国高等教育財政会議(HEFCE: Higher Education Funding Council for England)は「大学は"明らかな手続き上の瑕疵”についてのみ抗議ができ、TEFの根拠となる原理原則や審査委員の判断には抗議できない。」と述べている。

 オックスフォード大学高等教育政策研究センター(Oxford Centre for Higher Education Policy Studies)のFarrington教授は「TEFは自主参加であり、参加したものはTEFの評価に関する条件を受け入れているはずである。今頃になって評価過程に間違いがあったというのは大きな問題で、ならば最初に警鐘を鳴らすべきだった。技術的な欠陥があったとしても簡単に修正できることであるし、この結果を覆すということは考えられないことである」と述べた。

 

https://www.timeshighereducation.com/news/tef-russell-group-universities-appeal-results

 

(6)政府によるEU市民の権利に関する提案

 6月26日、内務省(Home Office)は英国におけるEU市民とEUにおける英国人の権利をいかに保護するかという提案書の詳細を発表した。

  May首相は英国におけるEU市民の顕著な貢献に鑑み、引き続き英国に居住するための権利を保障すると述べた。なお、本件は英国に在住するEU市民の権利の保護とEUに在住する英国人の権利の保護の互恵を求めるための提案であることを強調した。

 英国に滞在しているEU市民に対して「在留」というカテゴリーを設け、すでに5年以上英国に在留している場合、この権利は即座に適用される。また、英国に滞在しているが5年に達していないものは5年に達するまで滞在を認められ、以後「在留」の権利を得られる。「在留」の権利を得たEU市民は英国市民と同様の権利と保障を与えられる。すべての在留申請者は犯罪記録の調査を受ける。

 

https://www.gov.uk/government/news/uk-government-publishes-proposals-on-rights-of-eu-citizens

 

【関連記事】

 6月27日、世界4大会計事務所のひとつであるDeloitteは、英国政府やビジネス界が直面する問題を調査し、競争力、イノベーションや企業成長のための実務的なアドバイスを提供する初めてのレポート「Power Up-英国の職場」を発表した。

 本調査は2,000人の非英国人労働者(半分がUK国内在住、半分がUK国外在住)を対象とし、英国の職場環境と生活環境を理解するために実施された。

結果概要:

  • 英国は米国、オーストラリア、カナダを押さえ、優秀な高熟練労働者にとって最も人気のある国である。
  • 十分な雇用機会と多様性は英国の強みと見られる。
  • EU離脱は意識を変えた。― UK国外労働者の21%, UK国内の労働者の48%がUKに対して魅力が薄れたと感じている。
  • UK国内の外国人労働者の36%は5年以内に英国から離れることを考えている。
  • 高熟練のEU労働者に至っては47%が今後5年以内に英国から離れることを考えている。
  • 地域により結果が異なっている。例えばノーザンパワーハウスと呼ばれる北イングランドのマンチェスター、リバプール、ニューキャッセル地域は21%だが、ロンドンでは59%の労働者が英国から離れることを考えている。
  • 英国は人材不足の危機に直面する可能性がある。― 高熟練労働者が最初に移動する傾向があるので、短期的にその埋め合わせをする必要に迫られる可能性がある。
  • 特定の分野への非英国人労働者の集中とオートメーション化は関連がある。
  • EU労働者数が最も多い3つの分野はオートメーション化の可能性が高い。

提案事項:

 報告書は段階的な4つの推奨事項を提案している。

  • 高い才能をもつ者の個人的な選択を認める新しい移民法の制定。
  • 現在もしくは将来の労働者に対するスキルアップのための投資
  • デジタルの採用と、単純作業のオートメーション化のため技術開発への投資。
  • 地域レベルで対応できるよう、地域レベルでの仕事の創出。

 政策立案者、教育者、あらゆる規模の企業が団結し、英国における潜在的な問題点等を提唱し、コアスキルや生産性を高めることは重要である。

 

https://www2.deloitte.com/uk/en/pages/international-markets/articles/power-up.html

 

(7) 公正機会局によるアクセス協定2015/2016学事年度の結果発表

 6月29日、公正機会局(OFFA: Office for Fair Access)が発表した報告書によると、大学やカレッジは恵まれない環境にいる若者に対して高等教育機会を広げている一方で、成人の大学生に対しては対応が遅れが見えることを発表した。

 本報告書(Outcomes of access agreement monitoring for 2015-16)は2015/2016学事年度で設定されたアクセス協定(access agreements)に対する各機関の取組状況や参加機会拡大のための投資や支援についてOFFAが行った調査結果である。

 同局の理事長であるLes Ebdon教授は報告書序文で「高等教育機関への期待値を段階的に高く掲げてきているが、各機関はそれに応える努力を続けている。各機関が各自で設定した新たな目標に対し80%以上が進展しており、大変喜ばしいことだ。

アクセス協定関連の投資は予想を大幅に上回るものであり、高等教育機関への入学の準備から卒業後までの学生生活のバランスが取れてきている。とは言うものの、我々の分析では成人やパートタイムの学生に対する改善が微々たるもの、もしくは全くなされておらず、今後の課題となる。多くの恵まれない環境の学生グループ、特に勉学、仕事、家庭のバランスをうまくとらなくてはならない成人学生にとって柔軟な選択肢が欠如しており、超えられない障壁となっている。成人学生が適切な支援を受けて大学に入学した場合、多くの場合成績がよく、良い就職先を得られている。このような可能性のある人材が通常の学生より2倍近く志半ばで学業を去らざるをえないことは、非常にもったいないことだ。」

 

 また報告書では、各高等教育機関が同学事年度のアクセス協定に£7億2520万の投資をしていることも発表している。内訳は以下のとおり。

  • £2億7770万を公正なアクセス活動のために投資

・£1億1950万:恵まれない環境にいる学生が高等教育参加をめざすための動機づけや成績の向上のための長期的支援活動

・£1億1710万:恵まれない環境の学生が学業継続できるような研修やボランティアプログラム実施のための支援

・£4100万:恵まれない環境の学生の就職の面接準備などを含む就職活動支援や修士課程進学のための専門家からの支援。

  £4億4750万を財政的な支援のために投資:

・£4億2880万:奨学金、諸経費免除や学生寮割引などの支援

・£1870万:困難基金(Hardship funds)として、最も経済的支援を必要とする学生に対する支援。

 

https://www.offa.org.uk/press-releases/offa-monitoring-outcomes-2015-16/

 

【各メディアの反応】

・BBC News

  恵まれない環境の家庭の学生の初年度の退学率の割合が過去5年間で最高値を示していると、OFFAの報告書が示している。データによると2014/2015学事年度では8.8%の学生が初年度で退学しており、前年の8.2%から増加している。対照的に同学事年度における富裕層の学生の退学率は5%以下であった。報告書は退学率において貧困層と富裕層の学生の差が広がってきていることを示している。貧困層の学生の高等教育参加の数が今までになく増加しているが、2年連続で卒業前に学校を去る学生の数が増え続けている。この事実は学生にとって非常に大きな意味がある。高等教育は良い就職先や社会的階層の流動性の扉を開くことを可能にしてくれるが、それは卒業した者だけにしか開かれていない。

 報告書ではまた、黒人学生は白人やアジア人に比べて1.5倍も退学率が多いことを示している。学位を得たものでも成績結果は大きな違いがある。白人学生の76%は「優秀」であったが、黒人学生は52%にとどまっている。

 また、OFFAはパートタイムの成人学生に対しての対応が十分でない現状を指摘した。成人学生の93%がパートタイム学生であるため、パートタイム学生の減少は成人学生の減少に負の影響を及ぼしている。パートタイムの入学者の数は7年連続で落ち続け2010/2011学事年度から58%も減少しており、緊急な対処が必要である。

 また報告書では2015/2016学事年度に、恵まれない環境の学生を広く高等教育に参加させることに取り組んだ機関の進捗状況も評価した。各機関は貧困層の学生を支援するため以前より多くの金額を投資している。2015/2016学事年度に高等教育機関が高等教育への幅広い参加のために投資した金額は£8億8350万であった。(2014/2015学事年度:£8億4210万、2013/2014学事年度:£8億260万)

http://www.bbc.co.uk/news/education-40429263

 

・Guardian

  OFFAの理事長であるLes Ebdon教授はオックスブリッジはもっと貧困層の学生の高等教育参加に努力をするべきだと語った。この2大学は不利な立場にある志願者の潜在的な能力を見出すことに失敗している。入学者選抜の際の成績に頼り、志願者の背景データの系統的な活用ができていないことを批判した。

 Oxford の広報担当者はEbdon教授の発言に対して「幅広く秩序だったデータにより、恵まれない環境にいる学生の可能性を見出してきている。支援プログラムとして年にサマースクールに£400万、財政的支援として年間£800万の投資を行なっている。」と反論し、「2016年は学部生の31.5%は恵まれない環境にある学生であった。2017年の入学者に至っては恵まれない環境にある学生の割合は、イギリスの大学全体の平均よりも高い割合となっている。」と述べた。

 Cambridgeの広報担当者も「入学者の決定は学術的能力でのみ決定している。我々は高い学術レベルを保ちながらも入学者の多様化を目指している。恵まれない環境の学生の大学への入学の障壁は高校での成績の低さである。恵まれない環境にある学生の選抜に当たっては、総合的に将来の可能性のある者を選んでいる」と異議を唱えた。

 

https://www.theguardian.com/education/2017/jun/29/oxford-cambridge-improve-access-disadvantaged-students

 

(8) UKイノベーション・リサーチの概要発表

 

 7月4日、英国研究会議(RCUK: Research Council UK)は、UKリサーチ・イノベーション(UKRI: UK Research Innovation)の最高顧問Mark Walport 卿が組織の構想、目標、次段階の開発に関して概要を発表したこと伝えた。 

 UKRIは2018年4月に設立される予定で、現在のRCUK 、イノベーションUK及び新たな組織リサーチUKから成る。世界でもトップの研究イノベーションの機関になることを目指すとしている。

 研究及びイノベーションの関係者を前にWalport 卿は、英国の現在の研究・イノベーション体系の長所を強調するとともに、英国において生じている社会、テクノロジー、研究やビジネスにおいて既存の価値基準を打ち砕くような変化に対するアプローチや戦略について詳細を述べた。

 Mark Walport 卿は「我々は大変強力な資金調達組織を形成しようとしている。しかし単に個別をあわせただけでは不十分である。創造性やイノベーションが積極的に取り入れられ、重要な提案が人為的な分断の犠牲にならないよう、大胆さ、熱意、機敏性を促進し評価していく必要がある。」と述べた。

 また、「UKRIの成功は、人類の英知の最先端を開拓し、経済に影響を与え、新たな雇用を生み出すことで、強く健康で回復力のある社会になることにどれだけ貢献できるかにかかっている。」と語った。

 

http://www.rcuk.ac.uk/media/news/1704071/

 

(9)優秀な研究者の英国誘致のためRutherford 基金の設立

 7月4日、ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS: Department of Business, Energy & Industrial Strategy)は、大学・科学担当大臣であるJo Johnson 氏が高いスキルを持つ研究者誘致のために政府がRutherford 基金*を開設し、£1億の投資をする事を発表した。

 Rutherford 基金は開発途上国や新興研究国といわれるインド、中国、ブラジル、メキシコの若手研究者~シニア研究者に対し奨学金を支給し、英国を世界トップレベルの科学研究国として維持することに貢献してもらうことを目的としている。

 Jo Johnson氏は設立に当たり以下のようにコメントしている。

「研究とイノベーションは政府の産業戦略の目玉である。2016年秋期財政報告書において、政府は公共の研究開発に対して£47億という大幅な投資増加を発表した。首相は科学者やイノベーター、テクノロジー投資家に対し、英国が最も優れ魅力的な国であるよう、明確に指示した。 我々はEU離脱を控えているが、いつでも世界に向けて門戸を開いており、英国をイノベーションと発見のための世界の頭脳が集結する国にするため努力をしていく。」

  研究とイノベーションは政府の産業戦略のメインとなるものである。2016年秋の予算案では、公共の研究と開発のための予算を大幅に増加させ、合計£47億支出するとした。2020-21年までに毎年£20億を追加で支出することになる。これは、1979年以来の政府支出のいずれの項目よりも高い増加率(約20%)となっている。

 2017年、BEISの大臣であるGreg Clark氏は産業戦略チャレンジ基金を成立し、今後4年間に渡って£10億の投資を発表した。春の予算案では高い技術を持つ研究者の継続的な育成のため4年間にかけて£2億5000万投資することも発表した。

 基金は新組織UKリサーチ・イノベーション(UKRI: UK Research Innovation) が2018年に設立されるまでは、イノベーションUKと英国研究会議(RCUK: Research Council UK)が管理する予定である。UKRIは最高責任者に指名されたMark Walport卿の指導の下で産業戦略を通して英国の競争力を強化する役割を担う。

* Rutherford 基金 - University of Manchester とUniversity of Cambridgeで教鞭をとり,原子核物理学の父と呼ばれ、ノーベル賞科学賞受賞のアーネストラザフォード卿にちなんでいる。24歳で出身国のニュージーランドからの英国に移民した。

 

https://www.gov.uk/government/news/100-million-rutherford-fund-to-attract-best-researchers-to-the-uk

 

(10)学生の負債は£50,000以上に上昇 - 英国財政研究所発表

  7月5日、BBCは英国のシンクタンクである財政研究所(IFS : Institution for Fiscal Studies)の実施した学生の財務状況報告で、学生が学生ローンを借りた場合の借金は、卒業時に利息6.1%も含めて平均£50,800に上るということ発表した。

 利息は入学直後から発生し、卒業時には利子だけで平均£5,800になっている。この利子は“高利”であり、他のローンと比べてもかなり高いと分析している。

 報告書は、学費が£9,000に値上げされた2012年と学費が£3000であった2006年とを比較している。 学生ローン返済開始の収入基準も£21,000に上昇したため、卒業生で収入が低い者のほうが以前より恵まれている。返済開始収入基準は2012年より凍結されており、以前のローン返済制度に比べ、現在の方がすべての収入レベルにおいて状況が悪化し

ている。

 恵まれない環境にある学生は生活支援をより必要としているが、現在は返済不要の奨学金ではなくローンで支援を受けるため、卒業時には高額の負債を抱えることになる。

 利子の上昇及び学費が年間£9,250に値上げされたことにより、卒業生の負債額が増加し、高所得者は利子だけでも£40,000を支払うことになるであろう。報告書の著者Mr. Belfieldは、「現在のマーケットと比較しても、学生ローンの6.1%という利率は非常に高い。」と述べている。

 しかし卒業後30年間返済がなければ、債務は免責される。報告書では、50歳代でも返済し続けている者がいる一方で、4分の3がまったく返済をしていないという現状があるとしている。

 また政府は2012年以前の学生ローンがすでに売却開始されているように、学生ローンを個人投資家に売却することを望んでいる。

 現在のシステムで恩恵を受けているのは大学と政府の財政であると報告書では述べている。大学は政府からの財政支援がなくなることを考慮して、学費を£9,000に値上げして以来、学生一人当たりに対する助成金を25%上昇させた。奨学金から学生ローンに切り替え、ローン返済基準金額を凍結したことで、政府は財政的負担を減らした。

 卒業生のうちの3分の1を占める低所得者は、返済基準開始収入が£21,000になった2012年に比べ、30%も多額の借金を返済している。学生に負担が行くようになってから政府は長期的に£30億の負債を減らしたことになる。

 総選挙での労働党の想定外の躍進は、毎年若者の間で話題となる学費廃止を選挙公約に取り入れたことである。

 報告書では学費を廃止した場合の費用は年間£110億であると分析した。しかし「高額借金、高利子、低返済率」という状況を続けていた場合、卒業生と公共財政の両方に問題となると警告している。また最近の傾向として、大学独自の資金調達の増加、政府の高等教育に対する出資の減少の一方で卒業生、特に高所得の卒業生に対する負担の大幅な増加が特徴として挙げられている。

 

http://www.bbc.co.uk/news/education-40493658 

 

(11) 新組織学生局の最高責任者の発表

 7月5日、教育省(DfE: Department for Education )の大臣であるJustin Greening は学生局の最高責任者にNicola Dandridge 氏を指名した。

 Dandridge 氏は公職任命コミッショナー局*の監督によってオープンで、透明性のある採用手続きを経て選ばれた。

  学生局(OfS: Office for Students)は2017年の高等教育、研究法に基づいて設置される新組織である。高等教育部門の監視機関であり、学生への利益を第一に活動する。学生の高等教育への参加や雇用に対して革新的は方法で取り組むことが期待されている。

 イングランド高等教育財政会議(HEFCE: Higher Education Funding Council for England)と公正機会局(OFFA: Office for Fair Access)に代わるものとして2018年4月から本格的に活動を開始する。

 Dandridge 氏は英国大学協会(UUK: Universities UK)のchief  executiveとしてこれまでの8年間、様々な成功を収めた。

 

*公職任命コミッショナー局(the office of The Commissioner for Public Appointments):

大臣が特殊法人などの公的機関の代表者や役員を任命する際、任命が公正に行われるように監督することを職務としている機関。 

https://www.gov.uk/government/news/chief-executive-of-new-office-for-students-announced

 

 

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