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UK HE Information

2019年4月英国高等教育及び学術情報

2019年6月05日

(1)国際教育戦略:世界的な可能性と成長

 2019年3月16日、教育省(Department for Education: DfE)と 国際産業省(Department of International Trade :DfIT)は新しい国際教育戦略を発表した。

 この戦略は以下の政府の目的を掲げている:

  • 2030年までに教育輸出額を年間350億ポンドに増加。
  • 英国での高等教育を受けることを選ぶ各年度の留学生総数を2030年までに60万人に増加。

 この戦略は、教育機関との協議を通して開発された5つの分野横断的な戦略アクションを示す。

 国際教育を率先する熱意あるリーダーを指名する。

  1. 英国教育の幅と多様性を奨励するEducation is GREAT*のキャンペーンがさらに十分に国際的な聴衆に広まることを確実にする。
  2. 引き続き留学生を歓迎する環境を提供し、より競争力のある提案を開発していく。
  3. その分野への内閣が関与するための枠組みと、国内外の政府部門を調整するための公式化された構造を実施することにより、政府全体での取り組みを確立する。
  4. 年次で発行されている英国の教育輸出データの正確性と対象範囲を改善することによって、より明確な輸出活動を提供する。

 これらの活動は、教育部門の様々な部分でのそれぞれのニーズと課題を目標とした、より具体的な活動によって支えられており、英国が幼児教育から高等教育まで、教育分野における世界市場シェアを築けるよう支援することを目的としている。

*Great Britain Campaignの一環で英国の観光やビジネスの機会を最大化することを目的に、英国のもつさまざまな可能性を全世界で紹介することで政府や各機関が提携して行なっているキャンペーンで2012年から行なっている。 

 International Education Strategy : global potential, global growth

 

(2)英国大学を卒業し、英国で就業している留学生の貢献度

 2019年3月21日、ロンドンエコノミック(英国の経営コンサルタント会社)の委託を受け高等教育政策研究所(Higher Education Policy Institute :HEPI)とKaplan(米国に本拠を置く国際的な教育企業)が、英国の大学を卒業し英国で就職した留学生の経済的貢献度を発表した。

 大学卒業後の留学生からの英国税収が示すのは、大学を卒業したあと英国に働くために留まった留学生集団からの税金と国民保険料は総額32億ポンドということである。

その内訳は:

  • 所得税として10億ポンド以上
  • 被雇用者の国民保険料として7億ポンド以上
  • 雇用者の国民保険として8億ポンド以上
  • 追加付加価値税としておよそ6億ポンド

 英国で就業しているEU諸国出身の卒業生は12億ポンド貢献しており、その他の国からの貢献度は20億ポンドであった。

 さらに分析では留学卒業生は英国の深刻な技能不足で打撃を受けている分野に雇用されていることを示して おり、英国人卒業生を置き換えているのではなく技能不足を補っていることも示している。

 また報告書では2012年の内務省による卒業後の就業権利制限の影響に関しても評価している。この制限は財務省に毎年1億5千ポンドもの費用をかけさせている。これは5年ごとに7億5千ポンドもしくは2012年に初めて卒業後就業の制限された時以降10億ポンド以上支払っていることになる。

 HEPIのディレクター、Nick Hillman氏 は以下のように述べている。

 「大学は、高等教育における政府の最大の過ちが、留学生が英国に来るのをやめさせようとしていることだと確信している。好ましくない状況がこの10年間近く続いている。留学生の数が減っていないことは、高等教育部門の強みを証明するものであるが、他国の成長ペースに追いついていけないことは極めて深刻である。

 内務省は留学生が英国に利益をもたらすことを示す十分な証拠は無いとかつて述べていた。留学生が年間200億ポンドを寄付したことを示し、我々は昨年そのことが誤りであることを証明した。しかし、その後も、移民諮問委員会は英国で働く留学生が積極的な貢献をしていることを示す証拠がいまだ不足していると主張している。

 我々は、今その主張にも反論できる。英国で働く留学生のわずか1集団が30億ポンドを英国財政局に寄付しており、そしてその額は、政策決定者が2012年に研究後の労働権を制限しなければ、さらに増えていただろう。新たな方法がすでにタイミングを逸していることを、これらの厳しい証拠が示している。

 Kaplanの上級副社長、Linda Cowan氏は以下のように述べている。

 「留学生に対する研究後の労働権の制限は、学生をイギリスに惹きつける努力を妨げ、他国よりも留学生数の成長が緩やかにしている。政府白書における、最低賃金額を30,000ポンドにする提案は、疑いなく我々を競争的でないようにしている。このことは、英国が長期間得てきた重要な、経済的、教育、ソフト面での大きな損失をもたらす。

 我々は留学生が英国経済に貢献してきたいくつかの方法のうちのひとつが技能不足を補うことによるものである証拠を有している。彼らの高い英語力と優れた学業成績を考えると、我々は留学生が英国に留まり働くよう促すべく可能なことは全て実行すべきである。そのためには、我々は全ての留学生のため、魅力的で競争的な研究後の就業権を元通りにする必要がある。我々は、移民諮問委員会の勧告や、政府が最近発行した、英国を他国よりも遅れることにするであろう国際教育戦略よりも先を行かなければならない。

1ポンド≒145.22円(2019年3月22日)

HE Provider Date : Finance – new open data release

(3)2016/2017学事年度LEO発表

 2019年3月28日、教育省(Department of Education :DfE)は2016/2017学事年度長期的教育成果(Longitudinal education outcomes :LEO)を発表した。これは高等教育の卒業生の雇用と収入を学位分野と卒業生の特徴による結果である。

 翌日2019年3月29日、ガーディアン紙は上記発表を受けて、以下のとおり報道した。3年連続で男女の賃金格差が拡大しており、学生の将来の収入は家庭環境、出身学校が強く関連している。2014/2015財政年度では年収の中央値の格差が2900ポンドで、卒業5年後の男性の平均年収は27000ポンド、女性は24100ポンドであった。翌年はその格差が広がり3300ポンドとなり、さらに2016/2017財政年度では3600ポンドで、男性の収入の伸びは女性の倍となっている。

 またデータは卒業後10年間いずれの年においても男性は女性より高収入を得ていることを示している。男性は1年後8%、5年後は15%、10年後は31%高い収入を得ている。

 この格差の原因の一部は女性のパートタイム勤務、大学に留まるという要因によるものである。また、少ない率ではあるが男性で学校を卒業してしばらく経ってから大学に進学したものは平均賃金が上昇している。

 収入では前の結果同様に経済学、医学、歯学は高収入を得、人文学、クリエイティブアーツ、デザインは低収入であった。

1ポンド≒ 144.28円(2019年3月28日)

Graduate outcomes (LEO): outcomes in 2016 to 2017 (Department of Education)

Graduate gender pay gap is widening, official figures reveal (Guardian)

 (4)高等教育機関データ:ビジネスと地域の相互関係 -オープンデータ公開

 2019年4月4日、高等教育統計局(Higher Education Statistics Agency :HESA)から高等機関と企業と地域の相互関係を知るための調査報告が発表された。高等教育ビジネスと地域間の相互関係(HE-BCI : HE Business and Community Interaction)の調査結果は、英国の大学が経済に関わっている程度や学術環境の外側での大学の事業の適用を示している。

 調査は高等教育機関に関連した分割、新規の会社の詳細も網羅している。2017/2018財政年度では、大学が所有する知的財産により分割会社が140件成立した。さらに高等教育機関の職員、卒業生によって4129件新規の会社が成立している。

 2017/2018学事年度では高等教育機関は1707件の特許が許可され、同学事年度、知的財産より2億700万ポンドの収益をあげた。

 この調査によって測定されたビジネスと地域の関与は共同研究(14億ポンド)、委託研究(13億ポンド)、コンサルタント(4億7100万ポンド)、施設、備品のレンタル(2億2800万ポンド)技術者継続教育(Continuing Professional Development :CPD)と継続教育(6億9800万ポンド)や再生開発プログラム(2億2400万ポンド)を含んでいる。

 また調査は高等教育機関の社会、地域、文化関与も対象で、学事年度中に実施した2500万人以上が参加を記録した、無料講義、パフォーマンス、展示会も評価の対象となった。

これらのデータは全て公開対象となっている。

1ポンド≒146.00円(2019年4月4日)

HE Provider Data : Business and Community Interaction – open data release

 (5)どのぐらいデータは安全か?高等教育のサイバーセキュリティー

 2019年4月4日、独立系シンクタンクである高等教育政策研究所(Higher Education Policy Institute:HEPI )とJisc(英国の高等教育機関にデジタルサービスを提供する非営利団体)が共同で高等教育機関のサイバーセキュリティーに関して報告書を発表した。

主な内容:

・侵入テストを行なったところ、2時間以内に高等教育機関の高価値データへのアクセスした実績が100%であった。

・2018年、173の高等教育機関はJISCのコンピュータセキュリティインシデント対応チーム(Computer Security Incident Response Team :CSIRT)と関与し(12%の上昇)

・また2018年の間に241の英国教育機関及び研究機関でDDos攻撃( Distributed Denial of Service Attack : 分散型サービス妨害攻撃)が1000回以上検出された。

 この報告書は、関連領域を強調し、サイバー攻撃の原因を特定し、「サイバーリスクと回復に関する英国の基準」に含まれる、大学がこの問題に取り組むべき特別な行動を提案する。

 Jiscのセキュリティセンター所長であり、この報告書の著者であるJohn Chapman博士は以下のとおり述べている。

 「サイバー攻撃はますます巧妙化し、広がりを見せており、大学はこの絶えず進化する脅威に立ち止まっているわけにはいかない。

 高等教育機関の大多数がこの問題を深刻に受け止めているが、我々はイギリスの全大学がサイバーセキュリティに関する十分な知識、技術、設備を有しているとは考えていない。

 壊滅的なデータ漏洩やネットワークの機能停止を避けるためには、全大学の学長が強固な防御を構築するために取るべき行動を知っておくことが重要である。」

高等教育政策研究所所長のNick Hillman氏は以下のとおり述べている。

 「大学は貴重な研究、将来の発明、大学のスタッフや学生に関するデータを大量に保有しているが、そのうちの一部は適切に保護されていない。

 大学の二つの大きな役割は、教育することと研究することである。学生は、かつては個人情報を用いて教育や学習を修正してきた。しかし、このようなサポートは不安定で、実際のデータ漏洩からは逃れられないだろう。一方、将来の英国の経済成長は大学の研究に大きく依存するだろう。このままでは、未来の悪質ないくつかの海外政府が、アクセスしたくなる、かつアクセスが容易な価値ある情報を提供することになる。

 課題があるにもかかわらず、サイバーセキュリティは、トップからのリーダーシップが発揮される時に特に、我々がいかに改善するか熟知している領域なのである。大学経営者や理事、役員達は新たな英国企画のサイバーセキュリティ、レジレンスを通じてサイバーセキュリティの問題に対処する必要がある。一方で、規制する側は学生とスタッフの安全を保つための最低限度のサイバーセキュリティとネットワーク要件を検討する必要がある。」

Jiscの長であり、グリニッジ大学学長であるDavid Maguire氏は以下のとおり述べている。

 「大学は、管理業務、財務、教育、研究にいたるまで、ほぼ全ての役割を実行するため、コネクティビティに極めて依存している。これらの活動は膨大な量のデータを生み出す。このことは、機関に大きな負担をかけることになるが、機関はオンラインシステムの安全性と機関内に保有されているデータの安全性を保証しなければならない。

 強固なサイバーセキュリティ政策を策定することは、データ保護のみならず、大学の評判を維持するためにも不可欠である。この報告書は、高等教育機関のリーダーたちの業務の重要な側面に注意を惹く手助けとなる。

 How safe is our data? New report in cyber security in higher education (Jisc)

HEPIの報告書

Universities’ data can be obtained by hackers in under two hours : HEPI/Jisc call for urgent action






2019年3月英国高等教育及び学術情報

2019年5月15日

(1)英国大学協会、合意なきEU離脱に備えて海外での学びを保護するキャンペーンを開始

(2)主要な高等教育従事者を守るため、ビザ申請の給与要件引き下げの呼び掛け

(3)地元での役割を再確認するため30以上の大学が新しい“市民大学協定”にサイン 

(4)政府は分野別教育・学生成果評価の再考を迫られている

(5)クリエイティブアーツの 学位は工学の学位よりも納税者への負担が30%多い

(6)教育大臣が大学の退学率に警告

 

 

 


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2019年2月英国高等教育及び学術情報

2019年2月20日

(1)裕福な学生の方が学費の前払いで得ができるという批判

(2)教育産業の英国経済への貢献度

(3)英国のトップ大学がEU離脱に備えヨーロッパの大学と協定を調印

(4)2021年実施分の研究評価制度の手引きが発表

(5)オープンアクセスに関する2つの提言が発表

(6)大学入学願書(1月締切分)の結果


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2019年1月英国高等教育及び学術情報

2019年1月21日

(1)大学学長等が合意なきEU離脱に対し警告

(2)新大学担当大臣、大学研究の経済的重要さを強調

(3)EUからの学生数が減少

(4)シンクタンク報告:学位による収入増加は学生ローンでの多額の借金に見合うのか

(5)リサーチ・イングランドが知識交換評価制度の協議を開始

(6)変性疾患や難病に対処する新しい日英間研究協力

 


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2018年12月英国高等教育及び学術情報

2018年12月20日

(1)政府は2年学位課程で学生の選択肢を広げる

(2)リサーチ・イングランドが知識交換評価制度の協議に先立ち文書を公開

(3)キャリア早期段階の収入への学士号の影響

(4) Tレベル制度への資金配布についての協議が開始

(5)大学が成績のかさ上げへの対策に向け前進

(6)大学・科学担当大臣が辞職、政府のEU離脱協定案に抗議

(7)MadeAtUni:大学での発見トップ100

(8)オックスブリッジ入学者の多い8つの学校:イングランドの学校の4分の3の学校からの入学者数と同数

 

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2018年11月英国高等教育及び学術情報

2018年11月20日

(1)学費値下がり、しかし理系は値上がり?

(2)大学は学費に見合う価値のあるところであるべき

(3)調査報告書:英国における留学生の持続可能な未来

(4)英国大学協会とドイツ大学学長会議の共同声明 ― 学術的提携を続けることの重要性

(5)シンクタンクによるサンドウィッチイヤー中の学費の妥当性の調査

(6)英国のクリエイティブ産業の強化のため主要な新規研究に投資

  

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2018年10月英国高等教育及び学術情報

2018年10月22日

(1)留学生のもたらす影響についての移民諮問委員会の報告

(2)移民制度に関する移民諮問委員会(MAC)の調査結果発表

(3)2018年版高等教育のパターンと傾向の発表

(4)Times Higher Education世界大学ランキング2019の発表

(5)ホライズン2020による研究資金を継続させるための動き

(6)英国における人的資本の2004年から2017年の推移

(7)2016/2017学事年度の英国トランスナショナル高等教育

(8)新しい材料イノベーションファクトリーの開設

(9)需要に伴う技術の育成の事例

(10)EU離脱に対する大学の二重国籍計画

(11)AIによる学習障害への支援方法の予測

 

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2018年9月英国高等教育及び学術情報

2018年9月20日

(1)大学質保証機関、大学における非違行為への対策を呼び掛け 
(2)英国を先導する研究機関で職員へのハラスメント 
(3)UKリサーチ・イノベーションと学生局が協力協定に署名 
(4)学生局が教育・学生成果評価の分野別実施試行校を募集 
(5)新しい就労ビザ制度の提案と出国チェック 
(6)学生の自殺防止に関する大学のための手引書 
(7)政府による高等教育制度の見直しと大学界の期待 
(8)UKリサーチ・イノベーションが新しいメンタルヘルスのネットワークを立ち上げ

 

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2018年8月英国高等教育及び学術情報

2018年8月20日

(1)英国のEU離脱に関する報告書

(2)英国への留学生の流動性について

(3)英国高等教育事業者の学生局への登録

(4)イングランド、ウェールズ、北アイルランドで無条件合格数の増加

(5)2018年全国学生満足度調査(NSS)の結果

(6)研究開発プログラムの記録的な投資についての報告書の発表

(7)英国の繁栄は全ての年齢層のより多くの人が大学で学ぶことにかかっている

(8)2018年のAレベル試験結果発表-若者の記録的な大学進学率

 

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2018年7月英国高等教育及び学術情報

2018年7月20日

(1)ステファン・ホーキング教授を記念して、傑出した学生のための新しい奨学金制度が発足

(2)イングランドとウェールズで高等教育を受けている学生の自殺数の推計

(3)大学担当大臣、大学比較のためのデジタルツール開発を公開募集

(4)学生のメンタルヘルスに関して発表された新しい施策パッケージ

(5)イングランドにおけるEU離脱後のEU学生の授業料等の発表(2019/2020学事年度)

(6)リサーチ・イングランドの資本計画が英国の大学での研究に17億3千万ポンドの共同投資を誘引している

(7)渡英しようとする海外研究者のための新しいビザ制度

(8)大学入試での背景要因データの活用

(9)研究者不正の監視強化に向けた動き

(10)2018年6月締め切りの大学進学希望者数発表

 

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