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UK HE Information

2019年8月英国高等教育及び学術情報

2020年3月18日

(1)  英国に優秀な学生を受け入れるための制度要望

 2019年7月17日、ラッセルグループは、英国大学協会(University UK:UUK)、大学等高等教育機関などからなる英国高等教育界の代表組織(GuildHE)、現代大学連合(*Million Plus)、大学同盟(*University Alliance)、英国留学生問題評議会(*UK Council for International Student Affairs:UKCISA)と協力し、学生ビザ制度を改善し留学生の数を増やすという公約を守るよう政府に要請したことを公表した。

 7月17日に政府に提出された文書において、ラッセルグループは改善されたビザ制度に対して5つの原則を設定し、改革を達成するために必要な行動を概説している。その原則には、ビザ制度の留学生の経歴について修正し、移民の保証人と内務省の管理負担を軽減し、入国管理システムの信頼性・透明性・説明責任を高める行動が含まれている。

 ラッセルグループの事務局長であるTim Bradshaw氏は次のように述べた。

「英国は高等教育における世界的リーダーであり、我々は、あらゆる国から英国に学びに来る、より多くの学生を引き付けることで、国としての国際的な影響力を増したいという野望がある。このことは、英国の経済と社会に大きな利点をもたらすが、我々はこの野望に一致する世界クラスの学生のためのビザシステムを必要とする。政府はそのシステムの非効率性に取り組み、学生の経験を再構築し、英国の名声を国際的に高めるための提案を作成する大きな機会を得ている。

 この権利を手に入れることは、EUと英国間での自由な往来が終了した後であっても内務省と大学が、学生ビザ数を増加について対応することを助ける。この報告書は、部門全体のこの問題に対する感情の強さを示しており、必要とされる改革への明確な統一的見解を強調している。我々は、英国の未来の入国管理システムが、学生や大学、そして経済に効果的支援をもたらす一つとして世界中に認められるよう、我々が奨励する行動について政府と協力するのが楽しみである。」

 *大学担当大臣Jo Johnson氏は以下述べた。

「英国は、もし留学生に対する提案を改善しなければ、国際的な高等教育マーケットにおいて世界的地位を失うことになる。この提案は、ブリーフィングの中で、英国を留学生にとってより魅力的な留学先であるために政府が支援できる多くの方法を示している。」

「不当に高額な学生ビザ取得における学生の負担を止めるための善意ある方法は、大学に不必要な負担をもたらすものではなく、聡明で優秀な学生が英国で学ぶことを妨げないものであることが不可欠である。」

A world-class student visa system to bring talent to the UK

【各国の学生ビザ取得費】(単位:ポンド)

英国

アメリカ

カナダ

フランス

ドイツ

オーストラリア

ニュージーランド

日本

費用

348

126

90

89

67

314

150

22

 

The Student Visa System: Principles to reform   (各国の学生ビザ料金)

 

*現代大学連合(Milliom Plus): 英国のModern Universities(1992年制定の高等教育法によって大学の地位を与えられた高等教育機関で、英国の学部学生の52%が在籍している)による組織。高等教育政策のために提言し、政策決定を支援するための研究を行い公開している。

http://www.millionplus.ac.uk/

 

*大学同盟(University Alliance): 英国の13の大学と、企業のリーダー等から成る組織。教育プログラムの開発、博士課程教育イニシアチブの運用等を実施している。

https://www.unialliance.ac.uk/

 

*英国留学生問題評議会(*UK Council for International Student Affairs:UKCISA):留学生と、留学生とともに働く人々を支援する英国の国立諮問機関。英国の全大学、高等教育機関、学生組合などで組織されている。留学生の活動に関する情報、トレーニング、ガイダンス、議論などを提供する。

https://ukcisa.org.uk/

 

*Jo Johnson大学担当大臣:この声明が発表された7月17日では大学担当大臣だったが、9月5日に辞任。

 

 (2) 大学入学方法に関する検討が進行中

 英国大学協会(Universities UK:UUK)は、2019年7月22日に’公正な入試の再検討’を公表した。これは、大学進学課程の再検討によって、大学進学課程の運営が公正で透明性があり、学生の最善の利益になるよう実施されていることが保証されるであろう。その内容は、

  • 大学入学制度がどのように機能しているか、大学進学課程と関連する主な課題を突き止め、*無条件許可(unconditional offer)や*社会的背景を考慮した許可(contextual offer)などを含む入学許可を出す方法の証拠を集める
  • 2004年に出された、高等教育での公平な入学許可に関する「*Schwartz principles」が現在も有効なのかどうかの評価を行う
  • 合格者選抜に関する最も良い方法を推奨し、大学入学制度が進学希望者の最善の利益になるよう機能し、急速に変化する18歳以降の教育環境の目的と合致することを保証する変更案を提案する。

 ’公正な入学許可の再検討’の諮問グループは、*大学入試サービス(Universities and Colleges Admissions Service :UCAS)、学校、学生、大学の代表者で構成される。グループの勧告は、2020年春までに、最良の入学許可方法として英国中に公表される。

 UUKのAlistair Jarvis会長は、以下のように述べた。

 「この再検討は、大学入学許可に関する証拠と最も良い方法を確立し、大学入学許可に関する議論を広く知らしめ、異なるタイプの入学許可制度が学生の最善の利益になるのか、全進学希望者に対して公正なのかを決める。大学は、入学許可について独自の決定をし続けるが、この再検討は入学許可制度に関する透明性、信頼性、世間からの理解をさらなるレベルに引き上げる。」

 また、UCASのClare Marchant会長は、以下のように述べた。

 「我々は、UUKによる大学入学許可制度に関する再検討を歓迎し、意味のある勧告を作成するプロジェクト諮問グループと働くのを楽しみにしている。入学許可における学生の最善の利益は、大学とカレッジに対する最高の配慮とならなければならない。」

 Queen Mary's Collegeの学長補佐で、UCASの中等教育諮問グループ議長であるBeth Linklaterは以下のように述べた。

 「大学の学部を選ぶことは、多くの若者が下す非常に大きな決断のひとつである。この再検討は、全ての進学希望者にとって正しい大学を見つけられるよう、大学入学許可制度をいかに修正すべきかを示す良い機会になる。」

 

【英国における大学入学制度について】

 イングランドでは、大学進学を目指す学生は義務教育修了後に2年間のSixth Form(シックス・フォーム)課程に進学する。大学進学の最低必須条件はGCSE(義務教育を修了するときに受験する全国統一試験)、GCE Aレベル(通称Aレベル)の結果とUCASへの登録である。出願から合否決定までの諸手続きは、学生ではなくUCASが行う。したがって、学生は各大学の入試試験を受験するのではなく、共通試験であるGCE  Aレベルを受験する。最高5つの異なる学部、大学、もしくは異なる5つの学部で同じ大学に志願することが出来る。受験科目は最低3科目である。希望進学校の基準に達し、大学からオファー(入学許可)がくれば入学が可能となる。Aレベル結果は通常8月中旬に発表され、発表は学校で、もしくはUCASのWebサイトからであれば成績とともに大学からの入学許可が出ているかも同時にわかる。

 

*無条件許可(unconditional offer):

英国の大学入学許可システムにおいて、大学側は出願者の所属する学校があらかじめ提出する「予測成績」に基づき、試験の前に合否判定を行う。この時に、志望する大学が指定する科目において基準に達している、面接を受けるなどの条件をクリアすれば合格を認められるのが「条件付き許可(conditional offer)」であるが、「予測成績」のみによって合格が決まるのが「無条件許可(unconditional offer)」である。本来は、①大学合格レベルに達している成人学生、②一芸に秀でた学生、③受験の過度のプレッシャーを和らげる必要のあるメンタルに問題を抱えた学生、を想定したシステムであったが、大学が入学定員を埋めるために乱発しているとの指摘もあり、また無条件許可によって入学した学生が、入学後に学力不足により大学の授業についていけないなどの問題も起きていることから、この方法を用いない大学も出てきている。

 

*学生の経済状況など特別な事情を考慮した許可(contextual offer):

 学生の経済状況、出身校、家庭環境等を考慮し、成績は合格に足りないが、将来的に高等教育において学力を伸ばす可能性があると考えられる学生に対して出される入学許可。米国の積極的格差是正措置(Affirmative Action)は人種的にマイノリティ的な立場にある学生を積極的に受け入れるものであり、経済的事情などに配慮するContextual offerとはその点で異なる。

 

*Schwartz principles:

 2004年に、当時ブルネル大学副学長であったSteven Schwartz氏が責任者として執筆した公正な大学入学許可に関する提言。提言には、公正な入学許可に必要な要素として、①透明性の確保、②高等教育機関のプログラムを完了できる学生を、高等教育機関が選択できるようなシステムであること、③学生の成果と可能性によって合否が判断されること、④信頼性が高く有効な評価方法が用いられること、⑤入学希望者の障壁を最小限に抑えるよう努めること、⑥適切な組織構造に支えられたプロセスが存在すること、が盛り込まれている。

 

*大学入試機関(Universities and Colleges Admissions Service :UCAS):

 英国の大学入試は、受験生が日本のように各大学に願書を提出するのではなく、一度UCASに願書を提出することになる。UCASは受験生から提出された願書を処理し、各大学に送付する一連のシステムを運営する機関。

 

Major review of university admissions underway

 

(3) 学生の入学に関する意識調査

 contextual offerは、数年間議論の対象となってきた。しかし学生局(Office for Students:OfS)は最近、「contextual offer入試に関する学生の意見については最小限の研究しか行われてこなかった」と不満を漏らしている。

 そして、2019年7月25日、高等教育政策研究所(Higher Education Policy Institute:HEPI)は、「学生はcontextual offerについてどのように考えているか」という学生の意見調査書を発行した。

 調査は1,000人を超える学生の意見を示している。

  • フルタイムの学部学生の4分の3(73%)は、もし学生が貧困地域で育った場合、試験でよい結果を得るのは難しいと考えている。そして、ラッセルグループ所属の学生からの賛成が一番多く、81%の学生がこの考えを信じている。
  • 多くの学生(72%)が、高等教育の入学許可制度は受験生の社会的背景を考慮すべきと考えている。
  • 約半数の学生(47%)が貧困地域出身者への低成績入学許可制度を支援すべきと考えているが、ほぼ同じだけの学生(45%)は反対している。そして、多くの入学困難な大学では、大多数(57%)が低成績入学許可制度を支援しており、反対しているのは36%だった。
  • 学生の少数(28%)は、contextual offerは、「私のような学生が大学に入るのを困難にする」と考えているが、大多数(53%)は賛同していない。
  • 3分の2の学生(65%)は、自分自身が所属する大学がcontextual offerを実施しているか知らず、16%の学生しか知らなかった。
  • 多くの学生(54%)は、大学が求めるレベルより低い成績で入学した学生は、大学の授業についていけると考えているが、38%の学生はそうは考えていない。

 

 HEPIのポリシーオフィサーでこの報告書の著者でもあるHugo Dale-Harris氏は以下のように述べた。

 「contextual offerは、社会的背景にかかわらず、学術的な潜在能力を持つ学生を選ぶために大学が有する最も有望な道具である。多くの学生が、教育的に不利な場合は良い成績を取るのが困難であることを認識しており、困難にもかかわらず大きな可能性を持つ人々を大学入学許可制度は認識してほしいと望むのは心強いことである。

 最も入学困難な大学に所属する学生が最も賛同したのは驚きであった。57%の学生が苦労している高等教育進学希望者に対する低成績入学許可制度を支持している。

 我々は、一般的に、より恵まれた環境出身の学生は、contextual offerに対して、より抵抗感を示すと考えていた。しかし、これらの結果は、多くの学生は教育上の不平等を認識し、大学に対してこれらに対処してほしいと考えていることを初めて示した。

 HEPIの所長で、この報告書の序文を書いたNick Hillmanは以下のように述べた。

 「家庭環境や経済状況に恵まれない環境の高等教育進学希望者に、通常の入試よりも合格レベルを下げて入学の機会を設けることは、大学が行う最も議論が巻き起こる事柄のひとつである。しかし、多くの人々が、個人的な社会的背景によって学校や大学での成績が良くないため、低成績入学許可には強固な根拠があると考えている。驚くべきことに、contextual offerについての論争や証拠にもかかわらず、我々は学生がこの入試についてどのように考えているか知らなかった。このことは当然、学生局(Office for Students:OfS)に関わることである。

 我々の調査結果は、contextual offerの背後にある原則が、恵まれない地域の高等教育進学希望者は支援を必要としていると信じている学生に、広く受け入れられていることを示している。もっとも、多くの学生は自分が所属する大学がcontextual offerを実施しているか知らず、半数の学生しか、低成績入学許可制度が正しいと考えていない。

 したがって、学生の知的・情緒的支持を得るためには、まだ検討すべき作業がかなり残っている。」

Most students think universities should take the background of applicants into account – but only half support lower grade offers

 (4) ジョンソン政権内閣改造

 政府は、2019年7月24日に内閣改造を発表した。高等教育や科学技術に関連する人事として、教育省(Department for Education :DfE)とビジネス・エネルギー・産業戦略省(Department for Business, Energy and Industrial Strategy :BEIS)の大臣及び関連の担当大臣は以下のとおり。

 

ビジネス・エネルギー産業戦略省(BEIS)

大臣

  • 旧:Greg Clark氏
  • 新:Andrea Leadsom 氏

 

Andrea Leadsom 氏 略歴:

 ウォーイック大学で政治学を専攻。25年間、銀行や金融業界で勤務。2010年7月から2014年5月まで財務省特別委員会(Treasury Select Committee)、2014年5月から2015年3月まで公会計委員会(the Public Accounts Committee)の委員を務めた。2014年4月から2015年5月まで財務政務官(Economic Secretary to the Treasury)を務め、2015年5月から2016年7月までエネルギー・気候変動担当大臣(Minister of State at the Department of Energy and Climate Change)を務めた。また、2016年7月から2017年6月まで環境・食料・農村地域担当(Secretary of State for Environment, Food and Rural Affairs)の政務官を務めた。2016年6月から2019年11月まで下院院内総務(閣僚級)(Leader of the House of commons Lord President of the Council)を務めた。..

 

https://www.gov.uk/government/people/andrea-leadsom

 

教育省(DfE)

大臣

  • 旧: Damian Hind 氏
  • 新: Gavin Williamson 氏

Williamson 氏の経歴紹介:

 ブラッドフォード大学で社会科学を専攻。2010年5月の総選挙でSouth Staffordshireから初当選。2016年7月から2017年11月2日まで、財務省と国務省の院内幹事(Chief Whip)を務めた。2017年11月2日から2019年5月1日まで、国防大臣(Secretary of State for Defence)を務めた。

 

https://www.gov.uk/government/people/gavin-williamson

 

BEISとDfE両省に席を持つ科学・大学担当大臣

  • 旧:Chris Skidmore 氏
  • 新;Jo Johnson 氏

Johnson氏の経歴 :

 オックスフォード大学で近代史を専攻。投資銀行に勤務後、ジャーナリストとして働いた後、2010年5月の総選挙でOrpingtonから初当選。2015年5月から2018年1月まで今回と同じ科学・大学担当大臣に就いており、2年半以上の在籍期間中に、英国の学術環境に抜本的な変化をもたらした高等教育研究法を導入した。2018年1月から同年11月まで運輸大臣(Minister of State)を務めた。なお、2019年9月5日に科学・大学担当大臣を辞職した。

 

https://www.gov.uk/government/people/jo-johnson

補足記事:Boris Johnson reappoints brother as UK science minister

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           

(5)  不十分な書類チェックサービスのために、留学生は法外な金を支払っている

 英国大学協会(University UK:UUK)は、2019年7月29日に、英国の大学において、Sopra Steria-ビザ申請の一環として書類確認と生態情報登録を請け負っている企業-が、需要を満たすことができず、英国の学生の一部が予約を取るのに30日も待たされていることから、懸念が高まっていると公表した。

 以前は、学生は書類チェックを地元の郵便局を通して都合の良い時に手配することができた。

 内務省(Home Office) 、英国ビザ・入国管理局(UKVI)、UUKの努力にもかかわらず、大学はSopra Steriaが提供するサービスに関して、以下の事項を報告し続けている。

  • 申請者は少なくとも2週間、場合によってはさらに長い間予約が取れない
  • 申請者は、オンラインで情報にアクセスし処理する際に問題が起きている。もし、申請者がオンラインシステム上で問題を抱えた場合、カスタマーサポートは1分ごとに5ポンド請求する。
  • 結果として、一部の学生は予約を取るため、プレミアムサービスに対して料金を支払い、かなり離れたところにあるSopra Steriaのオフィスまで出向いている。
  • また一部の学生は、100から200ポンドのプレミアムサービスにお金を支払っても予約が取れず、またその返金を求めても拒否される。
  • サービスの利便性に関する問題

 

 苦情を受けて、Sopra Steriaは最近になって大学キャンパスでの出張サービスを提供することを決めた。しかし、ここでの15分の予約は、学生もしくは大学によって支払われた50ポンドの費用によって提供される。このことは、学生がビザ取得のために支払う費用に加わり、大学がこれらの予約を容易にするために用いる必要があるスペースやスタッフのリソースを考慮していない。

 大学にとって9月の学生入学が差し迫っており、この時期は4000人を超える学生の生体認証を登録する必要があるので、この問題に対する不安感は増し続けている。

 留学生はビザ申請中は国外に出られない、つまり今のサービスが不十分なままだと、一部の留学生はクリスマス休暇に帰国できない。

 ケンブリッジ大学に留学しているチリ出身の博士課程在籍の学生であるElisa CalcagniはSopra Steriaからのサービスに失望している。

 「EEA外の国なので、私は生体情報をSopra Steriaを通して登録する必要があった。私は追加料金を予期していなかったが、無料予約を見つけるのは事実上不可能であった。オンラインシステム上の予約システムの時間枠は2週間分しかカバーしておらず、そこには利用可能な無料予約は無かったし、ケンブリッジ大学での予約も全くなかった。私はSopra Steriaのカスタマーサポートに電話をしたところ、ウェブサイトのキャンセル予約を確認し続けるように言われただけだった。

 私は予約が利用可能になるという保証がないまま、システムを継続的に確認し続けるという不確実性を望んでいなかったので、100ポンドを支払って Sopra Steriaのオフィスでの予約を選んだ。時間指定の予約をしたにもかかわらず、一時間待たされ、システムが上手く作動しなかったのでさらに遅延した。

 サウサンプトン大学の学生Khalid Elkhereijiは以下のように述べた。

「私はスクリーン上の文字を読み上げるスクリーンリーダーを使っている。ビザに必要な予約を取るために、自分のUKVCAS(ビザ取得代行会社)アカウントでログインを試すことはとても失望するものだった。なぜなら、私のスクリーンリーダーのどれもが、ロボットではなく人がログインしていることを確認するために選択されるチェックボックスを検出したからである。問題を認識できなかったので、何度も同じステップを繰り返し、私はこれを試すのに何時間もかかった。これは私が他のウェブサイトで直面するような問題ではなく、目が見える人の助けがなくてはログインできないことを意味する。

私がログインできたとき、サウサンプトンの中心部近辺で予約はできないことは明らかであった。この問題は、大学によって提起され、それからはサウサンプトンで予約が取れるようになった。私はSopra Steriaにサービスのアクセスしやすさについて私の心配を話し、修正するのが比較的容易だと信じていたが、Sopra Steriaによるアップデータは行われておらず、彼らのウェブサイトが包括的でアクセス容易用意だという確信はない。私は、私と同じような経験を他の人がしないよう、Sopra Steriaに試験的なことをやるように言ったにも関わらずである。

UUKの会長Alister Jarvis氏は以下のように述べている。

「内務省、UKVI、そして大学との間での取り決めにも関わらず、Sopra Steriaによって提供されている現在のサービスのレベルは受け入れられるものではない。学生と大学はSopra Steriaの壊れたシステムを扱うために費用を支払おうとは考えていない。

我々は、学生が必要とするビザとともに学生生活を始められるよう、Sopra Steriaにこれらの懸案事項を9月の学生入学前に十分に対処するよう求めている。

留学生は英国に対して多大な文化的経済的貢献をもたらす。Sopra Steriaは留学生に対して歓迎的なメッセージを発し、英国が世界中から才能ある個人に開かれていて、大学も同様であることを知らせるべきである。」

 

 

International students paying through the nose for woefully inadequate document-checking service

 

 (6) 学生の権利を守る学生局

 教育省(Department for Education:DfE)は、2019年8月1日に学生局(Office for Students:OfS)が学生の最善の利益を保護するための強力な権限を手に入れたことを公表した。学生の最善の利益をもたらせなかった大学は、8月1日に規制当局であるOfSによる執行権限が発効したため、最高500,000ポンドの罰金を受けることになる。

 2018年の設立以来、OfS)は高等教育部門における問題、例えば成績優秀者の割合の増加、上級スタッフの報酬レベル、無条件入試受験者の増加などを強調し取り組み、既に大きく前進してきた。

 OfSは、高等教育の高い水準を保つため、500,000ポンドもしくは、大学の学費や助成金の収入の2%を上限とする罰金いずれか高額な金額を法的に課すことができる権限を有している。

 これらの権限に加えて、既に大学で改善が必要とされる問題、例えば、恵まれない学生の入学率や成績達成における不均等の解消などを、OfSは大学に登録条件として課すことができる。規制当局は、すでに高等教育機関に対し、満たすべき条件、例えば金銭的支援を含む、高等教育機関が恵まれない学生に対する支援に関してのより確固たる証拠を要求し、学生の収入が低い場合の行動計画を要求するなどの条件を課してきた。

 8月1日に施行された規制により、2週間以内にAレベルの結果を知り、9月から大学生活を開始する何千人の学生が、高い質の教育を最大限保証される初めての世代となるだろう。

 Jo Johnson大学担当大臣は以下のように述べている。

 「今日は、未来の学生と我々の世界レベルの高等教育にとって記念すべき日となる。これらの改革を進めるため、2年前から努力してきた。」

 「OfSに対する我々の考えは、OfSが実効性を持った規制局となることであり、既に高等教育部門に多大な影響力を有している。今、私はOfSが学生と国がシステムの中心に位置することを保証し、大学からお金に見合った価値を学生が受け取るために、最大限の力を発揮してほしいと思っている。」

 「8月にAレベルの結果を受け取り、9月から大学生活を始める数千もの若者にとって、OfSは学生の強力な擁護者であると学生たちは確信するはずだ。」

 「英国の大学は世界をリードしており、この名声が保たれなければならない。私は、すべての学生が、成功し充実した人生に繋がる高品質の高等教育を受けることを保証することに焦点を当てた仕事に戻ることに務めるので、再び大学担当大臣の仕事に復帰することを楽しみにしている。」

 8月1日から、OfSは大学がこの夏に提出する2020/2021学事年の貧困層に対する門戸の拡大などの計画案に対して登録更新を拒否する権限を有する。

 学費を値上げすることを望む大学は、例えば貧困層が高等教育に進めるよう支援することを含む「高等教育への門戸の拡大に関する計画書」を作成しなければならない。この計画は、大学がどのようにして過小評価されている学生が高等教育で成功するための機会の質を改善するのかを示すものである。もし、高等教育機関がこれらの必要事項を満たさない場合は、OfSは介入し適切な措置を講じる。

 OfSは大学が学生の利益のために機能していないと判断すれば、高等教育機関の登録に追加の条件を加えることで行動を起こし、登録を拒否したり、最も深刻な場合は高等教育機関の学位授与の権利を取り消す。

 今回の動きは、学生の経験を強化する大学の能力を強化し、大学が世界的基準を維持する手助けをし、学生の最も利益になることを行わない高等教育機関に異議を唱えるだろう。

 

Universities regulator gains full powers to protect students’ interests

 

(7) 新首相の今後の研究分野の取り組み

 英国政府は、2019年8月8日に、英国が学的に一流国であり続けるための政策を公表した。これによると、科学者は、新首相が発表した移民法のもとでイギリスに移住するよう推奨される。

 Boris Johnson首相は内務省(Home Office)とビジネス・エネルギー・産業戦略省(Department  for Buisiness, Energy and Industrial Strategy:BEIS)に対して、サイエンスコミュニティとともに、世界的な科学者が素早くビザを取得するための新たな方法を、今年の後半には開始できるように考案するよう指示した。

 Boris Johnson首相は以下のように述べた。

 「我々は、世界初の国立DNAデータベースの拠点を有しており、グラフィンを発見した。そして、最先端の科学者はAda Lovelaceやノーベル賞受賞者であるFrancis CrickやPeter Higgsのような偉大な科学者たちの足跡を辿ることを誇りにするべきである。」

 「しかし、我々は知識の進化をリードすることを確実にするために、既にここにいる才能を支援するだけでなく、世界中から最高の頭脳をひきつける英国の移民システムを保証しなければならない。」

 早期にビザを取得するルートは、キャリアのまさに始まりにいる数学オリンピック出場者から、国際的に認められている賞の受賞者や有名なフェローシップの採択者など選りすぐりの研究者や科学・工学・技術の専門家をひきつけるよう設計される。

 英国が最も生活しやすく、かつ、新たなアイデアを生み出すのに最も魅力的な国であることを明確にするには、第一線の研究所と大学と取るべき道筋について話し合いをしなくてはならない。その内容として

 

 ・Tier1の特別に優秀な人のためのビザに設けられた人数上限を廃止

 ・候補者を支援できる英国の研究所と大学の収容人数の拡張

 ・入国管理のチェックとして、自動認証の権限を与えること

 ・扶養家族が完全に自由に働けるようにする保証

 ・入国前に雇用が必須条件であったことを除外

 ・早期の移住許可に向けた道筋

 

 特にEU離脱後、英国の科学の大きな価値を認識し、研究や経済を新たに活性化する支援を行う移民法の変更などで、政府はEUを離脱する前にEUの助成金を受けていた科学者や研究者に対して追加予算を準備する。これは、ヨーロッパ研究評議会(European Research Council :ERC)によって実行されている、誰もが不利益をこうむらないことを保証するスキームを含んでいる。

 合意なき離脱の場合、政府は英国がEU離脱する際に、承認プロセスで止められたあらゆるHorizon2020への申請が、UKRIによって代わりに自動的に評価され、承認された申請には資金が提供されることを保証する。

 首相は以下のように述べた。

 「英国は引き続き世界的な科学大国であり続け、英国がEUを離脱しても、我々は科学と研究を支援し、科学コミュニティが英国のイノベーションを開発し、世界中に輸出する大きな機会を保有することを保証する。」

 

PM sets vision to cement UK as a science superpower

参考

https://www.telegraph.co.uk/politics/2019/08/08/boris-johnson-announce-end-visa-restrictions-top-scientists/

 

(8) EU離脱後の科学研究の保護を公約

 英国政府は、2019年8月9日にブレグジット後における研究とビジネスに対して更なる支援の公約を公表した。この公約により、英国における世界をリードする研究はブレグジット後も保護される。

  • 政府は合意なき離脱が起きた場合でも科学への更なる資金を準備しているとの公約を強化した。
  • この公約は、ノーベル賞獲得の可能性がある研究テーマがブレグジット後に消失されないことを保証する。
  • 公約は、英国がEU離脱後もイノベーションと研究における世界的地位を維持するのに決定的なものである。

 

 Boris Johnson首相とJo  Johnson科学担当大臣は、研究コミュニティに対し、政府は英国がEU離脱する前にEUの資金を探している科学者と研究者に対して、素晴らしい研究とイノベーションが資金提供されることを保証するため、更なる資金を提供することを再保証した。資金は、EUの研究とイノベーションに関する資金プログラムであるHorizon2020への英国の研究提案に利用できる。この公約は英国の以下の機会を保護する。

 ・ヨーロッパ研究評議会(European Research Council:ERC)

 ・マリー・スクウォドフスカ・キュリー・アクションズ

  (Marie Skłodowska-Curie Actions:MSCA)

 ・SME instrument programmes

 もし、合意なき離脱となり、Horizon2020が英国を資金プログラムから除外した場合である。

これは、研究技術への投資を増やし、ブレグジット後の世界における科学の最先端としての英国の地位を維持するための政府公約の一部である。

 首相はまた、英国が世界中から科学や研究の国際的な才能を惹きつけ続けるため、政府は科学者のための早期ビザ取得ルートを開発することを発表した。

 Jo Johnson科学イノベーション担当大臣は以下のように述べた。

 「EUと交渉を確保する意欲を英国は持ち続けるが、同時に我々は合意なき離脱に向けての準備も必要としている。今回の公約は、研究者とイノベーターが、英国がEUを離脱するかにかかわらず、Hrizon2020に自信をもって申請書を提出できることを意味している。」

 「英国の科学研究システムは、世界で最も優れたもののひとつである。しかし、優れたアイデアは国境を越え、科学は世界的に達成に向けて努力するものでもある。これこそが、英国が優秀で素晴らしい研究者を英国に引き付けるために早期ビザ取得ルートを開発している理由である。」

 

 UKリサーチイノベーション(UK Research and Innovation: UKRI)は、EUの資金プログラムに申請できない場合、その代わりに審査し資金提供することを保証する。英国の最も優秀な研究者とイノベーターのアイデアが無駄にならないよう保証する。この公約は、英国のビジネス界と研究者が、科学コミュニティの最も創造的な考えを持った者の一部から研究を支援する一流の助成金プログラムへの申請の再保証を歓迎する。採択された研究は、助成金が続く限り、資金を助成される。

 英国は第3国として他のHorizon2020スキームに参加する資格を維持し、採択者は、政府の既存の保証と延長によって賄われる。

 今回、政府は気候変動、感染症、社会におけるAIの適応に国際的に取り組む世界規模の研究に対し、6,000万ポンドの増額を発表した。

 

注釈

①政府と資金配分機関であるUKRIは、この新たな資金への申請方法を改めて発表する。

②英国がEUを合意なき離脱した場合、英国はHorizon2020の第三国の参加者になる。第三国は幅広いHorizon2020の補助金に共同参加はできる。ただし、権威あるHorizon2020の「単独受益者」のスキームがこれらのプログラムの重要部分を占めており、第三国に対しては完全には開放されていない。

  • ヨーロッパ研究評議会(European Research Council:ERC)

最高の研究者が画期的なフロンティア研究を実施できるようにする非常に権威

ある資金

  • マリー・スクウォドフスカ・キュリー・アクションズ(Marie Skłodowska-Curie Actions:MSCA)

個人のフェローシップ、スタッフ交換、研究訓練ネットワークのための資金。研究者としてのキャリアが始まった研究者が対象

  • Small-and-Medium Sized Enterprise Instrument (SMEi)
  • 中小企業向けの高強度資金。この資金は、市場を創り出すイノベーションを支援する。

 ③政府は、合意なき離脱の場合のEUスキームに認可された申請のための資金を既に

保証している。しかし、政府は英国のトップ研究者と最も革新的な中小企業が、今

後もEUの資金を利用できるようにする。

 

Government pledge to protect science and research post Brexit

 

(9) 貧困層からの記録的な大学入学者

 ウェールズでは、貧困層出身から15.8%が大学進学許可を得、北アイルランドでは13.2%であり、どちらも新記録である。

 英国全体では、貧困層出身の28.2%がUCASを通じて大学進学許可を通知され、これもAレベル発表日における新記録である。昨年の数字は27.7%であった。

 イングランドでは、18歳人口のうち、28.5%がUCASを通じて大学進学許可を通知され、これは記録的な数字である。ウェールズでは、25.8%が学部課程を始めることになり、北アイルランドでは記録的な29.4%である。

 EU圏外からは33,630人の留学生が受け入れられ、これは新記録であり、中国からの志願者が32%増加したためである。

 26,440人のEU出身の学生が英国の高等教育に受け入れられ、大学進学許可数は去年より少し増加した。

 英国の18歳大学進学許可者は199,370名で、1%低下しているが、この数字は英国における全18歳人口の1.9%の減少と並んでいる。

 今年はこれまでのところ、英国全土で348,890人以上(全年齢)が合格を通知されており、これは2018年のAレベル結果発表時の数字より1%減である。

 これまでに英国全土で合計408,960人が学部課程への進学が認められている。これは昨年の合格通知の日より1%減少している。

 UCASの最高責任者Clare Marchantは、以下のように述べた。

 「不利な立場にいる学生が大学に進む記録的な割合は、今回合格が認められた過去最高の留学生数とあいまって、学生の努力と英国の世界的な大学の魅力によるものである。」

 

Record number of disadvantaged students off to university