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UK HE Information

2018年11月英国高等教育及び学術情報

2018年11月20日

(1)学費値下がり、しかし理系は値上がり?
 2018年11月2日、BBC Newsは、イングランドの大学学費が6,500ポンドに値下がりするが、将来高収入を得る可能性のある医科、理科系等は13,500ポンドに値上がりする可能性があることについて以下のとおり報じた。この件は、Philip Augar氏を代表として現在首相が進めている、18歳以上の高等教育の見直し作業において真剣に討議されているものだとされている。
 BBCによれば、ことさら重要なこととして、それは大学側がひそかに恐れていたことがまさにそのような方向に行くということである。人文・教養・芸術系の学生が学費切り下げを祝うにはまだ早く、まだこれは結論に至っていない。現在のところリーク等の域を出ず、2019年(注:初頭の予定)に正式に発表されるまではわからない。
 学科によって学費が異なるという方向に進んでいるようである。現在の学費上限は9,250ポンドであり、これが6,500ポンドに下がるが、コストのかかる学科は13,000ポンド以上と倍の学費になることもありえるとされている。
 これは、将来の収入が医学、自然科学、数学、工学を専攻した方が芸術・教養、人文科学系より高額になるという考えに基づいている。
 また、歴史学や英文学のように、芸術、人文科学系は、設備が必要であったり教育時間が長くなったりする自然科学系よりも安く済む、という考えからもきている。
 よって、全科目で学費が一様であるべきではなく、費用は適宜調整されるべきという議論が存在している。
 多くの大学はこの提案に対し激烈な嫌悪を示すであろう。
 大学は、芸術・教養、人文科学系を下層とする二層制度を作ることになり、下層の学科は資金不足に陥ると見るだろうとされている。また、このような制度は貧困家庭からの学生を医学や自然科学系から遠ざけ、他の安い学科に押し込めるという社会的に逆進的な仕組みとなるという反論があるだろうとしている。
 学費とその返済金があまりにも高額であるという懸念から見直し作業を行わせているため、政府はそれほど高額とは見なされないような何かを考え付くことを迫られるだろう。また、EU離脱に向けて手一杯の政府が、国内で何か違いを見せることができるということを示そうとする時期でもある。
 大学関係者は異なる学費段階といったような計画案をやめて別のことをするように求めるだろうし、そのため、今後数ヶ月で決断が近付くにつれ、学費の変更に関する意見交換会や先制攻撃を見込んでいるとされている。
 教育省(DfE:Department for Education)は、18歳以上の高等教育の見直しは学生にとっての学費の価値を求めるものであるとしたが、見直し内容の見込みや事前情報に関してはコメントを控えた。

 

BBC News:Tuition fees cut to £6,500 but higher for science?

 

1ポンド≒147円(2018年11月2日)

 

(2)大学は学費に見合う価値のあるところであるべき
 2018年11月5日、議会の教育委員会は「高等教育における学費の価値」(Value for money in higher education)に関する報告書を公表し、その中で高等教育は卒業後の成果、技能の教育、恵まれない環境からの生徒の参加向上に焦点を絞る必要があることを述べた。

 

アクセシビリティ:
委員会は、大学と政府両者に、学生によりよい成果を保証するために学位アプレンティスシップ(degree apprenticeship)*の拡大、大学をより幅広い学生にとってよりアクセスしやすい場所にすること、また過当な学長の給与に関して取り組んでいくように呼びかけている。

 

卒業後の成果:
報告書では、大学に卒業後の将来の見込みについて、収入と就職先の両方との関係で、より透明性を高めるよう求めている。国家統計局(ONS:Office for National Statistics)の2017年の調査によると、最近の卒業生の49%は英国で大卒向け未満の仕事に就いていることがわかった。委員会は、卒業後の成果の情報が増えれば、学生はより良い情報の下に選択をでき、機関がより説明責任を果たすことになると考えている。

 

技能と学位アプレンティスシップ:
高等教育は第4次産業革命に向けて学生を育て、国内での技能需要を満たすことにより重要な役割を果たさなくてはいけないと報告書は述べている。政府が発表した最近の雇用者技能調査の結果では、なかなか埋めることが困難な空きポジションの原因の3分の2は、少なくとも部分的には、志願者の技能、資格、経験の不足である。委員会はすべての高等教育機関に対して国の生産力向上のため“重要”とされる学位アプレンティスシップの提供を求めている。

 

社会的公正さと柔軟な学習―― 生活費給付奨学金の復活:
委員会は、パートタイム学生数及び成人学生数の減少並びに社会的に恵まれない環境から高等教育へ進む学生への影響を“深く懸念”している。大学はもっと柔軟な学習環境を、例えば、単位互換、就労体験型学習や就学中断制度などを提供し、従来の“厳格な”大学3年制の考えから抜け出す必要がある。
英財政研究所(IFS:Institution for Fiscal Studies)の研究調査によると、2012年の学費の値上がりと生活費給付奨学金の導入で、貧困層の学生に3年間の課程で57,000ポンドの負債が生じることになる。政府はローンの所得調査制度と生活費給付奨学金の復活をするべきである。

 

学長及び上級職の給与:
報告書では学長の“不当で”過大な給与が異例と言うより普通になってしまっており、学生や納税者にとって見合う価値のないものであるとしている。雑誌“Times Higher Education”の学長給与調査では、給与、ボーナス、手当の合計で学長たちは平均268,103ポンドを支払われていた。
学生局(OfS:Office for Students)は上級管理職の報酬に関してより強硬な姿勢をとり、特に職員の平均給与の8倍以上が機関から学長に支払われている場合、介入を恐れないようにするべきである。委員会はOfSに、職員の平均給与、実績、その他の評価に結びつく、許容可能な賃金水準の基準の公表を呼びかけている。

 

無条件合格:
報告書では、学生に対し提示される無条件合格の急激な増加に注目して、OfSにその利用を抑え、そのやり方が学生の利益にとって有害であり高等教育制度自体を蝕むと警告するようにも求めている。

 

Parliament.uk:Universities must focus on value for money

 

1ポンド≒147円(2018年11月5日)

 

*学位アプレンティスシップ:英国の職業教育制度の一つ。実際に雇用され賃金を支払われることと大学や職業訓練事業者へ通うことがセットになっており、最終的に学士号や修士号を得ることができる制度。

 

(3)調査報告書:英国における留学生の持続可能な未来
 2018年11月6日、英国の国際教育関係者ネットワークExporting Education UKは、超党派の国会議員で構成される留学生関係議員連盟(APPG:All-Party Parliamentary Group for International students)が、過去8年間にわたる政府の規制的な政策の後に世界における教育界の競争的地位を回復させるために設けられた、英国の国際教育の持続可能な成長のための計画案を発表したと報じた。
 報告書は、2018年9月に発表された移民諮問委員会(MAC:Migration Advisory Committee)の報告書と2018年1月に高等教育政策研究所(HEPI:Higher Education Policy Institute)とKaplan(注:米国に本拠を置く国際的な教育企業)が発表した国家や地域への留学生の経済的貢献に関する研究利益に続く、留学生が英国にもたらす利益を明確に示してきた数多くの研究の一つである。
 報告書では12の勧告が示されている。

 

その内容は:
政府に対する勧告
1. 複数の部門にまたがるグループが、留学生の数を増やすために明確で野心的な目標を設けるべきである。このことは複数部門にまたがる戦略や、学生を移民総数の対象から除外するという合意事項によって支援されるべきである。

2. 政府は、英国で2年までの就業経験を可能にする、明確に分類された魅力的な卒業後就労ビザを提供するべきである。

3. 政府は、ヨーロッパの大学との関係を近づけるための一環として、学生や研究者の無制限な移動についてEUと合意すべきである。そして、英国において学び、研究しているEU市民に対して、彼らのビザや研究資金の権利がいかに変化するかを即刻はっきりさせるべきである。

4. 移民関係の規則は、学生が英国で、そして英国教育システムのすべての段階で学ぶことを促進、奨励すべきである。

5. 政府は、現在提案されている雇用戦略の中で、小規模な、専門的な、職業訓練的なまたは継続教育の教育機関を含む英国教育の選択肢の多様性を促進し保護するべきである。

6. 国境局独立主任検査官(Independent Chief Inspector of Borders and Immigration)は、学生移民制度の中で、目的に沿っているか、現在あるリスクと比べて費用が効果的か、留学生の多様性を制限していないかなどを確かなものにするために、信頼性確認面接制度(注:学生ビザを申請する際に受ける手続きの一つで、申請者が本当に学生かどうかを審査するもの)の評価作業を独立して行なうべきである。

7. 留学生数の増加を支援し、留学生に頼っている地域独自の課程や教育機関を保護し、就業経験制度や業界の関与など国際教育の利益を高めようとする地域及び国家の取り組みを支援するために、政府と、分権された地方政府とが密接に関わっていくべきである。

8. 政府は輸出産業として、また国家、地方、地域レベルを含めた経済的価値のあるものとして、教育に関するデータを正確に追跡するべきである。政府は二国間協定の交渉を行なうとき教育も貿易戦略として含めるべきである。

 

大学、カレッジ、学校への勧告
9. 教育機関は、より多くの英国人が海外で学ぶことを支援するだけでなく、異なる留学生集団を持つことによる有利な点や利益を最大化することによって国際化戦略を強化するために、成功事例を教育界の中で共有するべきである。

 

企業への勧告
10. 英国に関する留学生へのメッセージは、歓迎的で、明確、シンプル、かつ一貫性のあるものであるべきである。これらは政府や教育界と協力して企業が開発するべきである。

11. 英国は、留学生の自国での就業機会を支援して英国のソフトパワー、研究、貿易を促進するような、また大学、企業、政府が一層同窓会活動に参画することを支援するような、留学生の卒業生や同窓会についての戦略を立てるべきである。留学生の長期に渡る就職状況の追跡活動は強化するべきである。

12. 教育機関、地方自治体、地方企業は団結し、留学生を誘致し、留学生に備え、留学生を支援し、そして地元社会の中に留学生が溶け込むようにするべきである。

 

ExEdUK:Inquiry Report: A Sustainable future for international students in the UK

 

(4)英国大学協会とドイツ大学学長会議の共同声明 ― 学術的提携を続けることの重要性
 2018年11月9日、UUK(Universities UK)は、UUKの理事長でLiverpool UniversityのDame Janet Beer学長がドイツ大学学長会議(HRK:Hochschulrektorenkonferenz)の会長であるPeter-Andre Alt教授と対談し、英国のEU離脱後いかに現在の高レベルな研究提携や学生、教職員の交流を英国とドイツの間で維持するかについて議論したと発表した。

 

両者の声明文:
“英国とドイツとは研究協力における長年の歴史があり、ヨーロッパ研究プロジェクトで現在11,854件の提携を行なっている。我々は相互の利益のために双方向の学生交流を行なっており、2016/2017学事年度では英国にドイツ人学生13,400人以上、ドイツに英国人学生3,500人以上が学業の一環として学び、ボランティアし、就業している。我々はこの相互協力を高く評価し、さらなる学術提携を育み、奨励していくことを誓った。我々は価値観、研究目標、文化を共有する最も近い隣人たちが現在のように我々と親密である状態を保つために努力していかなければならない。”

 

また、彼らは“我々は両国の政治指導者に、この協力関係を維持する方法を見つけ、また将来のフレームワーク・プログラムとなるホライズン・ヨーロッパ及び教職員、学生の交流のためのエラスムス計画の両方を真剣な選択肢として見るよう、喚起したい。”とも述べた。

 

Universities UK:Joint statement from UUK and HRK on the importance of continued academic collaboration

 

(5)シンクタンクによるサンドウィッチイヤー中の学費の妥当性の調査
 2018年11月11日、自由保守主義系の独立シンクタンクであるブライト・ブルーは、イギリスの各大学がサンドウィッチイヤー*に課している学費の差を示すデータを公表し、学生局(OfS:Office for Students)にこの学費の正当性の調査を呼びかけた。
 ブライト・ブルーのRyan Shorthouse取締役は、“大学はサンドウィッチイヤーに入っている英国学生とEU留学生に対して最高1,850ポンドの学費を課すことを許可されている。またこの課される学費には大学によりかなりの格差が生じている。多くの場合は上限額付近に集まっている。サンドウィッチイヤーにまったく学費を課していないところもある。”“サンドウィッチイヤーの間、学生はその労働に対して収入を得ている。特に、多くの大学が学費を課すことなくサンドウィッチイヤーを提供できているため、学生がサンドウィッチイヤーに対して何のために何千ポンドもの学費を払っているかは明確ではない。そこで新しくできたOfSは、このサンドウィッチイヤーの学費の正当性を包括的に調査し、もし必要であれば、不当な学費を廃止するための行動を取るべきである。”

 

 ブライト・ブルーは、2018年8月に情報公開として94のイングランドの大学に質問状を送付した。その内容は:
• 2016/2017学事年度でサンドウィッチイヤーの学部学生に対して課された学費
• 2016/2017学事年度でサンドウィッチイヤーに入った学部学生の数
• 2016/2017学事年度でサンドウィッチイヤーを利用した、プレイスメントイヤー**の学部学生から支払われた学費の総合計額
• 2016/2017学事年度で学部学生のための全てのプレイスメントイヤーにかかった管理費用の合計額

 

ブライト・ブルーが調査した94のイングランドの大学とはすべてのイングランドの大学ではない。また、全大学から回答は回収できなかった。

 

回収された回答からの結果は:
• サンドウィッチイヤーを始めた英国学生に個別の学費割合を示すことができていた64大学中のうち、11大学は2016/2017学事年度に学費を課していない。
• サンドウィッチイヤーを始めた英国学生に個別の学費割合を示すことができていた64大学のうち、12大学は、2016/2017学事年度に最高額となる1,800ポンドを課している。
• サンドウィッチイヤーを始めた英国学生に個別の学費割合を示すことができていた64大学が課していた学費の中央値は1,000ポンドであった。
• 調査した94大学中23大学は、返答がなかったか、求められたデータを提供することができないということだった。

 

Bright Blue:Investigate justifiability of tuition fees for sandwich years, says Bright Blue

 

調査結果の詳細:
Bright Blue:Ryan Shorthouse and Jessica Prestidge: Tuition fees for sandwich years, by English university (2016-17)

 

*サンドウィッチイヤー:大学で最終学年の前年に1年間の職務経験を体験する制度。

 

**プレイスメントイヤー:大学にいながら1年間雇用され、就業できる制度。

 

1ポンド≒149円(2018年11月9日)

 

(6)英国のクリエイティブ産業の強化のため主要な新規研究に投資
 2018年11月13日、芸術・人文科学研究会議(AHRC:Arts & Humanities Research Council)は、英国最高のパフォーマンスと世界規模で高い評判のあるクリエイティブ産業のいくつかが研究者や組織と協力し、この分野を強化する新しい方法を模索をすることになったと発表した。その目的は、映像産業や興行産業における観客の体験の向上や、デザイン産業における生産時間の短縮のためにデジタル技術の利用を増やすことであるとされている。
UKリサーチ・イノベーション(UKRI:UK Research and Innovation)が主導し、産業戦略チャレンジ基金からも資金を受けた8,000万ポンドに及ぶこのプログラムは、英国の4つの国(注:英国は連合国家である)中にある9つのクリエイティブ集積事業と、13の大学が提携したNestaが主導する新しい政策とエビデンス収集のためのセンターとを含んでいる。このプログラムは、企業や組織と共に世界クラスの研究能力を集める。そこにはAardman、Burberry、Sonyといったお馴染みの企業も参加しており、今までに類を見ないものような研究開発投資が行なわれることになる。

 

AHRC:Major new research investment set to provide boost for UK's Creative Industries

 

1ポンド≒146円(2018年11月13日)






2018年10月英国高等教育及び学術情報

2018年10月22日

(1)留学生のもたらす影響についての移民諮問委員会の報告

9月11日、政府の移民諮問委員会(MAC:Migration Advisory Committee)は、英国内で留学生のもたらす影響についてまとめた報告書を公表した。同報告書では、留学生が、経済、教育機関、国内の学生、また留学生が住む共同体へと及ぼす影響について調査がされており、学び終わった後に英国に残る学生と英国を離れる学生の両方の場合について考察した上、政策的な提言を行っている。
提言は8の項目に分かれており、概略としては以下のとおりとなっている。
 1 留学生の受け入れ人数に上限のない状況を維持すべきであること
 2 政府と教育界は、留学生の人数を増やすために共同での作業を続けるべきこと
 3 留学生は移民実数統計から除外されるべきではないこと
 4 学びながら働ける制度や、被扶養者の権利は変更されないままであるべきこと
 5 ビザ区分をTier4(注:留学ビザ)からTier2(注:就労ビザ)へと変更する申請の機会を拡大しうること
 6 適切性について徹底した検討を要するものの、修士学生に対する卒業後の猶予期間を6ヶ月へと延長すべきこと
 7 課程を終えた日以降も英国に滞在できるよう、博士号を得た後の12ヶ月の滞在猶予は元々のビザの有効期間に組み入れられるべきこと
 8 英国でレベル6以上(注:大卒程度を指す英国内の能力証明区分)を取得している従来のTier4学生は、現在国内でTier4からTier2への切り替えを行なうことができる制度と同様に、二年の間国外からTier2ビザを申請できる権利を与えられるべきこと


MAC:Migration Advisory Committee (MAC) report: international students


【参考】
Impact of international students in the UK[PDF:2.22MB]


【メディアの反応】
○Pie News
英国の教育関係メディアPie Newsは、このことについて以下のように報じた。
博士課程修了後の就業権利に関して緩和があったものの、学術界から提案されていた学生数を移民統計数から外すことについては除外された。報告書では、博士号ビザの延長、1年間就労ビザ発行の標準化、修士課程在籍者への期間延長に関して論じられている。これは英国のSTEM分野(注:Science、Technology、Engineering及びMathematicsの各分野を指す)を支援するために必要と見られている。
学部生市場のために、Tier 2(就労ビザ)申請のための期間の延長が提案されている。現行では英国高等教育機関からの卒業生は課程終了後4ヶ月以内に異なるビザの申請が可能である。MACはこれを2年に延長することを示唆したが、卒業生はその全期間中英国への滞在が可能であると期待するべきでないともしている。
MACの委員長であり報告書の著作者であるAlan Manning教授は「我々は、博士課程学生は卒業後自動的に1年間の滞在許可取得を与えられるよう提案した。これは現在の修士号の予備期間についてすべての学生に6ヶ月間の延長がもたらされ、就労ビザ申請の機会を広げるということである。」と述べた。
しかし報告書は英国大学協会国際部(UUKi:Universities UK International)などが提案している卒業後の新しい就労ビザの設定に関して推奨するには至らなかった。MACは、MACの提案で望ましい効果が得られるとしている。
英国大学協会(UUK:Universities UK)の会長及びリバプール大学学長を務めるDame Janet Beer教授は“主要な提案内容には失望している。留学生の数を増やすため政府と高等教育関係機関が協力を継続することには同意する。しかし、成長というものは、移民制度が、優秀な留学生が英国を選ぶことを奨励するような制度である場合にのみ可能である。”と述べた。
同教授は、UUKが一週間ほど前に、英国を留学生にとってより魅力的な場所にするであろう新卒業ビザについて提案したことを指摘した。同教授は“改善された新卒業ビザなら、我々を米国、カナダ、オーストラリアなどが実施しているものと同列の地位に押し上げるであろう。”と述べた。
Manning教授は報告書で、“我々の提案では、学び終えた後に自動的に滞在を許可される猶予期間に関して、異なる卒業後ビザから同じような効果が得られるようには提言しない”とされている。。
また、Manning教授はさらに、留学生に長期の猶予期間を与えても“最も高度な技能を持つ人たち”を支援することにはならないとしている。“卒業後就業期間を長くしない理由の一つは、英国に残った卒業生の一部は驚くほど低所得で、長期滞在で大卒レベルの職を見付けるといった恩恵を被る学生は、最も高度な技能を持つ人たちではない。”
しかし重要なこととして、Manning教授は、この主張のための証拠が“それほど強くない” と認めており、違う報告書が直接PSW(注:Post-study work。卒業後に大卒レベルの仕事をできる期間)について論じるよう求めている。
“そうした評価作業の後、より長いPSWが当然だとされるのであれば、我々の助言内容は変わる可能性がある”と、報告書は結論している。
移民諮問委員会は、高等教育界の人々が留学生にとって、より卒業後の門戸が開くことを期待していたということは承知していた。しかし、“PSWに関する我々の提案内容が教育界を失望させるであろうことはわかっている。だが、英国の教育に対する要求は外国人の労働権を元にするべきではない。”と報告書には記載されている。


Pie News:UK: MAC report recommends post-study work, but not a new visa

 

(2)移民制度に関する移民諮問委員会(MAC)の調査結果発表

9月18日、政府の移民諮問委員会(MAC:Migration Advisory Committee)は、欧州経済領域(EEA:European Economic Area)からの移民がもたらす影響に関しての報告を発表した。
これは、2017年に内務大臣より委託を受けたMACが、EEAからの移民が下記の分野で及ぼす影響について調査したものである。
• 労働市場への影響
• 生産性
• イノベーション
• 投資と人材養成への影響
• 消費者物価と住宅価格への影響
• 公的財政への影響
• 公共サービスへの影響
• コミュニティへの影響

この報告書では、英国にとって望ましいと考えられる移民制度を提言しており、MACの委員長であり報告書の著作者であるAlan Manning教授は、同報告書の序文で、EEAからの移民に関して“優先的アクセス”を基本とはしないシステムに移行することを提言している。
移民は、技能、雇用、年齢、公共サービスの影響などを含む要素に基づき判断されるべきであり、“基本的には国籍で選ばれるべきはない”と報告書は論じている。
また、EEAからの移民と非EEAからの移民に違うルールを課すことについて納得できる理由がない、と報告書は付け加えている。
また、高技能の移民に門戸を広げる一方で低技能移民の入国を制限するという政策は、用いうる材料から見てふさわしいものであろうと報告書は述べている。


【各機関の反応】
○ラッセル・グループ(RG:Russell Group)/Tim Bradshow事務局長
この報告書は、EEAからの移民が英国の失業率を上昇させず、給与を低下させず国内労働者の技能訓練にも悪影響を及ぼさないなどといった一連の“蔓延している移民神話”を打ち砕いていると述べた。ただ、そうというものの、同事務局長は報告書を“がっかりさせられた”、“提言内容は実行不可能”であると述べている。また“就労ビザの定員数や居住者労働市場テスト(Resident Labour Market Test)* を廃止するだけでは、すでに破綻しつつあるシステムにおける負担と官僚主義を軽減するには十分ではない。これは英国をより現代的で理にかなった制度に導く真の機会であったが、提言には想像力が感じられず実行不可能だ”と主張した。あわせて、“MACの提案内容では、EEAからの熟練労働者は英国に入国するために過度のお役所手続きを苦労して通り抜けなくてはならない。この、英国が海外の優秀な人材にとってより一層魅力的になるべき、まさにその時期にだ。”と述べた。


○英国大学協会(UUK:Universities UK)/Alistair Jarvis会長
MACの提言を歓迎し、政府がこの機会に移民制度を国際的な教育者にとって利益のあるものに“作り直す”ことを望んでいると述べた。また、同会長は“現行のシステムが許容するよりも幅広い範囲で雇用者や技能を雇用する上でことに役立つような就労ビザの延長・柔軟性向上を行なうというこの提案を歓迎する。最小限の障壁で、幅広い技能レベルの海外からの教職員を雇用可能であるということは、我々の大学が引き続き世界的な成功を収めるためには不可欠なである。EU離脱投票によって海外からの教職員の立場が大変不透明となっており、EU離脱の最終協定が合意に達しつつある時にこの勧告が発表されたことが重要である。政府が、優秀な海外大学の教職員が英国を選択することを促すような新しい移民制度を早急に打ち出すことを願う。”と述べた。


*居住者労働市場テスト:英国の雇用者が非EEA地域からの移民の雇用を必要とする場合に、その必要性を確認するために求められる手続き。


MAC:Migration Advisory Committee (MAC) report: EEA migration
Pie News:UK: Second MAC report splits opinion


【参考】
Migration Advisory Committee (MAC) report: EEA migration[PDF:2.22MB]

 

(3)2018年版高等教育のパターンと傾向の発表

2018年9月18日、英国大学協会(UUK:Universities UK)は毎年公表している“パターンと傾向”を発表した。これは英国高等教育の規模や形態の変化を幅広いデータや分析によって紹介するものである。
報告書は過去10年間にわたる高等教育の分析をしており、大学出願、学生の人口統計及び卒業生の動向、職員の背景及びその専門知識並びに高等教育機関の収入及び支出が上げられている。
主な結果:
• 18歳の者の大学進学への要望は増している。10年前と比較すると、恵まれない階級からは49%も多く出願が出ている。
• 2016/2017学事年度では、英国に訪れる留学生は40万人以上で全学生の19%を占める。(5.8%がEU圏からで13.3%が非EU圏から)
• 2017年の大学卒業者の年間平均収入は33,000ポンドであった。(大学卒ではない場合は23,000ポンド)また、同年の失業率は、学位を持たない者が5.3%だったのに比べて大卒者は2.8%であった。
• 英国高等教育機関では419,585人の教職員を採用しており、その内46.9%は教員として採用されており、11.9%がEU圏(英国は除く)から来ている。また非EU圏からは8.1%であった。
• 2016/2017学事年度の英国大学の総収入は357億ポンドであった。このうち授業料などの教育関係のもの(167億ポンド)は半分以下(46.9%)であった。研究から来る収入はおよそ5分の1で(22.1%)79億ポンド。残りは寄付金や投資(2.4%)、その他の収入(19.4%)であった。
(この統計は2016/2017学事年度に国のカウンシルから資金を受けている英国162大学(継続教育のカレッジは除く)及びUniversity of Buckinghamのデータを基にしている)


UUK:Patterns and trends in higher education report 2018

1ポンド≒147円(2018年9月18日)

 

(4)Times Higher Education世界大学ランキング2019の発表

9月26日、英国の国際的教育専門誌Times Higher Educationが開催した世界学術サミットにおいて、2019年版のTimes Higher Education世界大学ランキングが発表された。


Times Higher Education:World University Rankings 2019


【全体の状況】
昨年に続き、1位がオックスフォード大学(英/昨年1位)、2位がケンブリッジ大学(英/昨年2位)であり、英国の大学が首位を独占する形になった。
上位10校にそれほど大規模な動きはなく、イェール大学(米/昨年12位)が8位にランクインした一方、スイス連邦工科大学(スイス/昨年10位)とペンシルバニア大学(米/昨年10位)がトップ10を外れてそれぞれ11位と12位になった。
アジア地域では精華大学(中国/昨年30位)が大きく順位を上げて22位となり、これまでアジアで首位だった23位のシンガポール国立大学(シンガポール/昨年22位)を抜いて、中国の大学としては現在の算定方法になって以来初のアジア圏トップに躍り出た。Times Higher Educationはこれについて、精華大学がこれまで論文引用数を改善し、機関収入を増やし、国際的な教職員や留学生、共著者を増やすことで国際化の状況を進展させたためと分析している。
なお、今年は86カ国から1,258大学がランキングに入っており、国数・大学数ともに昨年の77カ国(1,103大学)、一昨年の79カ国(981大学)に比べ増加している。


【日本の大学の状況】
日本の大学では東京大学(昨年46位)が42位へ、京都大学(昨年74位)が65位へと順位を上げている。昨年数校がランクインしていた201-250位圏には日本の大学が入っておらず、251-300位圏に大阪大学(昨年201-250位)、東北大学(昨年201-250位)、東京工業大学(昨年同位)となっている。
それ以降500位まででは、301-350位圏に名古屋大学(昨年同位)、401-500位圏に藤田保健衛生大学(昨年501-600位)、北海道大学(昨年同位)、九州大学(昨年351–400位)、帝京大学(昨年圏外)、東京医科歯科大学(昨年同位)、首都大学東京(昨年501-600位)、筑波大学(昨年同位)がランクインしている(注:本ランキングでは、201位以降は順位圏による大まかな区切りとなっている)。
1001位以降まで含めると日本の大学は合計で103校がランクインしており、初めて英国(98校)を上回った。Times Higher Educationはこのことについて、日本が英国を上回り世界を二番目に代表する国となったとして触れている(注:世界最多は米国の172校。比較用の値として中国は72校)。


【図表での分析】
上位20校の状況は以下のとおり(2018年には同位タイの校が含まれている)。

2019順位 2018順位 変動 大学名  国
1 1 -  オックスフォード大学 英国 
2 2 ケンブリッジ大学 英国
3 3 スタンフォード大学 アメリカ
4 5 マサチューセッツ工科大学 アメリカ
5 3 カリフォルニア工科大学 アメリカ
6 6 ハーバード大学 アメリカ
7 7 プリンストン大学 アメリカ
8 12 イェール大学 アメリカ
9 インペリアルカレッジロンドン 英国
10 9 シカゴ大学 アメリカ
11 10 スイス連邦工科大学 スイス
12 13 ジョンズホプキンス大学 アメリカ
13 10 ペンシルバニア大学 アメリカ
14 16 ユニバーシティーカレッジロンドン 英国
15 18 カリフォルニア大学バークレー校 アメリカ
16 14 コロンビア大学 アメリカ
17 15 カリフォルニア大学ロサンゼルス校 アメリカ
18 17 デューク大学 アメリカ
19 19 コーネル大学 アメリカ
20 21 ミシガン大学 アメリカ

 

また、上位200校に各国・各地域の大学が占める校数並びに各国・各地域のトップ校及びその順位は以下のとおり。 

国・地域名 校数 トップ校 トップ校順位
アメリカ 60 スタンフォード大学 3
英国 29 オックスフォード大学 1
ドイツ 23 ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン(ミュンヘン大学) 32
オランダ 12 デルフト工科大学 58
カナダ 9 トロント大学 21
オーストラリア 9 メルボルン大学 32
スイス 7 スイス連邦工科大学 11
中国 7 精華大学 22
香港 5 香港大学 36
スウェーデン 5 カロリンスカ研究所(カロリンスカ医科大学) 40
韓国 5 ソウル大学校 63
フランス 4 パリ科学文学研究大学 41
デンマーク 4 コペンハーゲン大学 116
ベルギー 3 ルーヴェン・カトリック大学 48
イタリア 3 聖アンナ高等研究学校 153
日本 2 東京大学 42
フィンランド 2 ヘルシンキ大学 99
シンガポール 2 シンガポール国立大学 23
ノルウェー 2 オスロ大学 121
スペイン 2 ポンペウ・ファブラ大学 135
アイルランド 1 ダブリン大学トリニティカレッジ 120
オーストリア 1 ウィーン大学 143
南アフリカ共和国 1 ケープタウン大学 156
台湾 1 国立台湾大学 170
ロシア 1 ロモノーソフ・モスクワ国立総合大学 199

 


(5)ホライズン2020による研究資金を継続させるための動き

9月27日、政府及びUKリサーチ・イノベーション(UKRI:UK Research and Innovation)はEUの最も重要な科学と革新のプログラムであるホライズン2020から資金を得ている機関の資金的継続性の支援に向けた最初のステップとして、新しいシステムを公開した。
公表情報によれば、UKRIはホライズン2020の研究資金を受けている者に対し、彼らが受けている資金についての基本的な情報を特設のポータルへ入力するよう依頼している。これにより、英国のEU離脱によりホライズン2020が支払っていた資金を政府が肩代りする必要が出た場合に、UKRIが英国の研究者や企業へ次のステップについて知らせうるということが確実になるとされている。
英国とEUの意図は、英国の研究者や企業をホライズン2020の事業の残り期間中に引き続き同事業へ参加可能とすることとされている。
この意図は、離脱協定草案の財政規定に示されており、そしてそれは英国と欧州委員会の交渉担当者の両方によって合意されていて、今年3月の欧州委員会で他の27のEU参加国からも受け入れられている。
しかし、英国政府は責任ある政府として、EU離脱後も科学とイノベーションの国境を越えた提携が続くことを確かなものとするため、あらゆる可能性に対し計画を行なっている。


大学、科学担当大臣であるSam Gyimah氏のコメント:
EU離脱後、我が国の世界クラスの研究者、企業そして科学者がEUのパートナーと提携を継続することに我々政府が支援を行なうということは不可欠である。合意なしでの離脱を望もうと望むまいと、いかなる結末にも計画性を持って対応するというのが正しいあり方だ。新しいUKRIポータルの立ち上げは、ホライズン2020の資金を受けている者に事業期間中の資金の確保を保証するとした我々の約束の次段階に入った。


(注)2年前、政府はEUが拠出する全てのプロジェクトに対して、英国から参加しているものには英国がEUメンバーである限り国の資金で肩代りをすることを発表している。2018年7月には、EU離脱において合意なしの場合でも離脱の日からプログラム期間の終了となる2020年までは政府が資金的な保証をすると発表された。。そして2018年8月には、この資金的保証が必要となった場合はUKRIがその担当をすると発表されている。


UKRI:New UKRI system needs community input on Horizon 2020 grants

 

(6)英国における人的資本の2004年から2017年の推移

10月1日、国家統計局(ONS:Office for National Statistics)は教育や人口統計を考慮し、国家、地域、職業、及び雇用期間について英国の人的資本の推計を公表した。
人的資本は個人または集団の技能、知識、経験の蓄積として定義されており、経済において生産的に適用されうる、経済成長の主要な原動力の一つとして幅広く触れられているものである。人的資本は生産性をもたらす重要な役割を果たしている。近年では、英国でも海外でも、国内の労働者の技能や、成長の原動力をよりよく理解するため、人的資本の測定と理解の両方に関心が増してきている。
今回の要点:
• 2017年、英国における総人的資本の実質額は20.4兆ポンドで、これは英国の国内総生産(GDP)の10倍をわずかに超えた額に等しい。
• 2017年に英国の人的資本の額は現在の物価にして1.8%増加し、これは2010年以来最低の年間成長率であった一方で、同年の人的資本の実質額は0.8%減少した。これは2012年以来初の人的資本の減少だが、これは消費者物価指数によって測定されているのと同様に、インフレに比べて所得の伸びが低迷したことが原因である。
• 2017年の一人当たり人的資本の実質額の年率成長率は、16―25歳と26―35歳の年齢層グループで最も低く、それぞれマイナス1.1%とマイナス0.9%であった。これらのグループの所得の伸びが低かったことがその原因であった。
• 英国全体での人的資本の変動は、地域や各種グループの間で異なるそれぞれの傾向の上にある。例えば学位取得者や高等資格保有者では、ウエスト・ミッドランド地方に住んでいる者の人的資本の実質額の平均値が最も下がっていて、2017年には568,168ポンドへと5%減少し過去6年間で最大の下落となった。これは所得成長のマイナスを反映している。
• その反対にイースト・ミッドランド地方に住む学位取得者や高等資格保有者の人的資本の実質額の平均値は2017年に564,790ポンドへと9%上昇した。
• 2004年から2017年の間に、16歳から25歳までの学位取得者や高等資格保有者を平均した人的資本の価値は、実質額で8%下がってしまっている。対照的に、16歳から25歳で無資格の者を平均した人的資本の額は同時期で1%の上昇があった。
• 2004年の学士号等の資格取得者への給与優遇率は英国全体と比べて41%であり、これは2017年までに24%へと減少した。

1ポンド≒148円(2018年10月1日)


ONS:Human capital estimates, UK: 2004 to 2017

 

(7)2016/2017学事年度の英国トランスナショナル高等教育

10月2日、英国大学協会国際部(UUKi:Universities UK International)は、高等教育統計局(HESA:Higher Education Statistics Agency)のデータを元に、英国における国境を越えた高等教育の分析を発表した。報告書では、2016/2017学事年度の英国のトランスナショナル高等教育(HE TNE:higher education transnational education(注:TNEは transnational education))はこれまでの学事年度以上に拡大を続けており、より多くの学生が、またより多くの地域で、そしてより多くの大学が係っていることがわかったとされている。


主な内容:
• 2016/2017学事年度に英国のHE TNEには707,915人の学生が参加。これは同学事年度に英国の大学にいた留学生の1.6倍の数である。
• 大規模に行なっているところは少ないものの、英国の高等教育事業者の84.7%がTNEの学位取得課程を実施している。英国のHE TNEを受けている学生の75%は16大学で学んでいる。
• 2013/2014学事年度から2016/2017学事年度にかけて英国のHE TNEを受ける学生の数は11.2%の伸びを示しており、2015/2016学事年度から2016/2017学事年度にかけては1%であった。
• 英国のHE TNE全体ではアジアに48.7%の学生がおり、次にアフリカが22.5%、EUが10.9%、中東が9.6%、北アメリカが4.6%、非EU圏のヨーロッパが2.8%、オーストラリアが0.6%、南アフリカが0.4%であった。
• 2016/2017学事年度に最も多い学生がいたのは、マレーシア(10.5%、74,180人)、中国(9.9%、69,855人)、シンガポール(6.8%、48,290人)、パキスタン(6.2%、43,870人)、ナイジェリア(4.7%、32,925人)であった。


UUKi:https://www.universitiesuk.ac.uk/International/Pages/the-scale-of-higher-education-transnational-education-2016-17-.aspx(報告書PDFあり)

 

(8)新しい材料イノベーションファクトリーの開設


10月5日、UKリサーチ・イノベーション(UKRI:UK Research and Innovation)は、材料化学の専門家が集結し最先端のロボットやコンピュータを駆使して社会の将来の課題に挑戦していく材料イノベーションファクトリーを、新たに8,100万ポンドを投じてLiverpool Universityに開設したと発表した。
UKRIのリサーチ・イングランド(RE:Research England)は、自身の主要な基金である英国研究パートナーシップ投資基金(UKRPIF:UK Research Partnership Investment Fund)を通じて同ファクトリーに1,100万ポンドを投資した。
REによって管理されている最大の競争的資金でもあるUKRPIFの目的の一つは、高等教育機関と、活発な研究を行っている他機関との戦略的な提携を奨励し、また経済成長のための研究基盤への拠出を強化することである。
UKRIによれば、これらの目的に合わせ、材料イノベーションファクトリーはLiverpool Universityと世界的消費財企業のユニリーバとの戦略的なパートナ―シップに立脚している。ユニリーバは共同投資として2,500万ポンドの出資と機器及びソフトウェアに450万ポンドの追加投資を行なっており、その研究開発機能の重要な部分をこの施設に置く予定であるとされている。他の共同投資としてRoyceから1,090万ポンド、Liverpool University自身から3,480万ポンドが投資されている。


UKRI:New £81 million Materials Innovation Factory opens

1ポンド≒149円(2018年10月5日)

 

(9)需要に伴う技術の育成の事例

10月8日、英国大学協会(UUK:Universities UK)は、“Route to high-levels skills”という報告書を発表した。その中では、学生や雇用者が求めている技術をより一層提供するために、政策立案者は既存の協力関係に目を向けるべきということが述べられている。
UUKによれば、同報告書に載っている一連の事例分析では、カレッジや大学が現在いかにして資金、資源、職員の専門知識を共有しているかが示されている。
UUKは、大学や継続教育カレッジが独自のコースや技術訓練を提供し続けるであろう一方で、全ての年齢層で、高い技能、特にLevel 4と5(基本学位、全国高等学力証明:higher national certificate、全国高等学位証明:higher national diploma)を持つ者への需要が増すにつれ、大学やカレッジと地元の雇用者が今まで以上に親密に取り組むことの重要性が増しているとしている。
英国大学協会(UUK:Universities UK)の会長であるAlistair Jarvis氏は、政策決定者はよりよい地域の絆を発展させる方法を模索すべきだとした。また、彼は「この報告書は、国中のカレッジや大学が、雇用者の求める課程を提供するために知見や資源を共有していることを示している。これは、カレッジや大学が孤立した状態で動いているという見解とは異なるものだ。継続教育と高等教育の対立についての議論がされるべきではない。政府、ファンドの提供側、規制当局は、ありもしない分断にではなく、地域での力強い連携を築くことに重点を置くべきだ。」と述べている。


UUK:Pitting universities against colleges won’t deliver skilled workforce

 

(10)EU離脱に対する大学の二重国籍計画

10月10日、BBC Newsは、英国のトップ大学がドイツの大学と提携し、英国の学者のためにEUの研究資金と繋がりを保つ目的で、英国とドイツの機関の両方が共同して職員を雇用するという、EU離脱後の「ユニーク」な協定について報道した。
BBCによれば、インペリアルカレッジロンドンはミュンヘン工科大学との提携協定に調印をした。この提携協定は、英国とドイツの大学で共同で雇用され共有されるアカデミックポストを設けるもので、これらの教員はいわば学問的な二重国籍となる。
両大学とも科学技術に特化しており、この共同研究はコンピュータ科学、医療科学、生体工学、物理、航空宇宙といった分野のものになる予定とのことである。
このことの意図は、「共有された」学者が、ドイツと英国どちらの出身でも、またロンドンとミュンヘンのどちらに拠点があっても、ミュンヘン工科大学を通じて引き続きEUの研究プロジェクトに参加可能になることであると報じられている。


BBC:University 'dual nationality' plan for Brexit

 

(11)AIによる学習障害への支援方法の予測

10月1日、メディカルリサーチカウンシル(MRC:Medical Research Council)は、学習に困難を抱える子供たち数百人分のデータをAIに学習させることで、これまでの診断方法では合わなかった学習の困難さの解明に成功したと発表した。
MRCによれば、ケンブリッジ大学のMRC認知・脳科学研究チームの研究者グループは、最善の形での支援を特定するために子供たちが認知能力の詳細な評価を受けねばならない必要性がこのことによって強まる、と述べている。
学術誌「発達科学」(Developmental Science)で発表されたこの研究は、学習に困難があることから病院に通っていた550人の子供たちを対象にしたもの。
研究者グループは、学習障害に関する従来の研究は既に特定の症状(ADHD、自閉症スペクトラム障害、難読症)として診断されている子供たちを対象としていたと述べた。MRCによれば、学習障害を持つ全ての子供たちを診断結果にかかわらず取り入れることで、本研究は彼らが抱える困難さの幅を、診断の分野を越えて、また分野の中で、よりよく捉えることができたとされている。


MRC:Scientists use AI to develop better predictions of why children struggle at school






2018年9月英国高等教育及び学術情報

2018年9月20日

(1)大学質保証機関、大学における非違行為への対策を呼び掛け 
(2)英国を先導する研究機関で職員へのハラスメント 
(3)UKリサーチ・イノベーションと学生局が協力協定に署名 
(4)学生局が教育・学生成果評価の分野別実施試行校を募集 
(5)新しい就労ビザ制度の提案と出国チェック 
(6)学生の自殺防止に関する大学のための手引書 
(7)政府による高等教育制度の見直しと大学界の期待 
(8)UKリサーチ・イノベーションが新しいメンタルヘルスのネットワークを立ち上げ

 

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2018年8月英国高等教育及び学術情報

2018年8月20日

(1)英国のEU離脱に関する報告書

(2)英国への留学生の流動性について

(3)英国高等教育事業者の学生局への登録

(4)イングランド、ウェールズ、北アイルランドで無条件合格数の増加

(5)2018年全国学生満足度調査(NSS)の結果

(6)研究開発プログラムの記録的な投資についての報告書の発表

(7)英国の繁栄は全ての年齢層のより多くの人が大学で学ぶことにかかっている

(8)2018年のAレベル試験結果発表-若者の記録的な大学進学率

 

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2018年7月英国高等教育及び学術情報

2018年7月20日

(1)ステファン・ホーキング教授を記念して、傑出した学生のための新しい奨学金制度が発足

(2)イングランドとウェールズで高等教育を受けている学生の自殺数の推計

(3)大学担当大臣、大学比較のためのデジタルツール開発を公開募集

(4)学生のメンタルヘルスに関して発表された新しい施策パッケージ

(5)イングランドにおけるEU離脱後のEU学生の授業料等の発表(2019/2020学事年度)

(6)リサーチ・イングランドの資本計画が英国の大学での研究に17億3千万ポンドの共同投資を誘引している

(7)渡英しようとする海外研究者のための新しいビザ制度

(8)大学入試での背景要因データの活用

(9)研究者不正の監視強化に向けた動き

(10)2018年6月締め切りの大学進学希望者数発表

 

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2018年6月英国高等教育及び学術情報

2018年6月20日

(1) 不十分な学生への心のケア― NHSと大学トップが改善への合意 

(2) 修士課程への進学が増加

(3) 科学と最新の産業戦略に関するメイ首相の演説

(4) オックスブリッジの学生は厳しい努力をし、大学に満足しているが、講義内容は独創性に欠ける?

(5) 学生数の増加は入学生の質の低下には繋がらない

(6) 英国の留学生政策の見直しの可能性

(7) 政府系機関による相互通信自動走行車両(CAV)の試験助成金募集開始

(8) 学長報酬の高騰問題に対する大学界の対応

(9) QS世界大学ランキング2019の公表

(10) 学費に値する価値の転換点-2018年学生学術経験調査

(11) 2018年教育評価の結果発表

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2018年5月英国高等教育及び学術情報

2018年5月18日

(1)UKリサーチ・イノベーション、地球規模課題研究基金の9人のリーダーを任命

(2)リサーチ・イングランド、リアルタイムでのREFの評価を開始

(3)リサーチ・イングランド、2018/2019学事年度で大学に20億ポンド投資発表

(4)インフレに伴い学生ローンの金利上昇

(5)Complete University Guide 2019年の英国大学ランキング発表

(6) 英国政府の技術部門、AI産業を百万ポンド単位の投資で支援

(7)学生局が戦略と事業計画を発表

(8)BBC調査:人気ユーチューバー、(論文)宿題代行の宣伝で金を受け取る

(9)EU予算 ― Brexit後初の複数年度予算案

(10)大学・科学担当大臣、言論の自由サミットを主催

(11)英国が新たに、プラスチックの海洋汚染に取り組む研究・技術革新の中枢を立ち上げ

(12)学生局はイングランドの高等教育に2018-19年度15億ポンドを配分


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2018年4月英国高等教育及び学術情報

2018年4月20日

(1) 2030年までに高等教育機関は現在より30万人増の定員確保する必要がある

(2) パートタイム学生の減少

(3) 長期的教育成果の結果 2015/2016学事年度

(4) Advance HEの設立

(5) 18歳以降の高等教育と資金の見直し— 根拠にに基づく情報提供

(6) EU離脱最終離脱交渉に向けて英国大学側からの要求を提示

(7) 英国質保証常任委員会が新しい品質コードを発表

(8) UKリサーチ・イノベーション正式な活動開始

(9) 学生局の課題の優先順位

(10) 逆さまなランキング― 大学進学機会の指標

(11) イングランド高等教育機関の資金決定

(12) 60万人の卒業生が経済的に画期的な恩恵を受ける


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2018年3月英国高等教育及び学術情報

2018年3月20日

(1) 英国大学長の95%が自身の給与委員会に出席可能

(2) 首相が18歳以降の教育の見直し着手を発表

(3) 大学担当大臣、学生局成立のスピーチ 

(4) 産業戦略チャレンジ基金へのプロジェクト提案募集開始

(5) QS大学学部別ランキング2018

(6) ホライゾン2020への英国の対応

(7) 高等教育中退率の報告

(8) 政府が高齢化社会研究に£3億投資

(9) 学科別の評価

(10) 学生の学費に対する意識調査結果


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2018年2月英国高等教育及び学術情報

2018年2月21日

(1) UKRI議長にジョン・キングマン氏
(2) EU離脱後、英国大学もEUファンドにアクセス可能に
(3) ビジネス・エネルギー、産業戦略大臣、フランスと研究開発分野での緊密な連携について協議
(4) TEF3 の審査委員発表、評価作業の開始
(5) UKRIが研究とイノベーションのインフラに関するロードマップを作成
(6) 新時代に必要な技能習得を目標とした新課程開発のため、政府は大学等に£6,100,000を配分 
(7) メイ首相、ダボス会議にてプログラミングのコンソーシアム(Institute of Coding)設立に£2千万の投資を発表

(8) 高等教育志願者18歳の上昇
(9) 科学担当大臣、EUの研究担当大臣たちと科学・研究イノベーション分野での共同研究の促進について約束
(10) Times Higher Education  アジアランキング2018—被引用論文により、最新のアジアランキングで中国が急増
(11) イングランド高等教育財政会議(HEFCE)が専門課程別就職率をみる全く新しい指標を紹介
(12) 英国高等教育の研究活動に関する調査(Facts and Figures)


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