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UK HE Information

2025年12月英国高等教育及び学術情報

2026年2月10日

(1) アルゴリズム金融取引会社、数学の博士課程とポスドクに2,600万ポンドを投入

(2) 英国高等教育データ:財務データ – 2024/25年度公開 

(3) 学術出版の改革は資金提供機関が主導すべき、研究者グループが指摘 

(4) 大学ガバナンス改革:「遅れているが不可欠」

(5) 新英国王立協会会長:中国と科学部門に対する結びつきを築くべき

(6) 英国大学協会の見解:学生局による将来の質規制方針案への回答

(7) REF2029:一時停止を経て最新情報を公表、基準設定作業を再開

(8) University of Cambridgeの獣医学部、閉鎖か

(9) 海外からの大学院入学者数が引きつづき減少

(10) 国立研究機関などが新しいグループを発足

(11) 英国研究者、GoogleのAIと量子技術へのアクセスを獲得

(12) 英国高等教育セクター、主要出版社4社との契約条件で合意 

(1)アルゴリズム金融取引会社、数学の博士課程とポスドクに2600万ポンドを投入

英国のアルゴリズム金融取引会社XTX Marketsが、純粋数学の博士課程・ポスドク合わせて100名超のポストを支援するため、英国の7大学に総額約2,640万ポンドを拠出する。資産家の創業者Alex Gerko 氏は、数学研究への政府の資金不足によって生じたギャップは、慈善活動だけでは埋め合わせができないと指摘した。

XTXは、純粋数学の研究資金が「繰り返し削減されてきた」ことを背景に今回の支援を決定。2020年に当時の保守党政権が発表した数学分野の追加資金プログラムは、2022年に3億ポンドの増額が予定されていたが、実際に拠出されたのはその半分以下だったという。また、Financial Times紙が最初に報じたこの動きに関する同社の声明では、最新のUKリサーチ・イノベーション(UK Research and Innovation:UKRI)の博士訓練センター(Centres for Doctoral Training: CDT)向けの資金提供の結果では、イングランドには純粋数学を対象としたCDTは一つも存在していないと指摘している。

同社のEarly-Career Research Funding Programmeでは、2026〜2028年に100名超のPhD・ポスドクを創出することを目指しており、資金はUniversity of Bristol、University of Cambridge、University of Edinburgh、University of Liverpool、University of Oxford、University of Warwick、Imperial College Londonに配分されている。

Alex Gerko 氏は、歴代政府はイノベーション推進を語り続けてきたにもかかわらず、長年の資金不足により英国の大学は世界トップレベルの数学研究者を確保できず、戦略的に重要な研究資金を慈善に委ねる現状は職務放棄であると批判している。数学アカデミー(Academy for Mathematical Sciences)の会長Alison Etheridges氏も「数学は経済の基盤」と強調し、初期キャリア研究者の育成の重要性を訴えた。

University of CambridgeのIvan Smith教授は、この寄付により同大学で今後3年間、毎年約10人の博士課程学生と最大2人までのポスドクを採用でき、世界的研究を牽引する初期キャリア研究者層の維持に不可欠だと述べた。

(2025年12月1日)

【英文記事】Research Professional News:

https://www.researchprofessionalnews.com/rr-news-uk-universities-2025-12-trading-firm-commits-26m-to-maths-phds-and-postdocs/

 

(2) 英国高等教育データ:財務データ – 2024/25年度公開  

本日公表されたデータは、2024年8月1日から12月31日までに会計年度末を迎えるイングランドの高等教育機関に関するものである。これらは非伝統的な高等教育機関で、多くが少数の専門分野に特化している。これら70機関の2024/25年度の総収入は13億ポンドで、授業料収入は合計収入の71%を占めていたが、機関ごとに0%から100%と幅があった。また、大半(48機関)は収入が1,000万ポンド未満であった。

70機関の総支出は12億ポンドで、約5分の3(41機関)が当該年度に黒字を報告した。この報告書では、収入・支出に加えて、バランスシート、キャッシュフロー、設備投資、さらに多くの機関の上級職員給与に関する新データが含まれている。これらのデータは学生局(Office for Students:OfS)によって収集された。

2024/25年度の追加データ(決算日が2025年1月1日から7月31日までの大半の高等教育機関、およびウェールズ、スコットランド、北アイルランドの高等教育機関を含む)は、2026年春に公表される予定である。

(2025年12月2日)

【英文記事】 高等教育統計局(Higher Education Statistics Agency: HESA)

https://www.hesa.ac.uk/news/02-12-2025/he-provider-data-finance-release-1-202425

 

(3)学術出版の改革は資金提供機関が主導すべき、研究者グループが指摘  

国際的な研究者グループは、新しい論文で、資金提供機関は学術出版の構造改革を進める上で主導できる立場にあり、それにより公的研究資金が営利出版社に流れるのを防げる可能性がある、と主張している。

 この論文では、大手学術出版社の利益を分析した結果、資金提供機関が「大胆な行動」を起こさなければ、「科学知識の発展よりも利益を優先するシステムに引き続き資源を注ぎ込むリスクがある」と指摘する。

論文の著者の一人であるUniversity of ExeterのMark Hanson氏は、研究者が団結して改革を試みても成果が上がらず、出版社の利益率は安定したままであると述べている。資金提供機関こそが主導権を握っており、彼らは研究者に研究費を支払い、論文を出版するために出版社に支払をしている。「資金提供機関は主導できる立場にある。我々研究者はその戦いを支援できるが、主導することはできないと語った。

この論文は11月にプレプリントサーバーのarXivで公開されたため、まだ査読は行われていない。その中で、オープン・アクセスの動きは資金提供機関を出版に再び関与させたが、資金提供機関が負担する著者の掲載料が出版社にとって新しい収入源となり、オープンアクセスは商業出版社の利益増大に寄与してしまっていることを指摘しており、より厳格な改革が必要であることを主張している。

この論文では、学術出版のインセンティブや所有構造を変えられるのは、公的資金提供機関、財団、大学のみだと述べている。例として、米国国立衛生研究所(NIH)では、研究者が論文をオープンアクセス化するために出版社に支払う費用に対する助成額に上限を設ける提案をした。

英国では多くの大学が直面している財政危機が数百万ポンド規模の大手出版社5社との契約変更を促す可能性がある。高等教育機関では次期契約を出版社と交渉中で、一部大学は予算圧力により契約更新を見送る可能性がある。

約1年前に、University of Sheffield, University of Surrey, University of Yorkは財政難を理由にElsevier社との契約を解消し、そのほかの多くの大学も同様に処置を検討している。

arXivの論文は資金提供者、大学、そして政府が営利出版社による研究資源の”枯渇“に対処するために”最大の影響力“を発揮する必要性を強調している。

「我々は学術出版が再共同化される必要があると提案する。大学、図書館、資金提供機関、その他の学術コミュニティの構成員が、コミュニティ主導・管理で研究と教育の推進に資する仕組みを構築すべきである」と論文は述べる。

ダイヤモンド・オープン・アクセスは従来の営利出版社とは別に研究者や機関そのものが運営し、専門の資金によって支えられている出版プラットフォームで、成長を続けている。しかし論文は「多くのダイヤモンド・ジャーナルは略奪的な企業や商業出版社により買収の絶え間ない試みによって危険にさらされている。」と指摘している。

また、資金提供機関ができる他の措置にも触れており、「大手出版社の株式を取得し、内部から圧力をかけるといった、資金提供機関による抜本的な対策も検討に値する。」と述べている。

(2025年12月3日)

【英文記事】 Research Professional News:

https://www.researchprofessionalnews.com/rr-news-uk-open-access-2025-12-funders-hold-all-the-cards-to-reform-publishing-say-academics/

 

(4) 大学ガバナンス改革:「遅れているが不可欠」

高等教育政策研究所(Higher Education Policy Institute: HEPI)の報告書によると、大学ガバナンスの改善は英国高等教育の国際的な評判を守るために「遅れているものの、不可欠である」と指摘されている。大学ガバナンスにおける倫理規範の原則には幅広い支持があり、高等教育機関の個人や組織の回答からはHEPIが「上級管理者と理事の間の権力不均衡や過度の馴れ合い」と呼ぶ問題に取り組む必要性が示された。

大学ガバナンスは財政的に厳しい大学を背景に注目されている。2019年の18歳以降の教育の再検討で議長を務めたPhilip Augar氏は、より良いガバナンスがあれば高等教育機関で広がる大量解雇を防げられた可能性があると述べている。報告書は英国大学防衛評議会(Council for the Defence of British Universities: CDBU)がまとめた、大学の委員会で派閥や小集団が発生の回避の方法や、より包摂的なガバナンスを確保する明確な仕組みを定めた規約(草案)に対する回答をまとめたもの、「回答者の多くはガバナンスの改善が遅れ気味であるが、不可欠であるという確信を共有していた」と報告書は指摘している。複数の回答者は、理事(ガバナー)のより透明化した採用過程の導入を求め、これによりよい信頼が強化し、学長が「教職員や学生からの信頼を勝ち取る」ことに役立つとした。そのほかの提出物ではガバナンスの過剰な財政重視の懸念が示されて、教育、研究、地域社会への配慮がコスト削減に抑えられて軽視されていると報告されている。また、政府も最近の16歳以降のスキルと教育白書で、ガバナンス機関と経営管理部門間の関係や情報の流れに潜在的問題があるとし、強固なガバナンス体制の必要性を示している。

CDBU草案の中心的な著者でUniversity of ManchesterのSteven Jones教授は、「大学のガバナーの仕事はその費やす時間と労力を疑う人はいない。大変過酷では報われない仕事である。一方、最近の自身の研究では、多くの人が階層構造やガバナンスの障害により十分な成果が上げられないことに不満を持ち役職を辞任している。」と述べた。またHEPIの報告書も執筆した Jones教授は、この草案はガバナンスと管理部の明確な分離や意思決定の透明性の向上を求めることで、こうした構造的な問題に取り組んでいると述べた。HEPI局長で自身も大学のガバナーを務めるNick Hillman氏は、優れたガバナンスは「高等教育機関の基盤を支えるような岩のような役割をしている。反対に悪化すれば組織全体に影響を及ぼしかねない。」と述べている。

(2025年12月4日)

【英文記事】 Research Professional News:

https://www.researchprofessionalnews.com/rr-news-uk-universities-2025-12-reforms-to-university-governance-seen-as-overdue-and-essential/

 

(5)新英国王立協会会長:中国と科学部門に対する結びつきを築くべき

英国王立協会の新会長であるPaul Nurse氏は、研究投資で中国が他の国を引き離していることを警告し、英国は中国とより緊密な科学的結びつきを築くべきだと促した。Nurse氏は、同協会会長として2度目の任期開始にあたり Times紙 のインタビューで、英国と米国が厳しい予算に対処している一方で、中国は大規模な支出の計画を進めていると述べた。

Research Professional News(RPN)の取材によれば、Nurse氏は英国科学者とのさらなる協力を促すことを目的に、近く中国を訪問する意向だという。また Times紙に対し、英国の研究インフラは中国と比べて「ますます発展途上国のように見えてきている」と語った。

Nurse氏はまた、研究安全保障に関する懸念では、基礎研究は商業技術ほど機密性が低いため適切な水準にとどめる必要があることを述べた。「まず第一に、我々は現実的でなければならない。我々はお互いにスパイをするだろう。だから、過度に道徳的になりすぎないように。」と述べた。

科学閣外担当大臣のPatrick Vallance氏は最近、気候変動、宇宙科学、健康、農業などの分野における「ターゲットを絞った科学協力」に関する合意に署名するため、中国へ代表団を率いて訪れた。昨年、RPN は、英中共同研究への英国の資金が、研究セキュリティの懸念が高まる中で、2016年の1億1,200万ポンドから2022年にはわずか40万ポンドへと急落したことを明らかにした。

BBCのラジオのインタビューでNurse氏は英国の研究資金は「あるべき水準に達していない」と述べ、政府の支出は経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD)の加盟国と比べて少ないと指摘した。

Nurse氏は、研究資金は不十分とは言え、その点を認識する必要があると述べ、その問題の一部にすぎず「資金の配分方法」が問題であり、資金提供に関して軽視しているため、資金を適切な人や分野に届けるため抜本的な見直しが必要だ、と述べた。また先週、政府の優先事項に合わせるための UKRI の研究資金制度の改革が発表されたサミットでは、Nurse氏は英国の研究資金は「非常に官僚的すぎる」とし、研究者が「不必要な苦痛を強いられている」と語った。

またBBCのインタビューでは渡来する科学者のビザ費用に関する長年の懸念にも触れた。「科学者はそんなに高給ではなく、そのため渡英を思いとどまらせている」と述べ、研究者向けの例外処置を設ければ解決可能だ、と付け加えた。しかし政府はこれまでその要請には応じていない。同協会が委託した2025年の分析によれば、英国で働くために移動する海外研究者にかかる前払い費用は、他の主要研究国の平均の22倍に達していることが分かった。

同協会は、米国科学界の混乱を好機と見た取り組みの一環として、今年3月に海外研究者を誘致するための3,000万ポンド規模の迅速採用基金(fast-track fund)を発表した。RPNの情報によれば、この制度は初期〜中堅キャリアに人気がある一方で、提示される給与がより高い中国に向かうシニアの米国科学者もいるという。

(2025年12月5日)

【英文記事】Research Professional News:

https://www.researchprofessionalnews.com/rr-news-uk-charities-and-societies-2025-12-royal-society-president-urges-closer-scientific-ties-with-china/

 

(6) 英国大学協会の見解:学生局による将来の質規制方針案への回答

英国大学協会(Universities UK: UUK)は、学生局(Office for Students: OfS)が提示した、高等教育における規制および質評価の将来方針に関する協議に対し意見を提出した。この協議には、全体的な質保証システムや教育卓越性評価制度(Teaching Excellence Framework: TEF)の変更に関する提案が含まれている。

協議の主な提案は以下のとおりである。

  • 全体的な質の規制システムを、より一貫性があり、より統合されたものにするとともに、負担を軽減するために見直す。
  • OfS の登録機関すべてを TEF の対象とし、定期期的に評価を実施すること。
  • 銅(Bronze)評価の定義を「最低基準を上回る質」から「最低基準を満たす」へ変更すること。
  • 学生体験の質と学生の成果を評価した上で、プロバイダーの総合的なTEF評価を決定するためのルールベースのアプローチを導入する
  • 学生の良好な成果に関する最低基準を簡素化し、TEF 評価の一部として試行する。
  • TEF 評価に連動した新たなインセンティブおよび介入制度を導入すること。

 UUK の回答(意見)

  • 一貫性を高め、規制負担を軽減するという、より統合的な質保証アプローチの原則は支持する。
  • 銅評価の定義を「最低基準を満たす」と再定義する提案には支持できない。これは、常に高い質の基準を上回っている機関の実態を正確に反映せず、学生や関係者を混乱させ、英国高等教育の国際的な高品質の評判を損なうおそれがある。
  • 質が基準に達していない機関に対して規制介入を行うことには賛成する。しかし、銅評価を受けた機関に対する提案された罰則には強く反対する。これらの機関は規制基準を満たしており、罰則は不適切である。改善努力を妨げ、学生の選択肢を狭め、多様な学生や恵まれない背景の学生を受け入れている機関に不当な影響を与える可能性がある。
  • 総合的なTEF評価を決定するためのルールベースのアプローチへの移行、および状況情報の役割の縮小案は支持しない。我々はOfSが規制上の負担に取り組む意図を評価する一方で、提案が品質評価に対する効果的かつ繊細なアプローチを犠牲にしてこれを優先していることを懸念している。

(2025年12月10日)

【英文記事】英国大学協会(Universities UK: UUK)

https://www.universitiesuk.ac.uk/what-we-do/policy-and-research/publications/our-response-office-students-6

 

(7) REF2029:一時停止を経て最新情報を公表、基準設定作業を再開

研究評価制度(Research Excellence Framework: REF)は、現実社会に知識とイノベーションをもたらす英国の研究システムを支える極めて重要な仕組みである。年間約20億ポンドの研究資金配分の基盤となる主要なメカニズムであり、公共投資に対する説明責任を果たすとともに、英国の研究の健全性と影響力に関する重要な洞察を提供している。

今回の更新は、9月に科学閣外担当大臣Vallance氏が発表した「一時停止」を受けて行われたもので、研究コミュニティおよびREFパネルの専門家メンバーとの幅広い協議を踏まえて策定された。これらの更新を受けて、分野を代表し多様な専門性を有するREFパネルは、REF2029に向けた評価基準の設定およびガイダンスを最終的に着手することになる。

REF2029では、従来の「人材・文化・環境(People, Culture and Environment:PCE)」に代わり、「戦略・人材・研究環境(Strategy, People and Research Environment:SPRE)」が新たに導入され、比重は20%とされる。SPREは、REF2021における環境要素を基盤とし、本日報告書が公表されるPCEパイロットの知見を踏まえて設計されたものである。他の要素については、「知識と理解への貢献(Contributions to Knowledge and Understanding:CKU)」が55%、「エンゲージメントとインパクト(Engagement and Impact:E&I)」が25%とされる。これらの比重は、研究コミュニティの意見を聴取し、PCEパイロットの結果を考慮した上で、資金提供機関により見直された。shok

初期決定に従い、アウトプットは、紐付け方針(Substantive link policy)に従い個人から切り離されたままとなり、長期型および拡張プロセス型の研究成果については、要件の簡素化と限定的な移行が導入される。また、初期決定に沿って、最小規模ユニットのインパクトケーススタディ提出件数は1件に削減され、基礎研究に対する2★評価基準は撤廃される一方で、ガイダンスではインパクトケーススタディにおける関与戦略や責任ある実践の議論を促している。テンプレートは従来通りで、REF2021と同様に、小規模ユニットは任意で提出を免除されるプロセスが設けられ、その対象範囲も拡大される。

当初のスケジュールを維持するため、ガイダンスやパネルの評価基準・作業方法に関して正式な協議は行われない。REFチーム、資金提供機関、パネルは、次の段階においても研究コミュニティとの継続的な連携を行い、REFが引き続き研究界の支持を得られるよう取り組む。

 UUKのCEO Vivienne Stern氏のコメント:

「REFは英国大学の研究力の中核をなすものであり、研究成果の質だけでなく、その社会的インパクトや、研究者を支え、優れた研究を可能にする環境までを体系的に評価する仕組みである。今回の実務的なアプローチは、4つの資金提供機関が研究者や大学の声を慎重に反映した結果であり、我々はこれを強く歓迎する。大学での研究は私たちの日常生活に影響を与えるものであり、REFは資金提供者が次世代の発見を生み出すために最も効果的に投資する際の重要な指標となる。

(2025年12月10日)

【英文記事】REF2029:

https://2029.ref.ac.uk/news/ref-2029-publishes-updates-and-resumes-criteria-setting-following-pause/

 

(8) University of Cambridgeの獣医学部、閉鎖か

University of Cambridgeの獣医学部は2032年までに閉鎖される可能性がある。これは同大学の生物科学部が提案した勧告によるものである。

この提案は職員・在校生・志願者に伝えられており、2026年10月入学者が最後の学年となる見込みである。

最終的な決定は大学の理事会(General Board)が来年1月に行う予定である。

英国獣医師会(British Veterinary Association、BVA)はこのニュースを受けて「深く懸念している」と述べ、学部の存続に向け大学と協力しているとした。

獣医学部には約160人の教職員がおり、毎年約65人の学生が卒業している。

大学の広報担当者によると、この勧告は大学理事会が臨床サービスを持続可能に提供するための様々な方法を検討するよう学部評議会に指示した後のものだという。検討の結果、長期的に実行可能な解決策が見つからなかったとされた。

昨年11月には、大学は王立獣医外科医師会(Royal College of Veterinary Surgeons: RCVS) からの改善勧告に応じるため、10か月の猶予期間を与えられていた。

その後、著しい改善があったとしてRCVSが条件付きで認定継続を1年間延長したばかりであった。

BVA会長のRob Williams氏は、「University of Cambridgeの将来の不確実性は関係者全員に影響を及ぼす。可能な限りこの不確実性の影響を最小限にすることが重要だ」と述べた。

(2025年12月11日)

【英文記事】BBC News:

https://www.bbc.co.uk/news/articles/c709j2n7k9zo#:~:text=The%20University%20of%20Cambridge%20could,of%20undergraduates%20join%20next%20October

(9) 海外からの大学院入学者数が引きつづき減少

新たな入学データによると、2025年9月開始の大学院課程への海外留学生の入学者数はさらに減少し、これで数年連続の落ち込みとなる。

2025年11月に英国大学国際連絡協会(British Universities International Liaison Association: BUILA)が実施した調査で回答した69大学のうち、61%が 2025/26年の海外から大学院入学者数が前年より減少した、と報告した。

BUILAの最新発表によれば、全分野レベルを合わせた留学生の入学総数は 6%減少 している。

一方で、EUと米国からの大学院入学者はそれぞれ平均13%、19%増加している大学が多いことが分かった。

しかし、最も大きく減少したのは中国で、80%の大学が平均17%の減少を報告した。インドについても 63%の大学が平均9%の減少を報告している。

今回の減少幅は過去数年ほど急激ではないが、2024年11月には、高等教育統計局(Higher Education Statistic Agency: HESA)のデータによると、80%の大学が海外からの大学院入学者数の減少を報告し、全体で20%の減少だった。

留学生は英国の大学院教育において重要な役割を担っており、2023/24年度には 全日制大学院入学者の71%を占め、大学の教育・研究能力に大きく貢献している。

「今年の大学院生の留学生入学者数の継続的な減少は、主に他の国の教育渡航先との競争の激化によって引き起こされている。世界的な競争が強まる中、政府は英国が“世界有数の留学先”としての評価を維持できるよう、移民政策とのバランスを取りながら対応する必要がある。」とBUILA の議長であるBird氏は述べた。

University of OxfordのMigration Observatoryの報告によると、留学生に発行された学生ビザの総数は2022年から2024年の間に19%減少している。

この学生ビザの減少は、大学が将来的に導入される留学生徴税に備えている中で起きている。留学生数の継続的な減少は、これら学生の授業料に大きく依存している大学財政に、さらなる圧力をかける可能性が高い。

Bird氏は「留学生徴税やより厳しい募集規制が今後導入される中で、政府には高等教育機関に安定期間を提供してほしいと強く求める。予算では徴税の2028年導入が確認されたため、2026年の入学者への影響はないものの、大学は厳しい財政環境の中でこれにどう対処するかを検討する必要がある。」と述べた。

(2025年12月12日)

【英文記事】The Pie :

https://thepienews.com/international-postgraduate-enrolments-continue-to-fall-across-uk-universities/

 

(10) 国立研究機関などが新しいグループを発足

英国の研究環境に存在する「分断化」に対処し「科学的知見に基づいた判断」 を確実にするために、研究機関やグループが一段となり新たな組織を発足した。

新たに発足したNRO(National Research Organisation)グループには公的資金で運営されている研究所や複数の政府研究機関も含まれており、英国の研究力を活用して政府の重点項目の達成を目指す。

科学閣外担当大臣のPatrick Vallance氏が「英国の研究機関と公的研究機関が協力するこれほど良い時期はない。個々の機関が有する能力を結集し、NROグループは科学技術がすべての人に対して恩恵をもたらすために重要な役割を果たすであろう。」と述べた。

12月10日に発足したNROグループは英国地質調査所(British Geological Survey)やフランシス・クリック研究所(Francis Crick Institute)、アラン・チューリング研究所(Alan Turing Institute)などの組織で構成されている。

NROグループは、「科学、政策、研究投資に関する統一された権威ある視点」を提供することを目指しており、「英国の研究環境の分断化に対処し、国立研究機関の潜在能力を最大限に引き出す」ために設立されたと述べた。

NROグループは、「科学、政策、研究投資に関して統一的かつ権威ある視点を提供すること」を目指しており、「英国の研究環境の断片化に対処し、国立研究機関の潜在能力を最大限に引き出す」ために設立されたと述べた。

このグループは、「権威ある協調的な見解」を提供することで、「科学に基づく洞察が意思決定に役立ち、主要な国家優先事項を結び付けて人々の生活を向上させ、成長を促進し、安全と回復力を確保する」ことを保証すると述べた。本グループは公的資金で運営される国立研究機関間の拘束力のないパートナーシップ協定を基盤としている。この協定では、成長、安全保障、レジリエンス、ネットゼロといった国家の優先事項と研究能力を整合させるといった共通目標も掲げられている。

UK リサーチ・イノベーション(UK Research and Innovation: UKRI)のCEOであるIan Chaman氏は声明で、NROグループのメンバーは「世界クラスの施設と研究者を提供してくれる、英国にとって真の財産だ」と述べた。

(2025年12月12日)

【英文記事】Research Professional News :

https://www.researchprofessionalnews.com/rr-news-uk-charities-and-societies-2025-12-national-research-agencies-and-institutes-form-new-group/

 

(11) 英国研究者、GoogleのAIと量子技術へのアクセスを獲得

政府は英国研究者がAI技術と量子コンピュータのアクセスを加速させるため、Googleの傘下にある2社と新たに協定の締結を発表した。

国立量子コンピュータセンター(National Quantum Computing Centre: NQCC)は、米国の間で最近締結された技術協定に基づき、Google Quantum AIと提携して、Willow量子プロセッサへのアクセスを英国の研究者に提供する予定である。

科学閣外担当大臣であるPatrick Vallance氏は「こうしたアクセスは英国の量子分野のイノベーターが最先端にとどまり続けることを支援する」、「(量子技術を活用することで)新薬の設計、クリーンで安価なエネルギーへの移行など、さまざまな分野における取り組みを強化する」と述べた。

NQCCとGoogle Quantum AIは共同で、英国の研究者および研究コンソーシアムを対象に、同プロセッサの利用に関する提案募集を共同で実施する。

NQCCのディレクターであるMichael Cuthbert氏は、「英国の研究者は、実験や応用、科学的な意義、そしてWillowへのアクセスがいかに画期的な成果につながり得るかを含む提案書を提出できる。」と述べている。

また、政府は12月10日、テック大手のAI研究企業であるGoogle DeepMindとのパートナーシップを拡大し、英国の科学者が同社の「AI for Science」モデルに優先的にアクセスできるようになったことを発表した

科学大臣のLiz Kendall氏は、「DeepMindは、英国と米国の技術協力がもたらす成果を示す典型的な例である。大西洋の両側にルーツを持つ企業が、英国のイノベーターを支援し、技術進歩の先端を形作ることを後押ししている。」と述べた。

優先利用は4つのモデルに適用する。①AlphaEvolve:Googleの生成AIアシスタントGemini を搭載した、コーディングエージェント、②AI Co-Scientist: 「仮想の科学的協力者」として機能できるモデル、③WeatherNext: 気象予測モデルのファミリー、④AlphaGenome: DNAの理解に着目したモデルである。

DeepMindは政府との提携で材料科学に特化した英国初の”自動化ラボ”の設立も発表した。

同ラボは2026年に稼働開始予定で、学際的な研究者チームがこのラボの研究活動を運営する予定である。その中には最先端の超伝導材料の開発も含まれる。

Google DeepMindの共同設立者でCEOである、Demis Hassabis氏は「英国政府との協力をさらに深め、同国が持つ豊かなイノベーションの伝統を基盤に科学の発展を推進できることを大変うれしく思う」と述べた。

(2025年12月12日)

【英文記事】Research Professional News

https://www.researchprofessionalnews.com/rr-news-uk-innovation-2025-12-uk-researchers-gain-access-to-google-s-ai-and-quantum-tech/

 

(12) 英国高等教育セクター、主要出版社4社との契約条件で合意  

英国高等教育機関は5つの主要出版社のうち4社と契約条件で合意した。

高等教育機関の技術とデジタル系の機関であるJiscは学術出版社であるElsevier, Springer Nature, Taylor & Francis, Wiley, Elsevier, Springer Nature, Taylor & Francis, Wileyと Sage との協議を2025年3月から行っており、オープン・アクセスの推進を含む“高等教育機関の優先事項を反映した“新しい契約の締結を目指して交渉を続けていた。

12月12日、Jiscは機関との協議を経て、Taylor & Francis, Elsevier, Springer Nature, Wileyが「高等教育機関で合意した受諾基準」 に満たしたことを発表した。

Sage社との契約は高等教育機関との協議期限である10月に間に合わないため、後日検討される予定である。JiscはResearch Professional News(RNP)に対してSageとの合意は協議中であり、「12月19日までに各機関にこの提案に関する決定を通知する予定である。」と述べた。

その他4社との同意は成立しているが、各機関が契約に加入する前の最終的な詳細部分はまだ詰められておらず、クリスマス前までには注文ができる状態であることを望んでいる、とJiscの関係者は述べた。

現在の契約は12月31日に切れるが、Jiscは、猶予期間条項により空白期間は発生しないと述べた。

英国の高等教育機関は大きな財政的な危機に直面しているためすべての機関が新しい更新条件を受け入れるとは期待されておらず、Jiscは「最終的にはそれぞれの機関次第である」と述べている。

財政的ひっ迫によって一部の機関はこの契約を解除する可能性をJiscは示唆した。「Jiscは、契約費用をまかなうことができない機関に対し、見積もりの取得、個別の交渉の支援、シナリオ・モデリングなど、影響を評価して、選択肢を検討することで支援をする。」と述べている。

「一部の機関は費用負担を軽減するため、閲覧アクセスやオープン・アクセス出版を削減する必要があるかもしれない。」と付け加えた。

大学側からは新しい契約の従来の購読モデルからオープン・アクセスへ脱却するために新たな協定を求める圧力がかかっている。多くの機関は今回の協定はよりオープンな研究慣行への移行を加速させる機会であると捉えている。多くの機関はこのような変更があまりにも遅いという懸念を持っており、これらの契約をより開けた研究慣行への移行を加速させる機会と捉えていた。

最近RPNはこれらの契約の一環として出版社は英国の機関の所属する著者に対して、特定のジャーナルにおける論文処理費用(Article Processing Charge: APC)を無料化する試験的導入に合意したことを明らかにした。

Jiscの研究ライセンス責任者であるAnna Vernon氏はこれらのパイロット版は「ビジネスモデルの根本的な転換」を象徴するものだと述べた。このパイロット版の導入で「閲覧側と出版社側の基準が満たされる」ことを条件に、一部の出版社はいくつかのジャーナルタイトルを完全にオープン・アクセスのモデルに移行することになる。

Elsevier社の広報担当者はRPNに対し、「当社は英国の世界レベルの研究コミュニティを支援し、Jiscおよび高等教育部門と協力して、オープンで効果的な研究エコシステムの構築に取り組めることを誇りに思う。私たちは協力し、すべての人にとって持続可能かつ公平な方法でオープン・アクセスを推進し、英国の研究者が、信頼できる高品質なコンテンツと、発見と社会的影響を加速させる革新的なツールから恩恵を受け続けられるように取り組んでいく。」と語った。

(2025年12月12日)

【英文記事】Research Professional News :

https://www.researchprofessionalnews.com/rr-news-uk-open-access-2025-12-four-major-publishers-agree-deals-with-uk-university-sector/