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UK HE Information

2018年6月英国高等教育及び学術情報

2018年6月20日

(1) 不十分な学生への心のケア― NHSと大学トップが改善への合意 

(2) 修士課程への進学が増加

(3) 科学と最新の産業戦略に関するメイ首相の演説

(4) オックスブリッジの学生は厳しい努力をし、大学に満足しているが、講義内容は独創性に欠ける?

(5) 学生数の増加は入学生の質の低下には繋がらない

(6) 英国の留学生政策の見直しの可能性

(7) 政府系機関による相互通信自動走行車両(CAV)の試験助成金募集開始

(8) 学長報酬の高騰問題に対する大学界の対応

(9) QS世界大学ランキング2019の公表

(10) 学費に値する価値の転換点-2018年学生学術経験調査

(11) 2018年教育評価の結果発表

記事の詳細は「続きを読む」からお読みいただけます。

(1) 不十分な学生への心のケア― NHSと大学トップが改善への合意

 5月11日、英国大学協会(UUK:Universities UK)は国民医療サービス(NHS:National Health Service)とともに学生のための心のケアを改善することを発表した。

 同協会の学生心のケアサービス担当グループは、NHSと大学との間で協力体制を改善し、すべての学生が必要なケアを受けられるようにするため、“Minding our Future(将来を考えて)”という新しい手引きを公表した。

 英国では現在、学校を出た学生のほぼ半分が大学に進学している。すべての精神疾患の75%が24歳までに発症するため、この時期は若者にとって精神的にもろい時期と考えられる。公共政策研究所(IPPR: Institute for Public Policy Research:シンクタンク)の5年間にわたる研究では、94%の大学で心のケアのサービスを利用とする人が急増しており、中には3倍増になっている大学があることがわかった。また、国家統計局(ONS:Office for National Statistics)からも、2006年から2016年にかけてイングランド及びウェールズのフルタイムの学生の自殺の増加が報告されている。

 学生が成長するにつれ、彼らは高等教育への挑戦、独立した生活、新しい交友関係の構築などを始める。同時に、長期休暇により大学と家の往復を余儀なくされるため、(それにより継続的な心のケアとサポートが不可能になる場合があり、)最も精神的にもろくなっている時期に医療システムからこぼれ落ちている可能性がある。学生に対する心のケアはこのような過渡期の状況を理解し、学生のケアに関してまとまっていくことが必要となる。主な難点は、学生が初めて実家を離れるときに健康情報まで同時に携えてくることがめったにないことである。

 “地元拠点”という、地元学生のニーズに応じることを含んだ取り組みが、NHS並びに地方自治体、学校、中小企業及び第3セクターと提携して活動する大学とともに、すでにマンチェスター、ブリストル、北ロンドンで行われている。

http://www.universitiesuk.ac.uk/news/Pages/mental-health-care-is-letting-down-students-agree-NHS-and-university-leaders.aspx

 

(2) 修士課程への進学が増加

 5月18日、学生局(OfS:Office for Students)は大学院進学のための修士課程向けローンを導入して以来、修士課程への進学者数が増加しているというデータを発表した。

 2016年に政府が導入した修士課程向けローンでは、学生の学費や生活費のために最大10000ポンドの借り入れが可能となっている。修士相当の課程で学ぶ入学者の数には、2015/2016学事年度から2016/2017学事年度にかけて、73880人から96465人と、22000人もの大きな増加があった。

 このことに伴う増加は、以下の学生グループで最も大きかった:

  • 大学進学率の低い地域の学生
  • 黒人学生
  • 障害を申告している学生
  • 25歳以下の学生

 2015/2016学事年度で大学卒業資格を得た者について、卒業の際にその後の希望の調査が行われている。これにより、どの学生グループが大学院進学を希望していなかったかや、何が進学を妨げていたかを突き止めることができた。

 大学院で学ぶという希望を最も実現することができたのは、進学率の低い地域の学生と黒人学生であった。これらのグループについては、かねてから経済的な問題が勉学を続ける上での重大な障壁であるとされている。

https://www.officeforstudents.org.uk/news-blog-and-events/news-and-blog/more-students-taking-up-postgraduate-masters-degrees/

1ポンド≒150円(2018年5月18日)

 

(3) 科学と最新の産業戦略に関するメイ首相の演説

 5月21日、メイ首相は科学及び最新の産業戦略に関する演説を行った。

  演説の中では、

・科学と研究への投資によって英国を新しい技術の最先端に留めおき、新しい技術がもたらす利益を享受することができること

・より傑出した学校や世界を先導する大学、英国経済を動かす技術的な能力を通じて将来の才能を育むこと

・ロンドンや南東部だけでなく国中で、ビジネスを支えてインフラを建設することで、アイディアと閃きが生まれる場所である、人々の住む場所や働く場所の形を変えていくこと

 等が述べられたほか、最新の産業戦略では科学・研究・技術革新への公的予算について過去40年で最大の増となる7億ポンドが増額されること、政府として2027年までに研究開発投資の目標額をGDPの2.4%(約80億ポンドとなる見通し)とすること等に触れつつ、科学技術が産業戦略の核心であることが強調された。

 また、同演説では、英国のEU離脱が科学にもたらす影響への懸念について、英国居住の科学者の半数以上が海外出身だが、離脱後もこの状況は変わらないことを保証するとしつつ、EUの科学・技術革新計画とも全面的に提携してゆくと表明し、応分の財政拠出の代わりにふさわしい影響力を維持すると述べている。

https://www.gov.uk/government/speeches/pm-speech-on-science-and-modern-industrial-strategy-21-may-2018

(参考:同演説に関するBBCの報道)

https://www.bbc.co.uk/news/science-environment-44202312

 

 この演説を受け、英国大学協会(UUK :Universities UK)は、同演説の内容を肯定的なものと捉えつつも、英国の大学が質の高い留学生や能力のある教職員を引き付けられるような新しい移民政策の必要性を指摘するコメントを発表。

https://www.universitiesuk.ac.uk/news/Pages/Prime-Minister-calls-for-‘option’-to-associate-to-next-EU-research-programme.aspx

 

 ラッセルグループ※も同演説の内容を喜ばしいものとしつつ、高等教育界の視線は夏までに公表するとされている移民白書の内容に注がれているとするコメントを発表した。

https://www.russellgroup.ac.uk/news/prime-ministers-speech/

1ポンド≒149円(2018年5月21日)

 

※ラッセルグループは、英国国内で最高水準の研究レベルを持つ24大学で構成される団体。

 

(4) オックスブリッジの学生は厳しい努力をし、大学に満足しているが、講義内容は独創性に欠ける?

 5月24日、高等教育政策研究所(HEPI: Higher Education Policy Institute)はケンブリッジ大学及びオックスフォード大学の学生の経験に関する報告書を発表した。この調査では、他のラッセルグループ(RG:Russell Group)※所属大学や、英国の全ての大学での学生の経験との間にどのような違いがあるかが示されている。

 この報告書は2012年から2017年までに集められたHEPI/HEA学生学術経験調査のデータに基づいている。オックスブリッジ学生※※1625名の回答がRGの学生(オックスフォード及びケンブリッジ を除く)18354人の回答やそれ以外の英国の学部生60221人の回答と比較されている。

主な結果:

  • オックスブリッジ学生では59%が自分たちの課程に“非常に満足”しており、それに対して他のRG学生では31%であった。
  • オックスブリッジ学生では77%が、しかし他のRG学生では46%が、払った学費に対し自分たちの課程が “良い”もしくは“とても良い”価値を提供していると考えている。
  • オックスブリッジ学生は学期中週平均で43時間勉強をしており、これは他のRGや全大学生に比べて12時間以上多いことになる。
  • オックスブリッジ学生では96%が、RG学生では36%が1週間に最低1時間、自分以外の学生が0から5人の講義に出席している。
  • 他のRG学生では59%が、一週間に最低1回、100人以上が参加する講義に出席している。これに対しオックスブリッジ及び全体では42%であった。
  • オックスブリッジ学生では82%が、しかし他のRG学生では13%が、1週間以内にフィードバックを受けている。
  • それ以外の大学学生の52%が、講師が独自のまたは創造的な教授法を用いていることについて“多い”“かなり多い”と答えており、この値はオックスブリッジの41%、他のRGの45%より高い。

http://www.hepi.ac.uk/2018/05/24/oxbridge-students-work-harder-satisfied-get-better-value-money-students-less-creative-original-teaching/

※ラッセルグループとは、英国国内で最高水準の研究レベルを持つ24大学で構成される団体。

※※ケンブリッジとオックスフォードを合わせてこのように呼ばれる。

 

(5) 学生数の増加は入学生の質の低下には繋がらない

 6月4日、英国大学協会(UUK:Universities UK)は、昨年の学生が入学時点でUCASの試験結果表※による点数換算において平均340点相当の成績を得ており、2011年の平均313点相当を上回っているという分析結果を発表した。

 2017年、イングランドの高等教育機関における全日制の学部課程には、英国出身の39万人の学生が受け入れられており、この人数は10年間で10万人以上増加している。

 この分析(「大学入試における成長と選択」)では、BTECs※※のような職業資格も大学入試において広く評価されていることが示されている。

 UUK会長のAlistair Jarvis氏は、この分析は大学入試の性質が変化していることを示すものとし、以下のように述べている。

「大学システムの変革は、学生数の増加、それらの学生への選択肢の増加、そして大学間の競争の増加に繋がった。この分析では、大学の入学生が引き続き高い質を有し、職業資格により入学を認められた志願者があらゆる種類の大学で、増えていることが示されている。このことが、幅広い範囲と出自を持つ人々が大学教育の恩恵を受けることを可能としてきた。

 建築学や工学といった伝統的な学部課程から、サイバーセキュリティの訓練課程のようなより新しい課程へと、大学における職業教育に焦点を置いた課程の幅は大きくなってきている。実際に、10校に4校の大学の課程が何らかの点で職業教育的であるとみなすことができる。」

 

(注:英国では2014年から2016年にかけて、大学が入れることのできる学部学生数の上限が撤廃されている。)

https://www.universitiesuk.ac.uk/news/Pages/University-entrants-remain-highly-qualified.aspx

※英国のNGOである大学入試サービス(UCAS)が行っている試験の結果表。なお、UCASの試験は英国の大学の大半が利用している。

※※特定分野の職業に関する試験で、多数の段階・分野に分かれている。

 

(6) 英国の留学生政策の見直しの可能性

 6月4日、タイムズ・ハイヤーエデュケーション(THE:Times Higher Education)は、新しい内務大臣のSajid Javid氏が、英国に流入する移民の数を減少させる政府の活動に留学生を含めている現行の政策を見直したいと発言したとする記事を掲載した。

 THEによれば、同大臣はAmber Rudd前大臣の辞任にも繋がったキューバ移民の強制送還問題への対処が当面の最優先課題としたとされているが、同記事では留学生政策の見直しについて期待する大学組合(UCU :University and College Union)や英国大学協会(UUK:Universities UK)のコメントが紹介された。また、同じ記事では、高等教育政策研究所(HEPI:Higher Education Policy Institute)の理事長が、政府のMigration Advisory Committeeでの再検討によって留学生が移民数全体の目標から除かれるだろうという趣旨のコメントをしたことが報じられている。なお、THEは、本年9月に報告される予定のこの再検討では、英国での留学生の経済・社会的影響が注目されるだろうとした。

 (注:英国政府は近年の移民急増に対し、入国してくる移民の人数を一定以下とする数値目標を定めているが、留学生もこれに含まれているため、英国の大学界からは今後の学生獲得などについて懸念する声が強い)

https://www.timeshighereducation.com/news/sajid-javid-urged-change-uk-overseas-student-policy-urgently

 

(7) 政府系機関による相互通信自動走行車両(CAV)の試験助成金募集開始

 6月6日、政府系機関のCentre for Connected and Autonomous Vehiclesは、イノベーションUK及びMeridian Mobility※とともに、英国を世界で最も効率的に連結自動走行車両の開発を行える環境とするために3千万ポンドまでの資金を用意したと発表した。

 相互通信自動走行車両の試験を支援し開発を促進する助成金には2つのコンペがあり、中小企業及び研究機関による応募が可能となっている。

https://www.gov.uk/government/news/testing-connected-and-autonomous-vehicles-apply-for-funding

1ポンド≒147円(2018年6月6日)

 

※英国における相互通信自動走行車両の開発能力を高めるために政府や企業が設けた団体。会長のDaniel Ruiz博士はこの5月に来日し、公益社団法人自動車技術会の春期大会で自動走行車両関連のセッションで登壇していた。https://meridianmobility.tech/article/meridian-cav-trail-japan/

 

(8) 学長報酬の高騰問題に対する大学界の対

 6月6日、大学議長会議(CUC:Committee of University Chairs)は、学長の給与決定やシニアスタッフの報酬について、支給水準を適切なものとしつつ、より透明性の高い開かれた仕組みを設けることを示した、「高等教育機関のシニア職員の報酬に関する規約」(The Higher Education Senior Staff Remuneration Code)を公表した。

 CUCは、同規約は任意ではあるものの、採用しない大学も、同規約に示された原則に適合していることは何らかの方法で説明することを求められるだろうとしている。また、同規約は実際にどう機能したかを測るため、2019年に見直しをするとされている。

http://www.universitychairs.ac.uk/higher-education-remuneration-code-2/

 

 この規約については、昨年から大学学長に対する巨額の退職金及び年金が世論や大学教職員から問題視されていたこと※を踏まえ、CUCがまとめていたもの。

 政府の反応としては、学生局(OfS:Office for Students)が、CUCのコード発表を歓迎する趣旨の執行責任者の声明を発表した。声明では、学長が自らへの支給額を決定する会議に参加してはならないといったことを定めた同コードの内容を評価し、多すぎる報酬の抑制や大学指導者層の透明性の前進に向けた一歩だとしつつ、学長や大学執行部に対し、この問題について真のリーダーシップを発揮するよう求めている。

https://www.officeforstudents.org.uk/news-blog-and-events/news-and-blog/office-for-students-new-code-on-senior-pay-a-positive-step/

※当時、授業料の引き上げや年金支給額の引き下げ等と相まって大きな批判を浴びていた。

 

(9) QS世界大学ランキング2019の公表

 6月6日、クアクアレリ・シモンズ社(QS:Quacquarelli Symonds)がQS世界大学ランキング2019を発表した。(注:例年9月頃公表される、タイムズ・ハイヤーエデュケーション(THE:Times Higher Education)のランキングとは異なる)

 ランキングの上では昨年に引き続き、マサチューセッツ工科大学(米)が7年連続での1位となった。続いて2位がスタンフォード大学(米、昨年2位)、3位がハーバード大学(米、昨年3位)、4位がカリフォルニア工科大学(米、昨年4位)、5位がオックスフォード大学(英、昨年6位)となっている。上位10位は例年と同様に、7位のスイス連邦工科大学(スイス、昨年10位)を除き大半を英米の大学が占める形となった。

 アジア圏を見れば、11位にシンガポール国立大学(シンガポール、昨年12位)、12位にナンヤン技術大学(シンガポール、昨年11位)が入っているほか、中国の精華大学が躍進著しく、過去最高となる17位を占めている(昨年25位)。

 日本の大学については23位に東京大学(昨年28位)が入っており、2010年に同ランキングがTHEのランキングと分かれて以来の最高位を記録した。続いて35位に京都大学(昨年36位)、58位に東京工業大学(昨年56位)、67位に大阪大学(昨年63位)、77位に東北大学(昨年76位)が入っている。以下、300位までの結果では、111位に名古屋大学(昨年116位)、126位に九州大学(昨年128位)、128位に北海道大学(昨年122位)、198位に慶應義塾大学(昨年192位)、208位に早稲田大学(昨年203位)、260位に筑波大学(昨年250位)。

 

 なお、評価指標については以下の要素から構成されている(昨年から変更なし)。

・(学術界の)研究者による評判(40%)

・雇用者による評判(10%)

・学生一人当たりの教員数(20%)

・教員一人当たりの被引用論文数(20%)

・外国人教員比率(5%)

・留学生比率(5%)

 https://www.topuniversities.com/university-rankings/world-university-rankings/2019

 

(10) 学費に値する価値の転換点-2018年学生学術経験調査

 6月7日、Advance HEと高等教育政策研究所(HEPI:Higher Education Policy Institute)は2018年の学生学術経験調査(SAES:Student Academic Experience Survey)の結果を発表した。学生達の報告では、彼らの高等教育経験から得られる「学費に値する価値」の受け止め方について、統計的に明らかな改善が見られた。

 SAESは2006年に開始された定期的な調査で、学術経験及び自分たちに影響する政策的問題についての学生の意見を記録するものであり、14000人以上の学生が参加している。

 今年の調査では以下の点が明らかになっている:

・英国の学生の38%が、自分たちの課程から得られる価値は「良いか非常に良い」と受け止めている。これは昨年の調査より3%改善しており、また5年にわたる長期低落傾向を覆すもの。

・価値を「悪い」または「非常に悪い」と受け止めている学生は、昨年の34%から減少して32%となった。

・特に統計上明らかな点として、学生数の最大を占めるイングランド出身の学生に明確な改善が見られ、35%が「良い」または「非常に良い」と報告している。

・統計上明らかな改善とは言えないものの、スコットランド出身の学生は60%が「良い」または「非常に良い」と受け止めており、一方で、ウェールズや英国で学ぶEUからの学生は昨年同様、それぞれ48%と47%がそのような価値の受け止めをしていた。北アイルランド出身の学生については、十分に明らかとは言えないものの、価値の受け止めが下落した。

・教育評価(TEF:Teaching Excellence Framework)※で「金」を取得した大学の学生はより良い価値を受けていそうなものだが、この判断基準において「銀」や「銅」の大学の学生との間に目立つ差はなかった。

 

 なお、本調査に今年新しく追加された部分では、学生に、無作為に選ばれた要素の一覧から、価値の良し悪しについて考える時に主に何を念頭に置いているかを示すよう求めている。学費に値する「良い」または「非常に良い」価値を受け取っていると答えた学生の68%が教育の質を最も重要な要素だとみなしている一方、「悪い」または「非常に悪い」と考えた学生の62%が授業料を最も重要な要素として示していた。

http://www.hepi.ac.uk/2018/06/07/turning-corner-value-money-2018-hepi-advance-student-academic-experience-survey-highlights-students-belief-value-money-higher-education-improving/

 

 また、6月7日のBBCの報道によれば、本調査の発表に際し、Sam Gyimah大学・科学担当大臣は、卒業した学生の就職に将来性がない、十分な実力のない課程が一部にあると述べた。

 BBCによれば、大臣は、学費に値する良い価値を得ていると感じる学生が5人に2人未満でしかないということを示す本調査の発表に際し、大学に対し全ての科目の質を保証する努力をするよう強く迫った。また、急に膨張した一部の課程では十分な机や講義室がないという学生の不満があると述べて警告した。

(注:英国では2014年から2016年にかけて、大学が入れることのできる学部学生数の上限が撤廃されている。)

https://www.bbc.co.uk/news/education-44399444?intlink_from_url=https://www.bbc.co.uk/news/topics/c2rndvwvrdpt/sam-gyimah&link_location=live-reporting-story

 

※教育評価:大学等各高等教育機関の教育の実績を明確に示すため、2015年に導入が決定された評価制度。各機関における「教育の質」、「学習環境」、「学習の成果」に基づき、「金」、「銀」、「銅」の3種類の評価が与えられる。一度得た評価は3年間有効。

イングランド政府により任意参加で実施されている事業だが、イングランド以外の英国の大学も参加が可能。公的助成を受けているイングランドの大学がTEFを受けた場合、授業料の値上げが可能な仕組みとなっている。

 

(11) 2018年教育評価の結果発表

 6月6日、学生局(OfS:Office for Students)は2018年の教育評価(TEF:Teaching Excellence Framework)の結果を公表した。

 高等教育機関に、学生とともに教育の優秀さと学習の成果を突き止め、実施し、維持することを促すべく導入されたTEFは、研究評価の仕組みを補完しつつ、今年で2年目に入った。

 本年の評価を経て、「金」を得た高等教育機関は73、「銀」を得たのは134、「銅」を得たのは62であった。さらに、27の大学が「条件付」評価となっている。「条件付」を得た大学を除けば、「金」の割合は27%に改善し、銀が50%、銅が23%となった。

(注:「条件付」の評価は、データが十分でなく評価しきれなかった高等教育機関に対して出される)

https://www.officeforstudents.org.uk/news-blog-and-events/news-and-blog/2018-tef-awards-highlight-excellence-across-all-areas-of-the-higher-education-sector/

 

※教育評価:大学等各高等教育機関の教育の実績を明確に示すため、2015年に導入が決定された評価制度。各機関における「教育の質」、「学習環境」、「学習の成果」に基づき、「金」、「銀」、「銅」の3種類の評価が与えられる。一度得た評価は3年間有効。

イングランド政府により任意参加で実施されている事業だが、イングランド以外の英国の大学も参加が可能。公的助成を受けているイングランドの大学がTEFを受けた場合、授業料の値上げが可能な仕組みとなっている。